【擬人化】モンスターハンター/名友

「ご主人様?」
「あぁ、先に帰ってて。私はちょっと採集に行ってくる」
採集ツアーのクエストを受注した私は、付いて来たがるディアブロスに帰るように言った。
「むぅ・・・ずっと一緒がいいですけど、わかりました」
新大陸とは違い、依頼としてある採集ツアーを受注してから向かわなければいけなかった。
待ち合わせをしているからだ。
この前、拠点に手紙が届いた。

狩人ヴァル様
人間の姿を成した竜との共存をしているとお聞きしました。
仲間がお世話になっています。
皆様と同様人の身を手に入れました。
皆様が渓流と呼ぶ地、5番でお待ちしていますよ。

到着したのは夜だった。時間がかかってしまったが、言われた通りに向かい慣れない地図を見ながら5番と割り振られたエリアを目指す。
満月が照らす豊かな地に麗しい待ち人はそこにいた。
「お待ちしていました。ご足労頂き感謝します。気軽に話してくれて構いませんよ」
「あ、ああ。わかった。こんなんでいいかな」
「はい」
私は彼女と色々と話し合った。方向性、今までしてきたことを話した。
彼女は、心地良く艶めかしい声で話す。聞き惚れてしまいそうだが、真意を語ってくれていると思う。嘘はつかないだろうし。
「ヴァル様の思想、信念、志はわかりました。ですので・・・私と少し、手合わせをお願いできますか?」
そう来るか。
彼女は、過去を私に話してくれた。なんでそこまで信じてくれるのかと聞けば、「ヴァル様は信用できる方ですから。それに、全てのメイドと関わりがある訳ではないのでしょう?私も、あの娘達の仲間ですよ」
しばらく用があり拠点に帰ってくることができなかったという。
彼女が言うところ、集落の男性は狩りに赴き、その間に残った女性が集落を守る。竜の名残で同じような暮らしをしていたが、兄がハンターに討伐されてしまった。
それで、兄に代わり彼女が身体を張って狩猟に向かう、と。
矢鱈に戦うわけではなく、彼女は人間の本質を見抜ける事ができるのではないかと思う。思い込みかもしれないが。
その保証は今までの言葉に混じっていた。
だから、野蛮に思われるかもしれないが私の狩猟の技術を試したいみたい。
でも、こんなに美しい女性は傷付けられない。
「それならば、仕切り直しです。私が隣のエリアに行きますので、ヴァル様は準備をされては?」
「気を利かせてくれてありがとう。そうするよ。君が見えなくなってから、準備が済んだら真上に閃光玉を投げる」
機転を利かせてくれたが、未知の相手にどこまで挑めるか。
とても緊張している。

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