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奈々未の嫉妬

はじめまして、乃木坂46の運営として彼女たちのマネージャーを務める喜多川〇〇と申します。
大変ですが、彼女たちが輝いていく姿を見てると、その手助けができるこの仕事のやりがいは言葉には表しきれません。

ですが、最近はちょっと困ったこともありまして、今日はそんな日常の一コマをご紹介します。



いつものように乃木坂の現場に来て、メンバーが来る前にドリンクやお菓子を用意して、机の配置を変えたりと楽屋をセッティングする。

おはようございます、という声とともにメンバーたちが楽屋にやって来た。
〇〇は残った作業を片付けながら挨拶を返していく。

最後にドリンクコーナーのコーヒードリッパー回りを整理していたときだった。

七瀬「〇〇、おはよ~」
背後から西野七瀬の眠そうな声がしたと思ったら、背中にピタッとくっつかれた。

七瀬のいつもの癖。
前に一緒にゲームの話で盛り上がってから仲良くなって今ではこんなスキンシップまでとってくれるようになった。

男性スタッフにいいのかとも思ったが、別のスタッフさんに聞いた話だと、七瀬に注意したらあからさまに不機嫌になって仕事に影響が出そうになってもうなにも言わなくなったらしい。

最初こそこのスキンシップにドキドキしたが、今ではすっかり慣れていた。

〇〇「おはようなーちゃん。コーヒー落とすからちょっと離れてくれる?」

七瀬「えー、いやや。まだ足りひんもん」

〇〇「足りないってなにが?」

七瀬「〇〇充電」

俺は乾電池か、とか思ったけど笑顔でスルーしておいた。

こうなるのも予想済み。
できるだけ七瀬に当たらないように動きを最小限にしてコーヒードリッパーでコーヒーを落としていると、不意に背後から声がした。

奈々未「ほら、なー。そろそろ準備始めないと間に合わなくなるよ?」

そこには衣装に着替え終わった橋本奈々未が七瀬を説得するためにやって来た。

七瀬「んー、しゃーないな。んじゃまたな〇〇」

〇〇「うん、またねなーちゃん」

七瀬がその場を去っていくのを確認してか、奈々未が再び口を開いた。

奈々未「あ、そうだ。さっき別のスタッフさんから、〇〇を呼んでくるように頼まれたんだった。一緒に来てくれる?」

〇〇「あ、うん。わかった」

奈々未に連れられてこられたのは、今日は使われていないはずの会議室。

ノックをしてから中を覗きこむと、そこには誰もいない。
あれ?
そう思いながら振り向こうとしたときだった。

ドンッ
背中を押されてつんのめるかたちで会議室の中に入ると、奈々未も中にはいってきてガチャっと鍵を閉めた。

〇〇「は、橋本さん?」

奈々未「ななみ」

〇〇「え?」

奈々未「な、な、み」

綺麗な顔でまっすぐに見つめられながらそう言われた迫力はすさまじく、おもわずたじろぎそうになる。

〇〇「奈々未さん、どうかしましたか?」

奈々未「敬語」

今度はそれだけいってジリジリと間合いを詰めてくる。
美人の真顔って本当に怖い。

確実に機嫌が悪いのを承知で奈々未に訪ねてみた。

〇〇「な、奈々未さん、なんか怒ってる?」

奈々未「…」

そのまま言葉を発することなくジリジリと間合いを詰める奈々未。

そして、いよいよ眼の前に来たと思った瞬間、
奈々未の両手がふわっと〇〇の首に巻き付くようになり、ぎゅっと身体が密着するように抱きしめられた。

〇〇「な、奈々未さん?///」

奈々未「バカ…嫉妬したの」

〇〇「え…?」

奈々未「だから、嫉妬したの! だから上書き…///」

目の前にいるなんとも言えない可愛すぎる存在を直視できない〇〇。

その時だった。

七瀬「〇〇〜 どこ〜?」

会議室の外から〇〇を呼ぶ七瀬の声が聞こえた。
反射的に返事をしようとした瞬間

〇〇「!?」

唇に触れた柔らかい感触
その感触は返事をしようとした〇〇の口をふさぎ声を発することを許さなかった。

七瀬「へんやな〜、どこいったんやろ」

次第に遠ざかっていく七瀬の気配。
すると唇の感触もようやく離れていった。

〇〇「ぷはぁ、ちょっと奈々未さん、いきなりなにするんだよ」

奈々未「なーに返事しそうだったから、口封じ」

相変わらず首に腕を巻き付けたまま妖艶な雰囲気を纏って奈々未は続ける。

奈々未「でも、まだもーちょっとこのまま上書きしておこうかな」

〇〇「え、ち、ちょ―」

ふたたび〇〇の唇は柔らかい感触で塞がれて、本番直前まで離れてはくれなかった。


fin

この物語はフィクションです。
実在する人物などとは一切関係ございません。

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