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楽園追放

楽園追放を観たよ!人々が肉体を捨て電子の世界に住むようになった未来世界で、度重なる不可解なハッキングの犯人をエリート捜査官が調査する話。SFのフルCGアニメ。
CGでもちゃんとかわいいが、やっぱりところどころ汚くなるところがある。特に髪の毛の影。スッと入るところがもにょっとなるのは残念

この映画、否定的感想を見ることの方が多く、わたしもそんなには期待していなかったが、観てみると彼らの言っていることが確かに解った。
曰く、ケツしか見るとこがない、というものだが、そういいたくなる気持ちはとてもよく解った。
つまり、事前に期待した展開がほとんど無かったからだ。

女の子!未来!ロボット(語弊)!のイメージが強く、もっと激しいアクションを期待するビジュアルとスタッフだが、ふたを開ければどちらかというと会話劇で哲学的だった。これは確かに事前イメージと異なる。
7割くらいは2人で会話してるだけだ。
彼らがああいうのも無理はないだろう。

ただ、わたし個人としては(アクションは動いてることくらいしかわからないし)好ましい展開だった。
あと、ほとんどずっと主要登場人物が二人でしゃべっているので、ひたすらにくぎゅううううううううううう

展開は大人しめだし、ディンゴ(男性登場人物)さんの活躍が鼻につく程カッコいいし、ややご都合展開のきらいもあるが、総評としてはまとまっていてかなり楽しめた。何より題材が好みなので、それだけでも個人的に及第だった。

惜しむらくは、肉体の檻に囚われて生きるということの説得力がもう少しほしかった。
観ているわたしたちが肉体を持っているからか、そこの説明とか納得感が弱かった。割とそういうところ(現代の価値観で肯定的にとられるところ)が端折られるので、そこはもう一歩踏み込んで答えを見せてほしかった。

だからこそなのか、終盤に人工知性にかけた言葉は非常に良かった。これは答えだった。

現代のわたしたちは、こうしてSNSで交流したりゲームを楽しむことで、ネットやゲーム等の現実にない空間で過ごす時間が増えている。
肉体はあるが、精神はバーチャルにあると言ってもいい。そういう解離的な転換期のいま、肉体を持つことの答えは省いてはならないだろう。

特にわたしは肉体は枷だと思っているからかもしれない。骨で音楽を聴くより、素粒子を感じたい。大体そうでなくとも未体験のものに憧れを抱くものなんだから、今ある資産(肉体)の価値を再発見させてほしかったんですよねえ。そこが本当に惜しかった。

まあそれはわたしの個人的興味なので置いておくとして。
生まれた時の肉体から精神を取り出して精神体だけで生きるというのは、結局肉体に縛られていると思うのよね。性が定まってしまうわけだし。
かわいい女の子になりたくない?男で生きたいか?と思うのね。あの世界の男性はどう思ってるんだろう。

例えば性だけは固定でビジュアルとかはもろもろ好きに設定できるなら、自分の性で生きたいと思うだろうか。それでも異なる性を選びたいのだろうか。
わたしはかわいい女の子派ですけど。

エージェントが軒並み女性だったのも、余計その疑念に拍車をかける。
まあ画的な問題かもしれないけど。

肉体に囚われ、地に縛られ、そこから見上げる空だから、余計に美しく感じられるだろう。

そういう矛盾があるよね。肉体で生きることは。
ままならないからこそ抱く夢の美しさが。
縛りプレイね。

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