Phoenix  -世界選手権 ブラジル戦-

何度でも立ち上がれ 
誇り高き不死鳥のように
このオレンジの光の中で

「PHOENIX」by BURNOUT SYNDROMES

勝ちたかった。
早く次のステップに駒を進めることを決めるために。
初戦でブラジルを見た感じでは勝機もあったと思えたから勝ちを手にしたかったのだと思います。

1セット目の出だしがよかったのでもう少し何とかできたんじゃないかという気持ちにもなったけど。
結局、今、このタイミングの実力だったのだと思います。
だけどまだ終わったわけじゃない。予選を勝ち切って、もう一度戦うチャンスはあります。
まだ、諦めるにはまだ早いタイミングです。

成長の過程で常に進化し続けることは難しいです。
時にその歩みは大抵の場合は3歩進んで、2歩下がるの繰り返しのようで。
全ての試合に勝てるほど、まだ強くなれてないけれど、希望を捨てる必要はないし、敗戦の悔しさをいちばん感じているのは選手自身で、明日の戦いをどう乗り越えるかをもうちゃんと考えていると思います。

悪いことばかりではなかったですよ。
いいプレーだってたくさんありました。

足りてないことがあることは最初からわかってたことではありませんか?
こちら側のコンディションが整わなくて勝てる相手じゃないことはわかってたはずです。

ブラジルに近づいたと思っても勝てないのは、相手も戦い方を変えてくるからかもしれないとも思いました。
記事にもあったように日本も十分に研究して対策しなきゃいけない相手になってきたということは進化なのかもしれません。それを踏まえてなお負けが残念だなと思うのも、落ち込む気持ちになるのも、もっとできると思うところまで強くなって来た証拠なのかも。
ちょっと昔はブラジルに負けても、アメリカに負けても、イタリアに負けても仕方ないと思ってましたけれど。

「悔しがれる」とこも一つの成長だと私は感じています。
自分たちの力を信じられるから、勝つことを信じられるから、本気で悔しがれるのだと。

光は随所にありました。

コートに立てるか不安だったキャプテン石川祐希は元気にコートに戻ってきましたが、試合の中のちょっとした感覚を取り戻すには彼にだって時間が必要です。それをブラジル戦の中でやらなきゃいけないことは彼にとっては本意ではなかったかもしれないですけれど。
いつもの彼じゃないと思った人もいるかもしれません。それでも彼が昨日の試合で一番ポイントを稼いだことは知っていてほしいとも思います。

いい時のイメージが強いからもっとできるはずと見ている方は思いますが、彼も人間です。怪我明けで一気にベストパフォーマンスを出せる状況ではなったことも想像はできます。
それでも彼はアスリートですから、戦う前から勝てないなんて言葉にしないし、大丈夫かと聞かれてダメだなんて答えるわけもありません。
やれると信じてコートに立つ以上、弱い言葉を使うこともないでしょう。
自分を鼓舞し、この戦いに挑んでいます。

西田くんは祐希くんがコートにいないことで、その場を背負うことの重みを意識しているのかもしれません。
そこからまた違う景色が見えたり、武器を手に入れていくのでしょう。自分自身のプレーに集中することだけでなく、キャプテンのようにコートの空気を動かすこと、人を動かすことの難しさを感じているのかもしれません。
いつもと違った空気にそういう背景を感じたりもしました。

真ん中で勝負したくてもさせてもらえなかった関田くんや太志くん、山内くんの気持ちも。ともくんや藍くんにとっては、そこに来ると分かってて用意していたのに、ボールが上がらなかった悔しさも。仲間が繋いでくれた大事なボールを決めることができなかったたっちゃんの無力感も。コートの中ではプレーごとにいろんな悔しさが湧いていたのだと思います。

本気で取り組んでるからこそ、本気で悔しい。
そういう発露を感じる試合でした。

その中で最年少20歳の藍くんが見せてくれた意地は彼の未来が明るいことを感じさせてくれました。
どんなボールでも拾おうという気持ち、驚くくらい高く飛んで決めたスパイク、苦手にしてたブロックでの貢献。
あんなギリギリの状況で戦っていたのに、いいトスを上げてくれた関田くんへのアピール。
彼は自分が求められてることの全てを形にしようと必死だったのだと思います。結果に繋がらなかったのはしんどいことだけど、そんなことはいろんな試合で彼らはもう体験してるはずです。

経験や、悔しい気持ちには1ミリも無駄はありません。明日の自分を強くしてくれる要素だと誰もが分かっているはずです。強くなっていく人たちが共通して持っている資質Resilience(※1)を携えた人たち。

みんなさ、サイヤ人みたいでしょ。
困難が大きければ大きいほど、叩かれば叩かれるほど、強くなっていきます。

よく考えると、オリンピックのイラン戦も崖っぷちでしたよ。
負ければ終わりでした。明日のキューバ戦も同じような位置付けですが、彼らがフェニックスのように蘇って戦う瞬間をもう楽しみにしています。

そして藍くんには21歳の誕生日を勝利を携えて祝ってほしいです。


限界の先 そのさきへ 戦う喜びを

「PHOENIX」by BURNOUT SYNDROMES


※1 Resilienceとは
https://www.recruit-ms.co.jp/glossary/dtl/0000000203/


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