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わたしの好きなもの AKIRA編①

 AKIRAは、言わずもがな日本のアニメ業界を代表する名作。世界中に熱狂的ファンが存在し、グッズやフィギュアなどはかなりの高額で取引されています。最近では東京オリンピック、コロナなど現実世界の2020年と多くがリンクし、「予言書」と呼ばれたりもして注目を集めました。
 しかしながら、世界中にファンがいるという割には日本での知名度はそこそこというのが私の感じている現状です。いやもちろん既に多くのファンを有していることも、制作年が1988年ともう30年以上前であることも承知しています。私はもちろん、大学生が一般的に日常で関われる年齢の人間は大体生まれていない頃です。とはいえ、私の友人たちに聞くと皆が口を揃えてこう言います。

「え〜名前は聞いたことあるけど〜、別にみたことな〜い!なんか、グロいんでしょ?」

こう言う友人たちの内、数人は漫画を与え映画を共に観てAKIRAの世界へ誘いこみました。とは言っても、私個人の布教活動だけでは正直限界があります。与えられる影響など微々たるものです。
 そこで、AKIRAの魅力とはなんなのか、何が人々を熱狂的ファンにさせるのかを分析していこうと思います。前置きが長くなりましたが、つまりは好きなものについて語りたいけど友人はもう聞いてくれないのでここで発散したいということです。

1.バイクや不良、アングラ要素が少年心をくすぐる

 一つ目の魅力はもちろんここにあります。まさに「男のロマン詰め込みパックお得用サイズ」といった感じで男のロマンを全部ぶち込んでごった煮にして熱々に煮込んでいるため、視聴者はハフハフしながらゆっくり食べないと味わいきれないほどです。
 冒頭から始まる不良たちの抗争、「欲しけりゃお前もでかいのぶんどりな!」と犯罪上等な台詞で走り出すド派手なバイク、ネオン輝くきらびやかな世界から一歩路地へ踏み込むと薬物が平気で取引されている怪しげなバーが現れる。そしてそういった社会に反抗する世界で生きるのが当たり前で、慣れた様子で生き続ける主人公たちがとにかくかっこいい。
 ただ、実をいうとそういったアングラ要素はほぼ冒頭だけで、あの有名な金田の真っ赤なバイクも中盤なりを潜めます。そこから始まるのはまさかの超能力バトルでネオンもバーも関係なくほとんどの街がぐっちゃぐちゃに破壊されて混ざり合うのでまさにごった煮状態。その超能力バトルも少年心を掴むのです。

 男のロマンと語っていますが、プロフィールのとおり私は女です。ところが兄と父の影響で、幼稚園の頃見ていたアニメはドラゴンボール、ハンター×ハンター、鋼の錬金術師だった私には男のロマンというか厨二病精神なるものがすっかり根付いていました。(ドラゴンボールは小中学生の必修科目だと思っていたが同級生に見たことない人がちらほらいて衝撃でした)

 とにかくバイク、不良、社会抗争、スクリ、アングラ、超能力など割とバトル漫画や不良漫画の王道な要素を持った作品だということです。これだけ人気で高い評価を集めていますが、実は物語自体はそこまで複雑で難しいわけではなく、崇められるほど崇高なものでもないただただ面白い作品だという認識でまだ観たことのない人には一度みてもらいたいものです。

2. 独特な台詞回しがクセになる

・俺達ァ健康優良不良少年だぜ
・『さん』を付けろよデコスケ野郎ォ!!
・やっとモーターのコイルがあったまってきたところだぜ

 上記の台詞は主人公・金田によるもので、AKIRAに興味を持ったことのある人なら一度は聞いたことがあるかと思います。語尾につく「ァ」「ォ」や独特な言葉選びが目や耳にこびりつく。どこか洋画のような雰囲気を感じてはいや、そんなことない、なんかもっと泥臭いしヤンキーぽい、洒落てない、と我に帰ることを繰り返す感じ。

 ここで私が注目したいのは、主人公の友人・山形の台詞です。名言生産機と揶揄されるように彼はそれほど台詞は多くないものの数々の名言(迷言)を生み出しています。

・心にやましいことがあるからそうやっていつもビクビクしてるんだよ
・この俺の燃え上がった勉強意欲をどうしてくれるんだよォ!
・死ぬなら一人で首でもくくれェッ!!

 内容はいったん置いておくとして、なんとも映画映えするというか、印象に残り口に出したくなるような台詞に感じます。お前ら不良のどこから勉強意欲が燃え上がるんだよ!と思わず突っ込みたくなるし、手榴弾で自爆しようとした男にかける言葉としてはいささか乱暴です。手榴弾にビビりまくるが不発に終わったと知った途端急に態度と声がでかくなる小物感もなんともいえない。
 中でもとりわけ私が1番好きな山形の台詞はこれです。

あの犬のションベンをォ!?

 溜まり場のバーにて、マスターにたまには何か飲んでけ(金を落とせ)と言われて放つ台詞。日常で会話していてこんな言い回しをぱっと思いつくだろうか。飲み物、暗に未成年に酒を勧めてくる店はロクなものでないと分かりますが、その一枚上をいく山形です。

この作品は原作と映画でセリフやストーリーの構成が結構変わっていますが、どちらにせよ山形は"いい奴なのに可哀想"というポジションを確立しています。もしかしたらこの台詞たちは、大友氏からせめてもの華向けなのかもしれません。

長くなってしまったので、①はここで終わります。
ここまでは原作・映画に関わらずの魅力を伝えてきましたが、②では原作の魅力を書いていきたいと思います。

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