No.33 二人目の出産。まだまだこんなものではない

ちょうど夜中の12時頃にお腹がチクリと痛くなり、胎児もそろそろ産まれる準備ができたのだとわかった。

産科医はすごいな。
前日の検診の時、子宮の張り具合で「そろそろ産まれるかもしれない」とわかるのだから。それが専門医と言えばそうだけれど、でもすごい。
経験てすごい。そう思った。「破水に気をつけて」と言われるくらいなので、よほど張っていたのだろう。破水しなくて良かった。

三才半の娘と二人で病院に向かい、入院したのは午前二時半で、
そのあと子供が産まれてくるまで19時間病院で過ごした。
まだ陣痛というほどのものではなく、本来ならば
「10分間隔になったら来てください」と言われると思う。
それをその後の予定相談のために連絡をしたら助産師さんが
「もう来ていいですよ~」と気持ちよく言ってくださり、
どれほど気持ちが楽になったか。
「うーん、そうですねぇ」と考えてからではなくて
第一声で「もう来ていいですよ~」だった。
何度思い出してもありがたい。

仕事のため新潟県内に出張していた夫も、朝一番の新幹線で帰京し、
そのまま病院に来てくれた。
一人目の時と同様、絶対に出産に立ち会うと言っていた。
私は「陣痛室」という部屋にいた。
ベッドが七台ほどあるその部屋には、陣痛の間隔が短くなった妊婦さんがくる。そしていざ出産になると分娩室に移動する。
私はお腹がチクッの状態で陣痛室に入っているので、そんなに直ぐには出産にはならない。あとから来た人が先に出ていく。
朝から何人の妊婦さんを見送ったかわからない。
助産師さんに勧められて、陣痛が進むように親子三人で院内を散歩した。
階段がいいと言われ、息を切らして上がったり下りたりを繰り返した。
陣痛が五分間隔になり、痛みも強くなってきた。
でもまだ歩けるし、一人目の時に比べたら全然余裕だ。
「痛いのは痛いけれど、尾骨が砕ける~というほどではないし、まだまだ当分先だろう。一人目の時はこんなものじゃあなかった」そう思った。
夫も同じように「まだまだだな」と思っていたらしい。
でも痛みの間隔はどんどん短くなる。
助産師さんに「分娩室に移動しましょう」と言われ
「えっ、もう??」と驚いた。

一人目の時ほどではないと言っても、やはりその時になれば陣痛は苦しい。
でも、一人目の時のように、促進剤や胎児の吸引は必要のない自然分娩だった。
息子は夫と長女の見守る中、無事に誕生した。
その夜の出産は私一人で、助産師さん総動員で介助してくださり、
贅沢な時間だった。

夫と長女は一晩私の部屋で過ごすことになった。
長女は前夜二時からずっと起きていて疲れたと思う。
夫と一緒にソファで眠るかと思いきや、当然のごとく私のベッドに入ってきて、しかも真ん中で眠りに落ちた。狭い……でもまあ仕方がない。
初めての親子四人の夜。

その時産まれた息子は、今日が大学の入学式だ。
随分と大きくなったなぁ。


今日も幸せな一日でありますように。

Love & Peace,



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