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ねこはひたいをせばめじそんしんをたかめた

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短歌 を ここに。
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2021年3月の記事一覧

雑音も螺旋階段かけのぼる遅れた時間ぶんだけそこへ

首筋が汗ばむ季節到来し夜なのに昼より暑い部屋

セーターがきれいに裂ける気がしたらきょうはいい風吹くこの辺り

寝転ぶと背中がかたく伸ばされて透明のアメーバを見つめる

ひっかけるグリーンティーを一人きりで空気の粒子を噛みながら

指先にあぶないやつが腰かけるガムを吐き捨て歌いはじめた

カテキンとカフェインを注入し仕事にとりかかる調子をだそう

吠えたぎる月夜に響け静けさと背中合わせに先を急いで

缶切りで埃を拭い桃磨き均一の牙柔肌を噛む

手のひらを水平にしてへの字口まあまあいける味だと思う

V

VenderのShakeに声をかけてみる小声で言うと吸いこめないよ

紡いだら海になる糸を垂らして枯れた体をぐるぐる巻きに

窓開く整列位置の招き猫 くうきがちがうのびしようかな

枯れ葉舞う分厚い美術館の外 挨拶のない挨拶をする