狂気と熱情

高校1年生の発表会で弾いたシューマンの『飛翔』が、Twitterで流れてきた。飛翔は発表会で大失敗した苦い思い出のある曲で、今も発表会のビデオを一度も見返せないほど。

他にもトロイメライなどやたらシューマンが目につくと思ったら、6月8日はシューマンの誕生日らしい。『誕生日だから弾いてみた』ってサラッと弾いて敬意を示すのって素敵だな。

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さて、今日も熱情3楽章を練習した。1時間くらい。メトロノームに合わせて弾いて、弾けたら少しテンポアップしたり。いつになったら理想の速さで弾けるのだろう…でもスローテンポで練習をすると音の粒が揃う気がするし、左手も少し滑らかに動くようになってきた気がする。めげずに頑張ろう。

熱情といえば、少し怖い話を思い出した。

私が子どもの頃に習っていたピアノの先生の知り合い(仮名:A子さん)が、育児ノイローゼで幼い子どもをお風呂の湯船に沈めて殺してしまったらしい。

先生が言うには『まあ、彼女はちょっと変だったわね。』と。

A子さんは自分の結婚披露宴でピアノを披露したのだけど、それが熱情の第1楽章だったらしい。

先生は披露宴に参列はしていなかったけど、人伝で聞いて『披露宴で熱情を弾くのはおかしい』と、なんとなく嫌な予感がしていたらしい。

ウェディングドレス姿で、ペダルをガンガン踏みながら激しく弾いている場面を想像すると狂気を感じる。どんな考えで選曲したのかは想像するしかないのだけど、披露宴で花嫁が弾く曲のに相応しい曲ではない。育児ノイローゼになり、衝動的に子どもに手をかけてしまうというのも、披露宴で熱情を選曲するあたり、素地があったと思わざるを得ない。

でもなぜか、先生からその話を聞いたときは、熱情が狂気を連れてきた気がした。

とても不吉な曲だという印象を持ちつつ、惹かれるところがあって、いつか弾いてみたいという憧れはあった。今回私が弾くのは第3楽章、最初の和音の音は13回鳴らされる。不吉な数字…



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