見出し画像

がんになったのは自分のせい?〜わたし治療に専念しません〜

2019年10月20日

がんになっていろいろなブログやそこからリンクされた健康食品や代替療法など
関連する文章を目にするようになった。
本人の体験談としてまことしやなに飛び交っているのは、この言葉。

「自分でなったがんだから、自分で治す」

自分でなったがんだから、私は自分で努力して治してきたわ、治しているわ、というわけよ。そのために健康食品や栄養療法、代替療法をいろいろ調べて使ってきた、と。遠巻きに「あなたも医者に委ねるのではなく自分で治せ」と言っている。

自分でなった??
なりたくてなった覚えはまったくない。

「飲酒は乳がんリスクを高めます」
確かに私はお酒を吞む。30代の子育て世代の10年間は母乳だの、保育園のお迎えだので吞むことも吞む時間もなかったが、20代、40代は人並み以上に吞んできた。これは認めます。ただここのところめっきり吞む機会も減っている。吞む人が乳がんになるのであれば、もっと早く乳がんになる女性を私は山ほど知っている。

「肥満は乳がんリスクを高めます」
確かに私は太り気味である。BMI24というのは、22までが標準だからちょい小太りなのは自覚している。でも、こういってはなんだが、世の中には私以上にふくよかな人や山ほどいるではないか。

「ストレスはがんのリスクを高めます」
仕事してますからね、ノーストレスだとは言いません。でもさ、あんまりストレスはたまらない方だと思うんだよね。だって人生、ケセラセラ。なるようになるし、ならないことは仕方がないと思っているから。理想と現実のギャップっていうやつに人は悩むわけだけど、高い理想を抱かないからこの差はあんまりないのさ。

というわけで、がんになったのは私のせいではありません!

「自分でなったのだから、自分で治す」って
いわゆる自己責任っていうやつでしょうか。
まじめな人は、ほんとにそう思っちゃうだろうなぁ。
この言葉は、どこにでもたくさんはびこっている。
「自分で壊したんだから、自分で直しなさい」
「自分で選んだんだから、自分でなんとかしなさい」
「自分でやったんだから、自分で責任とりなさい」
・・・あっ、これ、親が子どもに言うやつね。
私たちはそうやって育てられているから、この言葉に弱い。
無条件に自分の後始末は自分でしよう、と思っちゃう。

いやいや、ほんとにそうなの?
自分で壊した、って、壊そうと思ったんじゃないのに壊れることあるよね。
自分で選んだ、って、よくわからないまま選んでしまうこともあるよね。
自分がやった、って、ボール遊びしてたらガラスが割れることだってあるじゃん。

私たちはわざと悪いことをしているわけじゃないよ。
いつもちょっとだけ不注意だったり、
ちょっとだけ軽率だったり、ちょっとだけ不健康だったりするかもしれない。
それを自分のせいだなんて考えなくてもいいんじゃないだろうか。
人間だもの。
病人である私は私の一部であって、病気になった途端に
病人として治療だけにまじめに専念しなければいけない、なんて思われるのは心外だ。

「老いも病い」も、誰しも抱えるものである。「お芋山芋」くらいの気持ちで、おちゃらけながら生きていきたい。

ちゃんと標準治療を受けます。
他の情報もそれなりに見て検討もします。
でも、それだけでいいのよ。全国や全世界回らなくても。

毎月多額のサプリメントを買う人や、エステや美容に使う人もいる。
それを否定するわけではまったくない。けれども私はしない。
なんだろう、うまく言葉にできないが。
自分の健康や美容にそんなに興味がないのか?
このシミをとりたいなぁ、10万円以内ならいいなぁ、とか、もうちょっと痩せたいなぁ、とは思うけれども数十万円かけて肉体改造をしたいとは思わない。
コストにあうかどうかで考えると、私が考える自分の健康や美容は安いなぁ。
安すぎるのかもしれないが、与えられた肉体、与えられた運命だもの。
それをいかに活かしていくのか。もちろんそれは健康を維持するということも
同じことなのかもしれないけれど、モノも肉体も細かく手入れができないのが私なのだ。いい加減だからね。

このいい加減の結果が、がんというものであるならば、まぁ甘んじて受けよう。かみさまがそのような運命をくださったのだから。(無宗教だけれど、人智を超える何かがあることは信じていて、それを「かみさま」と言っています。)
かみさまがくれた運命なのだから、最後はかみさまに任せよう。
治療に専念する?いやいや、できるだけ普通の生活しながら、専念せずにちゃんと治療をしていきます。

将来、がんで人が死ぬ時代はなくなると言われている。
昔は結核は死の病気だったけれど、治るようになった。時代が変われば常識が変わるが、その時代に生まれてきたのがその人達の運命であり、この時代に生まれたきたのが私の運命だ。
「死」の話ばかり言うと、すでに「乳がんぐらいで大げさな」っていう時代だから、あまり大きな声では言えないけれどね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?