劇場版 鬼滅の刃 無限列車編 初見感想

土曜プレミアムの一挙放送を11月に入ってから見た超絶にわかの感想。
正確には連載当初、手毬の鬼と矢印の鬼が出るあたりまでは読んでたのを、アニメ見るまで忘れてた人間の感想である。

きっかけ

漫画やアニメについてはある程度好き、という自覚はあるものの、毎期新アニメをチェックしている人ほどの知識はなく、昔見た作品を何度も鑑賞している程度だ。
特に好きな漫画はと聞かれたらHUNTER×HUNTERを挙げたい。(※ちなみに鬼滅4巻の帯を冨樫先生が書いたことで当時話題になった)

鬼滅の刃が人気らしいことは、オタクをやっていたら自然と耳に入ってきた。アニメ放送後のことである。
それから一年あまり経過し、劇場版の興行収入がえらいことになるなどしても視聴するに至らなかったのだが、急に見たくなったのには明確なきっかけがあった。

主題歌「紅蓮華」の歌詞である。
現在のように社会現象的流行になってからは、普通に生活しているだけで紅蓮華を耳にする機会は多い。
ある日、バラエティ番組で芸能人がカラオケ的なことをしており紅蓮華が流れてきた。
私は「強くなれる理由を知った」につづく冒頭の歌詞を、勝手なイメージで「君を抱いて進め」あるいは「君を連れて進め」だと思っていた。
どう見ても炭治郎が禰豆子を連れて行っているからである。

しかしそのカラオケ番組で流れた歌詞のテロップで初めて気がついた。
「僕を連れて進め」だったのである。
そうか、と思った。
物理的には炭治郎が禰豆子を運んでいるが、精神的には禰豆子の存在が炭治郎を連れて進んでいるのである。それは素敵だ。(※歌詞の解釈が合っているかはわからないが、それは受け手の自由とさせていただきたい)
かくして私は、録画だけしていたアニメをすべて視聴し、映画館へ行くことになった。

現状の知識・ネタバレについて

というわけで、土プレと再放送で見たアニメのテレビシリーズのみの知識で今回の映画 無限列車編を見た鬼滅初心者の初見感想を残しておこうと思う。
その範囲内のネタバレを含むことと、原作ですでに明らかになっていることについて疑問を抱いているかもしれないということに注意されたし。
それに伴い、原作(ほぼ)未読のアニメ感想にもなっている。

原作は既に全巻書店で注文済み。手に入るのは一体第何版になるのだろう。一気読みできるとは贅沢なことだ。
原作を読んだ後に自分の感想を読み返して「お前は何もわかってねぇ!」と思うかもしれないことすら楽しみである。

冒頭~夢の中へ

鑑賞日は2020年11月13日金曜日。
平日昼間なのと翌日から配布特典追加だったせいか人は少なめ。
泣く内容らしいとは聞いていたので涙腺弱い身としては戦々恐々で、空いている時間を選んだ。
「どうせ泣く」という頭でハンカチ握り締めて席についた。気持ちを高めすぎて予告のSTAND BY ME ドラえもん2でもう泣いていた。
何を見ても見なくても泣くタチなので私の涙はあてにならない。普通の人はどこから泣き始める映画だったのか聞きたいものだ。

劇場で聴くお館様の御声。
鬼殺隊当主が森川さんで鬼舞辻が関俊彦さんって双方強すぎる。

前日にアニメ最終話を復習として再確認していたので、まさに続きが見れるとわくわく。観てから行ってよかった。
魘夢のキャラデザが好きすぎる。手の甲で喋るとか悪趣味でいいね~~名前の字に「鬼」が入ってるのもいい。鬼の名前は鬼になってからつけられてる?
正直、彼を見たいがためにアニメ履修して映画館行ったところある。
猗窩座は上映前、シークレット出演的扱いだったのか?
石田さんでびっくりした、みたいな記事は読んだ(アニメ見る前だったので何もかもピンと来てなかった)。
記事内で石田さんが「普段は魘夢みたいな役が多いんですけど」とおっしゃってて本当それな。石田さんの魘夢めちゃわかる。
でも平川さんがすんごい良かったんだよなあ~これは他の人だったら全く別のイメージのキャラになってたと思う。
まぁどうせ、映画中で倒されるんでしょうけどね……敵役の宿命……。

十二鬼月が目に番号刻まれてるってのも好き。ハンターハンターの幻影旅団を彷彿させる(最初の奴がフェイクだったのも含めて)。
ハンター好きだからそう感じるのかもしれないけど、端々で結構影響受けてそうな描写あるんだよなぁ。

無限列車。ビジュアルすげー。
列車がずっと走ってる中での戦い、止まった時が決着の時、ってことね。
走る列車の上でのアクションって映画映えする。
途中からは魘夢が列車と一体化しちゃって、あまり人の姿を見せてくれなかったのは寂しい。
個人的にはペーパーマリオRPGのリッチリッチエクスプレスのボス「モアモア」を思い出した。

煉獄さん。
前情報が全くないので、どういうキャラか探り探り。
小手調べ的に鬼退治。アクション……かっけえな……
本当に、鬼滅のアニメには全漫画好きが嫉妬する出来栄え。
自ジャンルもこんな良質アニメ化してほしい……!だから今は鬼滅を楽しむのが一番幸せであろう。

と、煉獄さんの強さを示したところで……あれ、そういえば今回、悪夢がどうとかそういうキャッチコピーだったはず。もしかしてもう眠らされてる?と気づいた時ぞわぞわっときた。
「血鬼術」だっ…………!! お…「鬼」がいるのかッ! この列車の中にッ!

画像1

ジョジョの奇妙な冒険 第5部 第49話より
(※スタンド能力的には6部冒頭のホワイトスネイクだと思った。鬼滅ではこんなにもわかりやすいのに、ジョジョでは何故あんなにも難解だったのだろう……)

夢の中。幸せな夢。
炭治郎の夢、きつい。この描写はきついぞ。
私達には夢だとわかりきっているからこそ、幸せそうな炭治郎が見てられない。
これ原作通りなんだろうね?たぶん。
こうやってちょいちょい最初の目的を思い出させるようなエピソード入れこんでくる構成が上手い。

鬼滅は全体的に情報の出し方が非常に巧みである。それに伴うキャラ造形も。
冨岡義勇さんとか、胡蝶しのぶさんとか、栗花落カナヲちゃんとか、初登場からしばらくはいけ好かない感じを出しているが(私はそう感じた)、回想やその人の言動で人となりを知っていくほどに愛着がわき、魅かれるようにできている。
鱗滝さんの手紙で冨岡さんまで命を懸けてくれてたのがわかった時「冨岡さぁん……あんたええお人や(´;ω;`)」だったものね。まんまと。禰豆子を庇ってくれた時点でいい人なのはわかってたはずなのにね。

しのぶさんも最初は「あーよくある非力女性キャラ余裕最強系ねハイハイ」と斜に構えて見ていたが、回想でお姉さんの描写がされて、しかも当時のしのぶさんが今みたいじゃなく、おそらくお姉さん亡き後にお姉さんの雰囲気を吸収し、融合しようとしているように感じたもんだから、非常にグッときた。
表面の描写だけ見るとあの手のキャラはいかにも「漫画的」だが、今のしのぶさんは自身で「作ったキャラ」だから、そう見えて当然、浮いてることにならない。見事。
不死川兄弟とかもきっとそうだ。これからどんな人物なのかわかっていくんだろう。

キャスティングの話

善逸と伊之助はコミックリリーフに徹していた印象。夢もいたって平和。刺客に侵入されても平和。
善逸といえば、鬼滅のアニメではベテラン声優のすごさをひしひしと感じた。
ベテランといっても、若手でない、くらいのイメージで使っているのだが、中堅以上の名の売れている人達ってのはやはりすごいのだ。
正直言って、今年になって鬼滅が以前にも増して話題になり始めたころ、メインキャストがバラエティ番組に出演するなどしているのを見て、失礼ながら本業外のとこでチャラけてんなぁなんて思っていた。
しかしアニメ本編を見て、まさに見直した。善逸これ相当難しい役でしょう。
あんなにもギャーギャー叫んでいるのに聞いていられる。たまに聞き取れない箇所もあるが、それは下野さん(あるいは演出家)が意図的に「ここは聞き取れなくてもいい、わめいていることがわかれば」としていることが伝わってくるのだ。
善逸は下野さんじゃないと成り立たなかっただろう。この人だからコメディとシリアスのどちらの善逸もちゃんと善逸でいられる。

もちろん柱の面々だってすごい。
まるで素人が考えたような、蛇柱が鈴村さんだったらいいよね、そうはならんやろ、なっとるやろがい、という夢のキャスティングだ。
冨岡義勇という男を再評価して日が浅いためすぐ引き合いに出してしまうが、櫻井さんの演技も今更言うまでもないがすばらしい。
実際、以前より円熟しているのだろう。昔ほかのキャラで聞いた時より年を重ねられているはずなのに、冨岡さんの声が非常に「若い」のである。
無口で物静かながら、若々しさが溢れている。実際冨岡さんの年齢は若いらしいのだから、そうでなくてはならない。すばらしい。


夢の中~魘夢との戦い

煉獄さんの夢。
ここで煉獄さんがどういう人か、描かれるわけだ。
無意識領域に炎が広がってるのが良い。どうやら代々、炎柱の家系のよう。
あれは夢としての描写なのか、実際にあったことなのか。
これについてはその後のストーリーで語られることになりそうだな。
この辺りも流れが上手い。
ヒノカミ神楽で火の呼吸→火の呼吸と炎の呼吸って?→煉獄さんに聞いてみたい(一緒に任務)→煉獄さんの故郷を訪ねる(未読なのでおそらくだが)というストーリー運び。

炭治郎の無意識世界の綺麗なこと。本当に綺麗。心洗われる澄んだ空。
そして炭治郎の夢は禰豆子がいない世界なのか?と思いきや、出てはきた。

禰豆子というキャラは最強のヒロイン像になっている。
喋ることができない、という設定によって生まれているのが、ある種の動物的な愛らしさ、いとおしさだ。
犬猫と飼い主の関係のような、非言語コミュニケーションによる絆が描かれるのが何より強い。
もし禰豆子がベラベラ喋ってたら全然違ってくる。
それに鬼になっていることによって、足手まといにならない。これも強い。
何より、炭治郎の原動力になっているってのがね。
そう、しのぶさんはそういう意味で「禰豆子を失った炭治郎」のポジションに置かれているのか、とも思った。
とにかく、いわゆる「ヒロイン」が毛嫌いされる要素を軒並み排除している。
今回も禰豆子を連れてきてなかったら炭治郎が夢から覚めたかわからなかったし。乗客も守ってくれてたし。
寝てる炭治郎に自分をなでなでさせようとするところとか、あ~~いじらしい!

禰豆子のピンチ!そこへ颯爽と現れる善逸!
そうだ眠っている時こそ本領発揮する男がいたじゃないの!
霹靂一閃の演出かっけえええ!!!掛け値なしにかっこいい。善逸の技が一番エフェクトかっこいいと思う。
よしこれ見たさにもう一回行くぞ。今度はIMAXで。

魘夢の血鬼術設定も上手くて、いろんなところに繋がっていたと思う。
善逸の技発動もそうだし、全集中常駐訓練で炭治郎が寝てる間も全集中を切らさないようにしてた描写も伏線的に効いているはず。

魘夢の血鬼術SEが最高だな~音の面がアニメで最大限に活きてる。
最初に感じたのは矢印鬼の矢琶羽の時。
記憶力が悪すぎて読んだはずの原作でどんなだったか覚えてないのだが、掌の目を閉じたときに発動する感が音でよくわかった。彼の場合は矢印の動き演出もすごくよかったけども。
それから鼓や琵琶なんかも、当然漫画だと音は鳴らないわけで、これはむしろ原作の設定がアニメに向くように作られていたというべきなのか。
下弦が集められてた場所の背景もすごかった。漫画だとどうなってたのか確認するのが楽しみ。

「お眠りぃ」から「眠れ」になるの痺れる。こういうキャラが本気モードに切り替わる瞬間たまらん。
眠らない炭治郎。と思いきや、術は効いている。
切り抜け方が主人公だわ。
ジャンプの主人公は、気持ちの面で負けちゃならねぇのよ。

伊之助は映画中被り物を外さなかったような気がするな?
顔の話とかになると初見さんには情報過多だし英断。
炭治郎を諭すような場面もあって、あくまで炭治郎を主人公としてメインに置きつつも「仲間との共闘」が描かれてたと思う。

煉獄VS猗窩座

水とか炎とかの属性技だけじゃなく、打撃の衝撃波?のようなものの演出もかっこいい。だから煉獄さんと猗窩座の戦いもすごかった。
あと鬼滅じゃ剣劇が欠かせないわけだけど、ufotableって活撃/刀剣乱舞も手掛けてたんだな。そりゃ刀の扱いはお手の物か。どこをとっても鬼滅はいろいろと持ってる。

で、私は舐めていた。少年漫画の戦闘ってやつを。
いくら厳しい戦いを描かれていても、当然主人公側が勝つでしょうと。思っていた。

えっ嘘、煉獄さん死ぬの!!!??
本当に死んじゃうの!!!???
嘘じゃん実は生きてるんでしょ?今からどうにかするんでしょ??

めちゃめちゃ動揺。衝撃。
いやマジで、ここで最期を遂げるなんて聞いてない(各所、ネタバレしないでくれてありがとう)(たまたま踏まなかっただけか)(ファンには常識すぎて書くまでもなかったということか)
普通に、煉獄さんがどないかして逆転勝ちするんだろうと高をくくっていて、ここからひっくり返すんだろうなーなどと思っていた。
いいや、勝ったんだよね。勝ったよ。煉獄さんが勝った。
炭治郎の言う通り、煉獄さんの勝ちなんだ。
他者がこうやって強さを言及してくれる描写は良い。
そしたら煉獄さんが穏やかに笑うものだから、私はまだ甘いことを考えていて、いやいや、敵は去ったし、あとは煉獄さんの治療を……早く……泣くなよ炭治郎、まだ死んでないんだから、ほら煉獄さん笑ってるから大丈夫どうにかなるはず死ぬなんてこと

煉獄さんーーーー!!!!!

ただただショックを受けた。
だってまだ、まともに話すところを見て2時間ほどしか経っていない。
最初は変な人だなぁと、炭治郎達と同じように感じ、これからもっともっと煉獄さんのいろんな面が見られるんのだろう、と思っていた矢先のことだ。
完全にリアルタイムで炭治郎達と同じように煉獄さんとの時を過ごした感があった。

今際の時に煉獄さんが見たのは、母の面影。
やはり泣き所はここと言えるだろうか。予告のドラえもんから泣き通しの私に、他の人がどこで泣いたのか教えてほしい。

エンディング

これも設定の妙であるが、鬼との戦いは常に夜であるため、事件が終わった時にはいつも夜明けがやってくる。
鎹鴉から柱に伝えられる、煉獄さんの死。それぞれの反応。
一言「そうか」と零す冨岡義勇。ああーいいキャラしてんなー!!
描写が、キャラの立たせ方がすごく良い。

こうなると冒頭のお墓参りするお館様のシーンが最後に繋がって効いてくる。今になってジワジワくる。

エンドロール……炎……ここで終わられたって帰れないよ!!
煉獄さんを300億の男に、などというムーブメントが起こるのにも、彼の勇姿を見届けた今なら得心が行く。
上映後しばらく席も立てず、何も考えられなかった。
嬉しいとも悲しいとも言い切れない、不思議な余韻だった。

おわりに

映画前は緊張して食欲がなく、観終わってからゆっくり食べようと思っていたのだが、おかげさまで終わってからも食事が喉を通らなかった。
しかし展開をまったく知らずに見れたことは幸運だ。
帰宅して、再度アニメを1~26話まで見返させる程度には訴求力があった。

この映像と音の迫力は映画館で味わってよかった。
今週末もう一度、鑑賞するつもりだ。
この記事を書いている間に書店から入荷連絡がきたので、次は該当箇所まで原作を読んでからにしようと思っている。

とりとめのない感想は以上です。お粗末さまでした。


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