Two treasures -Tatsunori's Story-

Padovaの試合を見て、寝られないまま今に至ります。
なかなか私の土曜日が終わりません。
1日のうちにいろんな感情を味わいすぎて、オーバーフロー気味というか。

インカレが始まって、見たい選手がたくさんいて、会場が分かれてたので、早稲田は後半から見ればいいやと思ってました。だって、負ける想像が一ミリもできなかったから。元々、強かった早稲田に最後のピースだったタツノリがはまったことでこのチームは間違いなく6連勝するんだと思っていたので。

木曜日から見る予定が仕事の調整に失敗し、早稲田の試合を見たのは金曜日の国士舘戦からでした。想定した通り早稲田はタツノリが入ったことで安定感がアップして、これはもうこのまま行くんだろうなと正直、感じていました。
国士舘もまとまったチームでしたし、戦いぶりも素晴らしかったけど、最後は力負けしたなという印象でした。

そして、準決勝。
楽しみにしてたんです、この試合を、とても。
早稲田 vs 筑波。
もちろん試合はチームで戦うものですが、洛南カルテットで同じコートに立って、垂水くんとタツノリがチームの主軸としてネットを挟んで戦う。しかも、この後はチームメートなんて、エモさしかないじゃないですか。

去年、垂水くんは準決勝で怪我をして、順天に負け、その二人の対戦を見ることができませんでしたから。

筑波は秋季のメンバーから牧くんを加えて、早稲田はキレッキレのタツノリを加えて、の壮絶な戦いの火蓋が切って落とされて、最初からテンションの高い試合でした。

まさか、早い段階でタツノリが怪我をしてコートを去ることになろうとは思いもしませんでした。1セット目の途中で怪我をして、コートサイドで治療をしてもらっている時、もうタツノリの目には涙が溢れていたようです。
悔しかったんでしょうね、このタイミングで。

動揺を隠しきれずだったのか、変わったリズムに対応できなかったのか、早稲田は1セットを落とします。
確かにタツノリを欠いたのは痛いけれど、早稲田はそこまでも戦い抜いてきたチームでしたから、まだまだ戦いようはある、と思っていました。

でも、タツノリはコートに戻ってきたんですよね、2セット目に。
万全であるわけはなく、果たしてそれでコートに立つの?と思いましたけれど、それは私にとっては、デジャブだったんですよ、自分がかつて見たシーンの。

2014年、私は上海で似たような光景に出くわしました。
フィギュアスケートの羽生くんが6分間練習で怪我をして、包帯ぐるぐる巻きにしてリンクに立ったことがありました。オリンピックでも、そこまで重要な国際大会でもないのになぜ無理をさせたと騒がれたやつです。

結果として、最上のパフォーマンスではありませんでしたが、その気迫に満ちた戦いぶりと表情は一生忘れないくらいの強さで自分に刻み込まれています。

正しさは分かりません。
今でも分かりません。

彼と同じようにタツノリもまたコートに立つことを選んだんですよね。
痛そうでしたよ。
パフォーマンスも万全なんかじゃなかった、もちろん。
他の選手を出した方が勝てたんじゃないか?と思った人がいるのも分かります。

でもね、思い出して欲しいんですよ。
勝負はタツノリがいて劣勢でしたか?
確かに最後の競り合いには負けて、勝ちきれませんでした。
でも、勝ってもおかしくない戦いぶりでしたよね?
私は早稲田がこのまま勝つんだろうなと思った瞬間がありました。
タツノリや、チームの選択がその状況を産んだんだと思っています。

それを断ち切った筑波もすごかった。
タツノリが戻ってきて明らかに筑波は戦いにくそうでした。最初の方はサーブでも彼を狙ってきませんでしたし。

最後はギアを上げた垂水くんが恐ろしい決定率で、試合の流れを奪い取り、牧くんという飛び道具がきっちりと仕事をして筑波が勝ち切りました。

もう、壮絶という言葉でしか語れない試合でした。

試合について色々語りたいのがファンやオタクですし、そこは好きにしたらいいと思うのですけど、彼らの気持ちはどこにいっちゃうんですかね?常識的に正しければそれが正解なんでしょうか?
(分からないんで、昨日からずっと自問自答してます)

誰が選んだことなのか私たちには分かりません。
本人なのか、監督なのか。
でも、最後はチームはその選択をしたんですよね。
負けたらその辛さも責任も自分たちが追うことが分かっていてそれを選んだんですよ。

その気持ちの深さや思い入れは私たちには永遠に見ることができませんので、何が彼らをそうさせたのかわかる日は来ません。
だから私は正しさを問う発言はしたくないなと思いました。
ただ残念でした、この試合が両方の選手が万全な状態で見れなかったことは。自分が描いていたしんどさとは違うしんどい感情で見なければいけなかったことが。

どこかで試合が早く終わってくれたらいいのにと思っていた自分もいたのも事実ですから。

ここで6連覇を逃したことはとてもしんどいことだとは思うのですが、これもいつか思い出に変わる日が来るのだと思います。
彼が最後までできることを選択し、コートの中で後輩を励まし、笑顔でプレーをしてる姿に心を打たれた人も多かったんじゃないでしょうか?
私もその一人です。
自分が思っていたよりも大塚達宣という選手が好きだなということに気づいたりしました。

大塚くんは間違いなくこの国のバレーボールの未来を背負っていく一人の選手だと思います。だからこの怪我が未来に響かないことをただ願うしかありません。

今日の3位決定戦にどんな選択をするのか分かりませんが、彼がまた楽しそうに仲間とバレーボールができるのを見られるのをじっくり待つことにします。

バレーボールの神様って、ちょっとひどくありません?
こんないい舞台にこんなシナリオを用意するなんて。
これが彼をもっと高みに連れていくための試練だとしても、ちょっとやりすぎですよ。反省してください、と伝えておくことにします。

最後にこの二人の姿を見て、戦い抜けてよかったと私は感じました。
お互いだけがわかる気持ちがそこにあったのだと信じて疑いません。

大田体育館にて。

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