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幼児向け番組から商売を考える

子どもが1歳半になった。
日曜祝日は在宅している時間の8割を
録画した幼児番組を垂れ流して過ごしている。

世の母親を夢中にさせるという
おかあさんといっしょ。

まさか自分もハマるとは思わなかったけど
これだけ垂れ流してれば
キャラクターも歌も覚える。

ハマるというよりもはや洗脳に近いし、
商品名をCMで連呼すると効果的
みたいな話と同じな気がする。

ちなみに商品名を連呼するCMといえば
最近ではハズキルーペが話題だけど、
あれは社長直々に手を加えたらしく
やはり代理店なんかアテにならないなと
勝手に確信を強めている。

しずく星いちの商売人のタコ

さて、おかあさんといっしょには
ガラピコプーという
着ぐるみのコーナーがある。

たぶん私の世代で言うところの、
じゃじゃまる、ピッコロ、ゴロリ
みたいなポジションだ。

そのサブキャラクターに
陸の上をにょろにょろと動く
キュリオという名のタコがいる。

出来の悪い着ぐるみで
私は彼が出てくると毎回笑ってしまうんだが、
(ぜひ検索してみてほしい)

どうやら彼はその世界ではいちばんの
商売人らしい。

彼の店を"お手伝い"するのが
ロボットのガラピコ。
お手伝いと表現されているけど
雇用形態はアルバイトに近いようだ。

キュリオがガラピコに
商品のオススメの仕方を指南する回がある。

この回をこの連休で
5回くらい見てるんだけど、
なかなかマーケティング的なことを言うんだ。
タコのくせに。

オススメ商品対決

ストーリーは単純で
キュリオがガラピコに
オススメの仕方を教えているところに
ウサギのチョロミーが雨具を買いに来る。

そこで、
キュリオがレインコートを
ガラピコがカサをオススメする。

チョロミーはどっちを買う?
というストーリーだ。

ちなみに、話は単純だが、
タコとロボットとウサギという組み合わせ
大人の私は最初めちゃくちゃ混乱した。
無脊椎動物と脊椎動物と無機物って。

もしこれを読んでいるあなたが
混乱してたとしても
幼児番組だからと割り切ってほしい。

結論から言うとタコの勝ち

チョロミーは最終的に
キュリオのレインコートを買うんだけど、
そのプロセスがとてもマーケティング的。

最初、チョロミーは
「カサをください」
と店内に入ってくる。

そこでキュリオは
レインコートもあるとオススメする。

カサとレインコートで悩むチョロミー。

そこでキュリオはガラピコに
オススメの練習の続きをしようと持ちかけ
研修的な感じでオススメをしだす。

キュリオは
「レインコートは膝まで濡れません」
ガラピコは
「カサは2人で入れます」

と伝えると
チョロミーは
「カサは2人で入れるね!
雨の日も遊びたいから、カサかなぁ」

と言う。

そこで劣勢になったキュリオは
まだまだ!ともう一度オススメする。

キュリオは
「レインコートは両手が使えます」
ガラピコは
「カサはワンタッチで開きます」

とオススメすると
チョロミーはレインコートの購入を伝える。

「両手が使えたら遊びやすいよね!」
と言って。

オススメ対決で負けて悔しがるガラピコに
しずく星いちの商売人はこうアドバイスする。

このタコは関西弁を喋るのである。

ドリルではなく穴を売れ

マーケティングでよく言われる話だ。

私は原典に当たってないので
この言い回しで正しいのかとか、
どういう文脈で使われた言葉なのかは
正直よく知らないが、

ドリルが欲しい人間は
ドリルそのものではなく穴が欲しい。
だからお客のニーズ・ベネフィットを考えよう。

だいたいこんな文脈でよく使われる言葉だ。

キュリオが言ってることもほとんどこれで
「両手が使えるよ」と伝えたら
カサがいいかもと言ってたチョロミーが
レインコートの購入を決めた。

チョロミーの雨の日も遊びたい
というニーズを満たすベネフィットだからだ。

逆にいえば
なぜカサになびいてたかというと
2人で入れるよ」と
ベネフィットを伝えてたからである。

つまり、
「レインコートは膝まで濡れない」
「カサはワンタッチで開く」
などの機能を説明したとき
お客は欲しがらない。

それはドリルそのものを売っている。

「2人で入れる」「両手が使える」
というのは使用シーンを想定したオススメで
ベネフィットを伝えている。
ドリルではなく穴のプレゼンだ。

それを言われたときに
カサにしようかなぁとか
レインコートにしようかなぁとか
お客の心に刺さっているわけだ。

商品機能そのものではなく
お客のベネフィットを考える。

幼児番組のタコでも理解していることだ。
私もプレゼン時に気をつけようと思う。