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サマーコレクション2021

ミホロさんの話もミリィの話もとても良かった。
良い話っていうのは、心がつかまれてハッとする場面があるかどうかだと思っている。
それは気付きに似ている。
加齢や成長で評価が厳しくなるのは、それだけ気付きの経験が多く、大体は既出になってしまうから。

まあそれなりに歳を重ねているので、毎回厳しい感想になりがちなのだけど。
それでもそれを突破して刺してくるパターンは、登場人物の気付きが自身の経験と共鳴する場合であることが多い。

ミホロさんは、正直今までパッとしなかった。薄ぼんやりとしていた。ハビィとの外伝もそんなに刺さらなかった。共鳴しなかったのでしょう。信じられなかったし納得できなかったから。本当にそうか?と。
今回の彼女の気付きは非常に納得感があったと思う。

キャラクターの歩みや軌跡こそが物語を成す。
物語のレールの上を歩かせるのではなく、キャラクターが軸であるべきだと思う。
起承転結に引き摺られる登場人物は魅力的には映らない。
そのキャラクターらしさで多少展開に干渉してくる物語にこそ惹かれるのだ。

そうでなければその人である意味がないのだから。

ミリィも同様で、彼女は本編や外伝で充分に魅力を発揮できていたので、より成長を感じられて素晴らしく感じた。
ストーリーとキャラクター。2つが引っ張りあってどちらかに寄らない、新しい角度の地平線を描く物語は美しい。

だからこそ、用意した展開をなぞるだけの道化に落ちたストーリーは批判されがちなのだろう。
つまらないし、冒涜的だ。
アシュタルのストーリーはその最たるものだったろう。
ミィアウリシラや、シーヴルにイマイチ惹かれないのも、展開ありきの要素が強いからだ。

良い物語は、キャラクターがどんどん引っ張っていく。
人生もそう。主人公たる自分の意志で選択しない生など、価値の無いものなのだから。

良い物語は、だからどうなるかわからない。
そこにワクワクする。ひきこまれる。もっと魅せてほしいと乞いたくなる。

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