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成仏する何か

他の言い方で言えば、浮かばれる、召される、死ぬ。仏教的に言えば、涅槃、悟る、ニルバーナetc...
あまり日常的には、使わない言葉であるのは間違いないし、中々そういう場面が訪れてほしくもない言葉の一つである。

冒頭に載せた画報を見て三宅一生さんの言葉を思い出し、今回この記事を書くに至ったわけだが、彼の名言の中にこんなにも成仏という表現にしっくりくるものはないと思うので紹介したい。
「パンツには、成仏する丈がある。」
これは、中々に言い得て妙で、ここしかあり得ないという丈が存在しているのだ。 
これは他の物事にも言えることで、例えばそれが料理にしろ、仕事にしろ、こうした書物にしろ「成仏」する瞬間というものが存在する。
そこを見極めて、パンツという生き物を敬意を込めて息の根を止める、そして、初めてそのパンツは成仏するのである。この感覚をわかっている三宅一生の偉大さを改めて感じ、畏怖の念を覚えた。

さて、皆さまお気付きのことかと思うが、僕は今この文章の息の根を止められずにいる。
はてさてどうしたものか…悩んでいるうちに、次第に衰弱し、ゆっくりと緩やかに死に至る。
野垂れ死ぬような駄文、きっとこれが僕と三宅一生さんの差なのだろう。まだまだ、先は長い。

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