多摩美術大学 入試

多摩美術大学日本画受験攻略。

こんにちは!
多摩美術大学の日本画の受験攻略を書きます。
来年受験する方向け。

私は一旦、一般の大学を卒業、一般職を経験してから、
フリーでイラストレーターをしていました。

しかし、美大に行っていないというコンプレックスがありました。
そこで、『美大なんていかなくても絵は上手くなる』といちいち言うのは
違うと思ったので、思い切って受験しました。

美大に通おうと思ったのが11月で、すぐに予備校に入り、
11月、12月。翌年1月、2月に試験で、合格しましたので、
予備校に行ったのは3大体3ケ月でした。

今一般的に、東京藝術大学がいわゆる東大で、武蔵野美術大学・多摩美術大学が
ポスト慶応・早稲田に当たると言われています。
これはある程度そうなのかな?という感じですが、他大はデッサンなどが多少できなくても、
個性を持った優れた作家さんを輩出しています。

武蔵美・多摩美になると、ある程度のデッサンが出来るかがかなり問われてきます。

その中で多摩美の特徴は、

鉛筆デッサン=想定デッサン:与えられた物を組み合わせて自由にデッサンします。
着彩デッサン=人物着彩

を出題されることです。

◯鉛筆デッサン

これは私は、試験前に、大体どういう物を描くか決めていました。
それはニュートンという雑誌に載っていた、馬頭状星雲です。
試験近くになった時、綺麗だと思った物をストックしていました。

予備校で、私は鉛筆を使う際の色幅が狭いのがネックでした。
淡い色から中間色までは出せるのですが、一番暗い強い色の出し方が
わかっていませんでした。

思い切って黒く力強く描くのが怖くてできなかったのですが、
予備校で指摘を受けて改善しました。

弱点は強みになります!
強い色が使えなかった=強い色の使い方が分かる。

受験時、同じ部屋になった予備校の仲間がびっくりする位
思い切りハイキーに描いたので、恐らく作品を並べられた時
相当目立ったと思います。

自分が弱点だと言われたことは戦術になります。

私の時は、小さいガラス瓶、岩絵の具、A4の紙が渡され
ました。

私は最初から、馬頭状星雲を描くと決めていたので、
紙を折って、馬の形を作り、そこに小さい瓶をいっぱいに散りばめました。
自然物には著作権がない&美しい形があるのでおすすめなのです。

◯人物着彩

これは攻略法がはっきりしています。
ルーミスの『やさしい人物画』をやりこむことです。
私は、人物クロッキーは、電車に乗ったり、ファーストフードで描いたり
していました。5000枚以上は描いたと思います。

ルーミスの本の優れたところは、
まず、大きな形の塊から入って、細かい筋肉は後の方でやる事です。
人物デッサンで一番大切なのは、のびのびと全体を描ける事と、重心を取れる
事です。

クロッキーやるのが難しい場合はルーミスを模写するのもオススメです!

細かい部分に目が行ってしまうと、ガチガチになってしまうので注意が必要です。

私は正直3ケ月で受かる事はないな、と思っていたのでめっちゃちゃらんぽらんでした。
このちゃらんぽらんさが、手を柔らかくして、それまでやり込んで来たクロッキーの
実力を出しやすくしたと思います。

着彩に当たっては、立面を強く描いて、光の当たる上部を柔らかく描くと良いです。
人物着彩は、午前中にクロッキーをして、午後に着彩をするので、ささっと上手い人
の描き方を盗むのもポイントです。

さて、冒頭で、美大に行かなくても絵は上手くなるかという点ですが、
上手くなります。

技術的な事は、予備校で学べます。

多摩美では、4年間かけて、持ってきた技術で何を描くか追究させられます。

私は人物が描けるようになりたかったのですが、
3年時には、全く人物を描かず、タンクやプラネタリウムの投影機を
描いたりしていました。

この頃から、春期・夏期にあるコンクールに入選するように
なりました。

(多摩美の日本画はこのコンクールの為、実質夏・春休みはありませんが、
みんなめっちゃ真剣に描いて来ます。そういうのも、私が多摩美を好きな理由です)

そして、4年時には、再び人物に挑戦して、幸い首席で卒業出来ました。

プラネタリウムやタンクの絵を描く事が何故人物画の向上に役立ったかと
言うと、どちらを描いても、自分の根本はブレなかったからです。

(その替わり、発狂しそうになる位追い詰められました)

私の家は、父親が情緒不安定で、母や私に暴力を振るいました。
私は首を締め上げられて、父に『死ね!』と、言われました。

母は、家計を支えるのに必死で、激務のあまり、流産をしました。
だから、私には、母親を神聖視するのが大嫌いです。
母親って言ったって一人の人間に過ぎません。
ですから、母を庇って生き延びるのに必死でした。

それが私の原点です。
強くなりたい。生き延びたい。
シンプルです。


それに気づくかどうかです。

タンクやプラネタリウムは、人類の渇望が形になったものです。

私は子供の頃から宇宙が大好きで、カール・セーガンの『cosmos』を
読んだり、高校の頃にはアインシュタインの特殊相対性理論を計算するのが楽しみでした。
宇宙は人間界のドロドロを超越した美しさや憧れがありました。

一方、いわゆるユングやフロイトは嫌いでした。
澁澤龍彦を読んで、子供心に違うな、と思ったので。

これを読んでいる方にも、自分のコアになる物語がある筈です。
それを発見できるかどうかです。

強い体験をした人には、強いメッセージが、
何気ない日常を愛した人には軽やかなメッセージがあるの
かも知れない。


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