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ねこはひたいをせばめじそんしんをたかめた

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短歌 を ここに。
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2021年4月の記事一覧

歯を磨き一見開きで寝落ちするベッドの上が本棚みたい

風吹いて髪の毛乱れ雨が降り傘もささずに一心不RUN

今だから言うけれど夕焼けは今宵が立ち上がる前の屈伸

釣りに行き坊主で帰る日暮れ時母が尋ねる今夜のおかず

草刈りに駆り出された日は暑くて死にそうで僕は吐き気がした

辞典に挟んだクローバーが同調圧力で三つ葉に変わった

美術史で語られるひとは嫉妬心で音楽室を後にした

くつろいで犬の頭をなでまわす白目浮き立つ野生のにおい

あのビルが布でつつまれ工事中 通勤で観る梱包アート

エレベーター乗れば最後あのパーティ頭真っ白はドレスコード

金網を乗り越えてみた裸足だよ待てよ「デモネ」もそっちいくから

親指を握りしめると冷たくて二つに折ったアイスキャンディー

わたしとはあなたではなくあなたにはわからないものわたしたくない

よく晴れた午後の廊下で猫たちが気を失い白目剥いている