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石川五右衛門3世……但し直系ではない

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俺の名前は、五右衛門3世。かの有名な大泥棒・石川五右衛門の、弟の子孫だ。3世を襲名するからには、当然、義賊である。 謎解き連作短篇集です。
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記事一覧

石川五右衛門3世―但し直系ではない zero

あらすじ俺の名前は、石川五右衛門3世。かの有名な大泥棒・石川五右衛門の、弟の子孫だ。3世…

せりもも
1年前
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石川五右衛門3世―但し直系ではない/五右衛門3世、登場①

 月の明るい夜。  ばらばらばら。  ばらばらばら。  空の方から何かが降ってくる音。 「…

せりもも
1年前
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石川五右衛門3世―但し直系ではない/五右衛門3世、登場②

   金倉屋の朝は早い。  住み込みの番頭が雨戸を開けたのは、まだ、夜の明け切らぬ寅の刻(…

せりもも
1年前
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石川五右衛門3世―但し直系ではない/五右衛門3世、登場③

   大騒ぎになった。  調べてみると、家人には、花の他に熱の出ている者はいなかった。だ…

せりもも
1年前
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石川五右衛門3世―但し直系ではない/五右衛門3世、登場④

 おえんの話が気になったので、妙の部屋をのぞいてみることにした。  決してスケベ心からで…

せりもも
1年前
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石川五右衛門3世―但し直系ではない/五右衛門3世、登場⑤

 青空にいっぱいに翻る、洗い立ての夜具。おえんの寝巻着。  5歳の幼女に、宗十郎の幽霊は…

せりもも
1年前
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石川五右衛門3世―但し直系ではない/贔屓の筋①

 下から聞こえる物音に、蔓屋幾三郎は、はっと目を覚ました。  かすかな、ひっかくような音を、確かに聞いた。  気のせいかと思った。  明け方にはまだ早い。もうひと眠りしようと思った。だが、どうしても寝付けない。  思い切って起き上がった。  水でも飲んでこようと思ったのだ。  家の者を起こさぬよう、抜き足差し足で、階段を下りる。  廊下の端に置いてある水甕の水を汲み、柄杓から直接飲み干した。  厠に寄り、ふと、店を覗いてみようと思い立った。  蔓屋は、版元だ。  し

石川五右衛門3世―但し直系ではない/贔屓の筋②

 照り返しのきつい河原で一日働いて、それなのに、俺たちは、姿絵を買えなかった。  教えら…

せりもも
1年前
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石川五右衛門3世―但し直系ではない/贔屓の筋③

 「恐らく、首を切られてから、川に投げ込まれたのだろう」 もったいぶって、天寿庵が結論し…

せりもも
1年前
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石川五右衛門3世―但し直系ではない/贔屓の筋④

 「これ、独歩。独歩や。親分さんがお呼びです」  如信尼に呼ばれ、川端独歩が現れた。  …

せりもも
1年前
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石川五右衛門3世―但し直系ではない/贔屓の筋⑤

 調べが行き詰まっているという噂は、俺の耳にも入ってきた。  そもそも、俺は(独歩もだが…

せりもも
1年前
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石川五右衛門3世―但し直系ではない/贔屓の筋⑥

 「でも、五右衛門。それ、いいかもしれない」  あばら家に降臨した弥勒菩薩と生意気なクソ…

せりもも
1年前
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