石川五右衛門3世―但し直系ではない/贔屓の筋⑤
調べが行き詰まっているという噂は、俺の耳にも入ってきた。
そもそも、俺は(独歩もだが)、下手人の疑いを掛けられた身だ。
人格が高潔なので、疑いは一瞬で晴れたのだが。
「入会地の草刈りをした人のところに、調べが入ったんだ。でも、犯人はいなかった」
俺の家に、遊びに来た独歩が言った。
どこからか聞き及んできたらしい。
「へえ! 全員の所を訪ねたわけかい?」
寝転がったまま、俺は尋ねた。
「岡っ引きってのは、ヒマだな」
「そうだね。寺にまで来るんだもんね。……ただ、