It's just one match

彼は長くそのポジションを侵されずに戦ってきた一人だったのではないでしょうか?2015WCで華々しく世間にその名前を知られてから「史上最高の逸材」という肩書を与えられ、たとえ怪我でパフォーマンスが落ちていたとしてもその存在をチームから外すというのが考えにくいほどの選手でした。

彼があまりにも規格外の選手だったので長くその立場は不動のものでした。
今でも日本人という枠でみたら恐ろしく規格外ですし、彼を超える選手が出てくるのだろうか?と思っています。自分の中には、日本の未来のために出てきてほしいという気持ちと、難しいんじゃないの?という気持ちの両方が入り混じっているというのが本当のところです。

高橋藍はその彼を追いかけてきた21歳の青年です。
もちろん西田くんもそういう一人だけれど、ちょっと求めているものの方向性は違うのかなと感じています。(素晴らしい選手であることは間違いなくそうなんですけれど)
祐希くんがワールドカップでそうであったように、19歳という若さで代表のコートにスタメンとして立ち、オリンピックという大きな国際舞台を経験し、さらに強くなろうと祐希くんの助言もあり、イタリアの地で戦っています。

その二人がコートを挟んでたたかうことに私はワクワクしかありませんでした。
どっちが勝ってもいい。
今、二人が持っているすべてを出し切って戦いきれたら。
ハラハラするような展開で試合を楽しめればと思っていました。

イタリアの雑誌のインタビューで対談していた二人が口にしてたのは「オリンピックで金メダル」を取るということ。そのためにいろんなものを犠牲にしてイタリアの地で戦い続けてるということを考えると、彼らはイタリアリーグのチームとしては敵であっても、その経験を通して強くなりたいと願っている仲間でもあるんだと思ってて。
戦友とか、同士とか、ちょっと言葉は古臭いけれどそういう存在なのだろうなと勝手に思っています(それはこの二人だけではなく、その場所を目指しているすべての選手たちがそういう存在なのだと思っているのですけれど)。

この試合をどう捉えてるかというのはそれぞれ違うと思います。
祐希くんはMilanoで去年勝てなかったプレーオフで勝つための一つの布石で、負けられないと思っているかもしれませんし、藍くんにとっては憧れの先輩(かつては神とまで言ったくらいの)とコートで戦って自分がどこまで来たのかを知るいいチャンスと感じているかもしれません。

もちろんMilanoが混戦気味のリーグで上を目指すためには一つだって多くの勝ち星をつみかさねていきたいし、今、順位的に下にいるPadovaに勝たなければと考えているでしょうし、ジャイキリをしてきたPadovaとしては同じように一つでも多くの格上のチームといい試合をして勝ちたいでしょう。

でも、MilanoはPadovaに負けたらすべてのチャンスがなくなるわけでもないですし、もちろんメディアが YUKI & RANを煽ったりしますけど(そりゃ、プロリーグですから、煽ってでも集客したし、VBTVは日本からのサブスクリプションを増やしたいでしょうし、まあ、それは試合の横にあるビジネスの話)、本当の戦いはチームとして相手とどう戦うかで勝敗が決まってくるわけで、二人のパフォーマンスで勝敗が決まってくるわけでもありません。

ただひとつの試合で、長いリーグの通過点。
勝っても、負けても石川祐希は石川祐希のままじゃないの?と私は思っていたりします。
勝敗によって彼が持っているものが奪われる気は全くしてません。
積み上げてきたものは確実にそこにあるわけで。
藍くんと祐希くんではチームにおける立ち位置も、キャリアも違うのでいま求められてることも違ってますしね。

Don't underestimate YUKI!

彼はどんな状況であれ、自分の全うすべきことをどの試合でも、どの場面でも全力で向き合うでしょうし、その結果がどんなものであれ次につなげていくだけです、きっと。
リーグでの目標に向かって。
オリンピックで金メダルをとるという目標に向かって。そういう強さを持っていたから、8シーズンもイタリアで戦い続けられたのでしょうし。

そんなスタンスで応援してるのですが、もしかして少数派なのかも。
心配事の9割は起こらないといいますし。



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