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「Servitization(サービタイゼーション、サービス化)」って何?

製造業界隈では、結構前から「製造業のサービス化」という言葉が使われています。似た言葉で「モノからコトへ」や「コトビジネス」という言葉があります。いわゆるソリューションを提供しようとする試みですね。このコラムでは、これらの言葉「Servitization(サービタイゼーション)」と表現していきます。

筆者が関わるビジネス現場では、"「Servitization(サービタイゼーション)」が何なのかわからない”という声をよく聞きます(もしかしたら、他の多くの企業も同じなのかもしれません)。
このコラムではこの悩みの解決に少しでも貢献できるように、「Servitization(サービタイゼーション)」を少しずつ紐解いていきたいと思います。

Servitization(サービタイゼーション)の事例は沢山ありますが、よく見聞きするものとしては、ロールス・ロイス社の「Power by the Hour」や、コマツ社の「KOMTRAX」あたりでしょうか。どちらも①高価な機械製品を対象に、②顧客の製品使用状況をメーカーと共有することが共通点として挙げられます。特に②はデジタル技術やインターネット技術の急伸によってメーカによる顧客側データの収集が容易になってきています。

ロールス・ロイス社の「Power by the Hour」は、エンジンを顧客に販売するのではなく”エンジンの使用時間に応じて課金する”、いわゆるサブスク型のビジネスモデルです。ロールス・ロイス社は、エンジンに組み込まれた各種センサーから顧客が使用しているエンジンの稼働状況を収集し、修理や点検の必要性を個別に判断・提供しています。「Power by the Hour」によるメリット/デメリットはさまざまですが、例えば、顧客がエンジンを購入しなくて良いので経費を変動費として計上できるメリットがあります。何より、エンジンを自ら管理する必要がないこと、稼働状況に見合ったメンテナンスをロールス・ロイス社が主体的に行なってくれることでメンテナンスコストの適正化や事故・故障のリスク低減にもつながります。コマツ社の「KOMTRAX」もロールス・ロイス社の「Power by the Hour」と同じく、顧客の使用している機器の稼働状況をコマツ社が遠隔で監視しており、故障予測に基づく適切なメンテナンス提供をしています。また、稼働状況がわかる=機器の歴史がわかるので、中古品として販売する場合の信頼性も向上します。一方、ロールス・ロイス社とコマツ社ではビジネスモデルが大きく異なります。ロールス・ロイス社は”エンジンの使用時間に応じて課金する”方式ですが、コマツ社は顧客に建設機械を販売しています。つまり、「KOMTRAX」の利用料は無料です。

じゃ、「Servitization(サービタイゼーション)」って、顧客から機械の使用状況を収集してソリューションを提供することなの?となりそうですが、筆者はそのように捉えていません。

オーナーシップからユーザーシップに、アウトプットからアウトカムにビジネスの視点を変えること

筆者は「Servitization(サービタイゼーション)」をこのように捉えています。このことを理解するには、「サービス」の歴史を振り返る必要がありますが、とても大変です。筆者もまだまだ理解が追いついていない部分も多いので、次回以降
少しずつ、一緒に振り返りたいと思います。

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