見出し画像

【序1-2/3】 陽香漂う倭國

陽香ロマンただよ倭國わこく

民族の大移動

1 國長の悔恨 (前半)
2 北方民族  匈奴の分裂
3 奴國と好古都國
1 國長の悔恨 (後半)

北方民族 匈奴の分裂

48年 果てしなく広いアジア大陸では時の覇者匈奴が分裂。
南へ北へ各部族は消えるように散った。
大陸は常に戦乱。
領地拡大、覇権争い、疑心暗鬼渦巻く人間模様。

人が群れて安心を抱くようになったのはいつからなのだろう。

たけけものは火を怖れる。
ずっと大昔その火を人間が操るようになった頃だろうか? 
中心となる者は皆に結束を促し獣に立ち向かえる勇気を持たせ導きはじめる。
その時から皆に安心をそして信頼を得て、同時に小さな権力の芽も得たのだろう。
人はより多くの収穫、より暮らしやすい環境を求めて子も増やしながら生活の拠点を広げていく。

自然の中に汲みする生き物は人であれ動物であれ目の前の暮らしが良くなる事が大切で、広げるという働き自体にどんな影響がありどんな作用を周囲に及ぼしているのかなど気にすることはない。 
そして、生き物全ては、一旦目を付けたモノは本能からか凄まじい執着心が湧く。
共有することなど全く考えも及ばない。
奪い合いが生じると互の利害が絡み合いどちらも引くことはない。 
狙った獲物をどちらが早く仕留めるか競争になる。
早く奪ったものが勝ち。
単純な解決、簡単明快、弱肉強食の争いは日々の常であり自然な流れ。

広大なアジアの大陸でこれと同じように追われた部族の移動は常に弱き部族を跳ね除け奪い取り、住み着く。または取り込む。

侵略され抵抗し追いやられた挙句いくつもの部族は恐怖から逃れるため新たな新天地を求めさ迷う。
その果てにあるものは荒れた海。
不思議にも眼前に広がる荒波は絶望の荒波ではなく越えられる希望に映るだろうか。

48年の匈奴の分裂で、大陸を捨て大海原を漕ぎ急ぐ船団は荒天の嵐、波涛の藻屑と散り沈む。
幾つかの船だけが対馬海流に乗り玄界灘にたどり浮かぶ。

ある浜に遭難漂着し命からがら生き延びる部族。
ある者は島へ半島へ
唐津の浜、那の津の浜、九州の北部各所に流れ着く。
遠く浜辺に漂着する木片は何かしらの残骸。
辿り着き周辺の陰に息を潜め生き延びる部族も。

大陸の戦乱の狂気と比べ異国のこの地の平穏な気風に触れるとやっと人間として解放された感が宿り本来、人が持つ温かな感情が湧きいでる。
生き延びた少数の部族は家族に犠牲を出し亡くした悲しみも乗り越え、そして前を見て歩み出す。

大陸の民からすれば辺境の地、九州は桃源郷のような期待に溢れる地であっただろう。

月日を重ね、世代を重ねわずか百年を越える頃は互の習わしが交じり合い新たな知恵、技術が生まれ民の暮らしは静かな隆盛を育んでいった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?