KALS以外の教材オススメ(生命科学)

 今回は生命科学系大学出身で、主に基礎医学について授業を受けてきた私がKALSを受講する前に主に使っていた教材の中で、医学科編入に役立ったと感じたものを紹介します。


【免疫学】「いちばんやさしい免疫学」(安部良 監修、西村商子 著) 成美堂出版

 免疫学界では王道のAbbasの「基礎免疫学」よりも医学科編入向きです。「いちばんやさしい」と言っていますが、高校生物よりも内容が濃く、2022年の出版でコロナウイルス関係も載っていています。(生物界のやさ理かもしれない)見開き1ページのうち半分には大きめの字で文章が書いてあり、もう半分はイラスト図解が載っていて見やすい構造です。私は免疫学が頻出テーマである長崎大学の受験前には繰り返し読んでいました。


【生化学】「忙しい人のための代謝学」(田中文彦 著) 羊土社

 高校物理の故に、大学初学年で受けた生化学で石化した私を助けてくれた書です。初学者向きで代謝の全体像を掴むことができます。分量は少なめです。羊土社らしい読みやすい文体なので、学習の簡単なおさらいにも最適です。


【発生学】「カラー図解 人体誕生」(山科正平 著) 講談社

 勉強しずらい発生学ですが、分子レベルから個体レベルまでこの1冊で新書を読む感覚での勉強ができます。編入試験としてはやや発展内容もありますが、弊学医学科の発生学講義では教科書として記載されていた良書です。内容が深いにも関わらず、単行本として持ち運べる大きさであるのも魅力的です。


【生理学】「N教授の生理学講義ノート」(二宮治明 著) 日本医事新報社

 医療従事者が学ぶ生理学の基礎が詰まっています。臨床と紐付けて体系的に学べるため、生理学基礎がよく出題される大学を受ける人は必見です。臓器などは基本的に手書きで描かれているので、リアルな絵が好きな人には見づらいかもしれません。この書は、鳥取大学医学部でN教授ご本人が講義の教科書として使っていますが、「N教授過去問」と検索すると鳥取大学外の人もN教授が作製した試験の過去問が閲覧できます。


【生化学・分子生物学】「生化学・分子生物学演習 第2版」(犬飼篤・野島博 著) 東京化学同人

 生化学・分子生物学の知識が固まってきた人向けの演習問題集です。KALSの問題集に飽きた人にもお勧めです。約280問あります。解説はあっさりしているので、分からないところは見慣れた参考書で確認する必要があります。


【生命科学基礎】「ZEROからの生命科学」(木下勉、小林秀明、浅賀宏明 著)南山堂

 分野ごとよりも生命科学自体、全く分からない…という方にオススメです。高校生物未修でも生命科学の基礎を理解できるように配慮された書です。私は有性生殖の分野の理解が遅く、この書を何度も確認して復習していました。


【遺伝学】「大森徹の生物 遺伝問題の解法 新装改訂新版」(大森徹 著)旺文社

 高校生物をすっ飛ばして大学レベルの生命科学を学んでいた私ですが、大学でもメンデル遺伝は授業で習いませんでした。医学科編入においてメンデル遺伝は頻出であるため、この本で演習をして知識を補充していました。演習問題を解くことでアウトプットメインの理解ができる書になっています。


【生理学・生化学】「生理学(カラーイラストで学ぶ 集中講義)」(岡田隆夫 著)「生化学(カラーイラストで学ぶ 集中講義)」(鈴木敬一郎、本家孝一、大河原知水、藤原範子 編集)

 ともにメジカルビュー社からの出版です。各項目はまず疑問形から始まり(例:「酵素とはなにか」)、その下に模範解答が書かれています。さらに、模範解答の後に詳しい事項が載っているという構造になっています。イラストもありつつ、文章も詳しく書かれているので詳細な生化学や生理学を問われる大学を受ける可能性のある人は一冊ずつあると良いかも知れません。KALSにはない知識も載っています。


まとめ

 ここまで様々な教材を紹介してきましたが、生命科学は初学だがKALSを受講していないという方や受講前に勉強したいという方にとっては、これらの教材を使うとより理解が深まるかもしれません。一方で、現在KALSの生命科学を受講している方は、まずはKALSの教材をやりこむことをお勧めします。その中で、KALSの教材では理解できなかったり、不足していたりする内容を補うために上記の教材を使用すると、より合格に近づけると思います。



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