セシーズイシイが武蔵新城でエリアイノベーションに取り組む理由とこれまで
はじめまして。セシーズイシイ広報担当です。
セシーズイシイは、神奈川県川崎市の中原区にある武蔵新城を中心にエリアイノベーションを通して、多種多様な街のつながりの起点をつくることをテーマに事業を展開している会社です☺️
武蔵新城の魅力を少しでも発信していくために、noteを始めることにしました✨
今回は、そんな取り組みを始める私たちが、そもそも何者なのか。なぜ、武蔵新城という街でエリアイノベーションやつながりをつくるために働くのか、そもそもエリアイノベーションとは何なのか。エリアリノベーションとは何が違うのか?
そんな私たちの想いをすこしでも伝えるために、代表の石井にセシーズイシイの変遷から今の武蔵新城での取り組みまで、話を聞きました。
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企業の変遷
セシーズイシイのきっかけになるアパート経営は、昭和35年頃に始まりました。そもそも石井家は農家の家系で、歴史を辿っていくと1600年代にこの地域に移り住んできたんじゃないかと考えられます。そこからずっと農業を営んでいたのですが、僕の曾祖父の代でアパート経営が始まりました。最初は気に入った人がいれば「ここに住んじゃえ」と声をかけていたんじゃないかな(笑)
他にも、住み込みで管理人をやってくださっていた方がいて。その方も生活が苦しいという話を聞いて、「それなら住み込みの管理人さんやってくれないかな」と声をかけたみたいです。そういう話が他にもちらほら聞かれますが、曾祖父の代なので、そこまで詳しい話は残っていないですね。
そこからの変遷でいうと、おじいさんの代で本格的にアパート経営が始まって、それを父親の代で鉄筋コンクリートに建て替えていきました。
武蔵新城は、戦中から戦後にかけて、企業の社宅が一気に並んでいったと聞いています。なので、街の形はそれにあわせてできていきました。世の中も団地化と核家族化が一気に進行していった。武蔵新城はというと、東京に近いこともあって、単身者のニーズがどんどん増えていきました。
父親が引き継いだ頃は、バブル景気の時期。この時期に父が取り組んでくれたことが今に大きくつながっていると思うんです。
父の姿
幼少期の父親とのエピソードでとても記憶に残っていることがあります。その時は、家族旅行か何かで首都高を車で走っていました。ちょうど東京タワーのあたりで、ばーっと並んでいる森ビルを見ながら父が、「お父さん、あれをやろうと思うんだけど、ああいうことやったら、後継いでくれるか?」って言ったんです。そんなこと言われて「継がない」とは言えないですよね(笑)
森ビルさんのような大手のデベロッパーとは規模が違うものの、当時はブランド名を統一して賃貸業を展開するのは珍しかった。それこそ個別の名前がついた共同住宅のような形が当たり前でした。それを父は考えて、「セシーズイシイ」というブランド名をつけてくれた。それが、名称が浸透している理由ですし、今の基盤になっていると思います。
そして、何よりも大きかったのは、自宅を売ったことです。
きっかけは曾祖父の相続の際に多額の相続税を納める必要が出て、物件の売却を考えなければならなくなったことでした。当時の地主さんは、自宅を残すことを意識しているのが基本でしたが、父は、自宅は金を稼がないと売上を確保するために自宅の売却を決意しました。世間の常識や先祖が400年暮らしてきた土地を手放すというのは大きな決断だったと思います。当時は、生活のためにも今後どうするかを本気で考えないといけない状況でした。
そんなときに(父からすると)伯父さんにかけられた「ご先祖様も大事だけど、今を生きている人が一番大事。今を生きている人が苦しかったら、ご先祖様も浮かばれないよ」という言葉が、環境の変化が激しい中で全て自分が責任を負わなければならないという父の背中を押してくれたみたいです
こういう父のエピソードが、変化をおそれない、僕の中で判断基準になっていると思います。だから、父にはほんとうに感謝しています。褒めすぎると夢に出てきそうでイヤですが(笑)
そんな父から事業を引き継いだのが38歳。父は当時60歳で亡くなりました。
亡くなってからしばらくのことは…半分以上覚えていないですね。それまで13年くらい、父が社長で、僕は役員という形で一緒に仕事をしていたのですが、最後の意思決定は基本的に父でした。それが、「これから全部自分が決める」という責任を背負うんだと、急に実感させられました。父が昔背負った責任の重みもこうだったのかもしれません。
リノベーションから、エリアイノベーションへ
そこから今に至るまで、代表として経営に邁進してきましたが、武蔵新城でのエリアイノベーションの取り組みは、父が存命だった頃にきっかけがあります。
今のセシーズイシイ7は、平成4年に開業しました。当時の家賃は一部屋が月8.5万円。それがどんどんどんどん下がっていきました。もとは家具や電話付きだったんですが、ニーズに合わなくなっていき撤去していきました。そこでリーマンショックが発生。一気に空室ができました。
退去する人に理由を確認すると、田舎に帰っていく人が多かった。もちろん次の入居も決まらない。若い人が街を離れていく。僕がこの仕事を始めてから、ずっと家賃は下落していました。
これをどうにかしないといけない。部屋にいろんな工夫を設けて、付加価値をつけようと何度も父と相談を重ねました。でも、何か違う感覚があって、もっと抜本的な変化が必要なんだという課題感がずっとありました。
家族や生活の形は変わっている、でも、これまでにつくってきた部屋は残っている。時代に合わないものをどう変えるのか。そんなことをずっと考えていたんです。
そんな時にたまたまジェクトさん主催のオーナー向けの勉強会でリノベーションという言葉を知って、やっぱり建物は変わらないといけないんだと思いました。
そしてそれ以上に驚いたのが、熱海で参加したリノベーションスクールでした。これまで部屋や建物をどうするか考えていたのですが、そこではまず街全体を見ることが大事だと教えられました。そのうえで古い建物などの資産を活用して、どう街の価値を上げていくのか…。これまでにない視点でした。
この武蔵新城という街で自分の物件をどうしていくのか、という問いかけはずっと自分に対してしていました。なので、リノベーションという目の前にある建物をどう利活用するかかという視点は既にあったのです。しかし、街について考えるということは、話が自分にとどまらないので、最初はすごく抵抗がありました。しかし、小さなきっかけを大切に変化に挑戦することで、意外な結果が生まれました。
まず改修が決まっていたセシーズイシイ7に新城テラスをつくって、第六南荘のリノベーションやコワーキングスペースの新城WORKに続いていきます。その他のテナントスペースもあわせて、色々な人とのつながりが生まれました。さらに、その場所をきっかけに個人事業者の方や様々なパートナーによる協働が生まれていきました。最初は抵抗があったエリア視点での挑戦。でも、視点が変われば仲間が増えたのです。
そのような活動を評価いただいて、結果的に2021年度の『GOOD DESIGN AWARD』を『まちづくり(武蔵新城のエリアリノベーション)』で受賞することができました。これまでの土地や建物を利活用してつくりあげてきたカフェやコワーキングスペース、そしてそれらの場を通した人と人が交流できる活動(イベントなど)を評価いただけたのがポイントです。
建物のリノベーションを通じてエリアの環境にも変化を与える、それがエリアリノベーションです。オーナーとして武蔵新城で取り組んでいることが、一つのつながりを見せてくれました。
ただし、これはまだ途上です。今後は、建物のリノベーションによる変化やこの活動を通してできた仲間と共に、この取り組みをもっと発展させて、武蔵新城という街により広い意味合いでイノベーション(革新)をもたらす必要があると考えています。
『エリアリノベーション』と『エリアイノベーション』。たった一文字の違い、ですが、ここには大きな意志が表現されています。
エリアリノベーションでは、オーナーとして所有する建物の利活用を中心にエリアの活性化を考えていました。しかしエリアイノベーションでは、地域社会や人々の幸せのために、時には自分たちの建物を活用、時には仲間との協働による建築外のアクションが必要になります。
そこで、この変化のきっかけとして、これまで物件名で使用していた『セシーズイシイ』を会社のブランドとして扱い、建物という『点』ではなく、街や地域という『面』で地域社会や人の暮らしに変化を起こす『エリアイノベーション』に本格的に取り組むことになりました。
これからセシーズイシイは、地域で活動をする仲間たちと手をつなぎ、この街で幸せを生むライフスタイルをつくるために、建物の利活用(エリアリノベーション)にとどまらない様々な地域の暮らしの変化(エリアイノベーション)に挑戦します。
これがセシーズイシイの変遷です。
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代表の石井に広報担当から、過去から現在までの変遷を取材しました☺️
セシーズイシイの変遷というテーマはもちろん、個人的には、石井家の皆さんの「街を想い、人に手を差し伸べるやさしさ」が、長く武蔵新城という街で賃貸サービスを続けられた秘密なのではないかと思いました。
それが今もエリアイノベーションを通して、武蔵新城という街に革新をもたらし、多種多様な人のつながりの起点として、様々な人に手を差し伸べているのだと感じました✨
これからもセシーズイシイのnoteでは、武蔵新城という街の変化や、街を楽しむちょっと良い情報をnoteやSNSでお届けします♪
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