MAD MAID WARRIORS/下準備

他愛のない雑談に花を咲かせていたら想像していたよりも早くお屋敷に着きました。
「ケリーウェスト侯爵様、お帰りになられたのですね」
「待たせたね。少し話しながら歩いていたもので」
若い執事が出迎えてくれました。その方は私にも
「こちらの方ですね、お話は聞いていますよ。同僚、という関係性になるでしょうからお見知りおきを」
丁寧な方でした。とても暖かい雰囲気をお持ちで。
「それでは、私は一旦これで。ヴェンティル、任せたよ」
ケリーウェスト侯爵様はそう言い残し、行かれました。
「私は何をすればいいのでしょうか」
ヴェンティルと、呼ばれていた方に伺います。
「そうですね、まずはこちらに」付いてくるようにと、ヴェンティルさんは歩き出しました。私が付いていくと広い部屋に案内されました。そこには数人の使用人がいて、その一人に「ケイリィ総括、頼みますよ」声をかけるヴェンティルさん。
「お任せくださいませ」長く伸ばした美しい茶髪のメイドが私の前に。「初めまして、新入りさん。メイド総括のケイリィ・クレスティンですわ」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「少しいいですか?」
そういうと、ケイリィさんは私の頭を撫でた。
「ここではどんなことでも聞いてくださいね。貴女を歓迎しますわ。お名前は?」
この人なら安心できます。恐らくですが、誠実な人でしょうからついていくことにしました。
「シャルレ・リーシャ・アイリーンです」
「美しい響きですわ」
そう言いながら私の手を引いていきます。
「採用が決まれば準備は欠かせませんわ。服の採寸にいきますわよ」
ケイリィさんの手は暖かかったです。今日、始めて会ったのに懐かしい感触がしました。綺麗な腕に「CELTIC」の文字が彫られているのに疑問を残しましたが、今は目の前に集中します。
すると、更に広い部屋に連れていかれて
「あの、ここは一体なんでしょう」

壁に飾られているのは様々な武器でした。長剣や細剣、斧や槍など、多くの武器があります。「当家の使用人は護身術を心得ておりますのよ。近頃、少々問題がございまして・・・」
「そうなんですか・・・」
「えぇ。話が逸れましたね。こちらですわ」
不思議なお屋敷を見て回るのはまた今度になりそうです。
見上げるほど背の高いケイリィさんは美しいです。
私もこんな素敵な女性になりたいです。
そう思いながら速い歩みに付いていきます。

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