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セメント改良で河川堤防の材料を確保

セメント改良が河川堤防の築造や補修に役立つことを紹介します。土木建設工事等で発生した土を河川堤防の材料としてそのまま用いるのが難しい場合、セメントによって土質を改良した上で用います。土質改良における留意点や土質改良の流れを説明していきます。

河川の地盤改良 整形状況

盛土材料を確保するための土質改良

河川堤防が原則として土提であるのは、経済的であること・材料が入手しやすく劣化しにくいこと・不同沈下等の修復がしやすいことなどが理由としてあげられます。
河川堤防の盛土材料として、河道を掘削した土や建設で発生した土などを用いますが、そのまま用いると盛土材料としての安定性を欠くことも珍しくありません。その場合、曝気乾燥したり、良質土と混合したりした上で、盛土材料として使います。曝気または混合によって、土の粒度や含水比を調整するのです。
曝気乾燥や良質土と混合しても安定性に欠ける場合は、セメントや石灰などの添加材による土質改良を行います。
土質改良を行った土には、以下の品質が求められます。
・河川堤防の盛土材料としてふさわしい粒度分布であること。
・有害物質が含まれていないこと。
・養生期間が終了した時点において、施工機械のトラフィカビリティを保証するために必要なコーン指数を達成していること。

すなわち、河川堤防として必要な強度が達成でき、環境負荷が小さく、将来的な補修や拡築が可能なことが求められるのです。

セメント改良で目指す、適切な土質改良

土質改良が必要な土質は、例えば粘性土(含水比が高い)・浚渫砂(細粒分が不足するため締め固めにくい)・火山灰質粘土(粘り気が強いため細かく砕いたり混合したりしにくい)などがあります。このような扱いが難しい土質の土をどのように配合すればよいか、また混合工法は何を選択すればよいか、添加剤は何を選択すればよいかを検証する必要があります。
数多くある添加材の中でも、セメントは多様な土質との相性が良い上に、高い強度を出すことができるという利点があります。効果が永続する点も大きな強みです。
とはいえ、セメントを用いて土質改良しても、施工後にクラックが発生したり植生に不安が生じたりすることは避けなければなりません。土質改良の工法や仕様を慎重に検討し、試験やモニタリングを行った上で施工する必要があります。
混合工法においては、性質の違う土どうし(例えば粘土と砂)または土と添加材が分離せず、ムラなく混ぜることが求められます。例えば、粘土がかたまりの状態のままほどけなかったら、改良材と均一に混ぜ合わせることができません。混合攪拌を十全に行ってこそ、河川堤防の盛土材料として安心して用いることのできる高品質の改良土が作れるのです。
セリタ建設ではバックホウに専用アタッチメントを装着することで、良好な混合状態を実現します。また、粉体のセメントはもちろん、状況に応じてスラリー(セメント系固化材と水との混合物)を用います。スラリー改良は施工中の粉塵を抑制できるなど環境負荷が小さい上に、改良土の均質性にも高い評価を得ております。

室内配合試験やモニタリング

セメント添加量は室内配合試験を実施し、十分かつ過剰でない、適正な強度を確保できる配合量を見極めます。少し具体的に説明すると、施工中の機械のトラフィカビリティを確保できる配合量であり、かつ、経済性が損なわれたり環境負荷が高くなったりするような過剰な配合ではない量ということです。
施工中は水質や土壌のpHを調査し、異変があれば施工の進め方を見直します。セメントは石灰と比較して環境に良くないというイメージをお持ちかもしれませんが、過剰な配合量を避ければ、環境に大きな影響を与える恐れはないことが、施工実績や研究結果から指摘されています。さらに、過剰な配合量を避けることは、クラックの発生を防ぐことにもつながるとの研究結果もあります。
セメントによる適正な土質改良は、河川堤防の盛土材料を確保するための重要な手段といえるでしょう。

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