大分大学医学科編入の書類審査突破に向けて

 2023年に大分大学から正規合格を頂いた「せんよう」と申します。今回は理系学部4年次に大分大学の書類審査を突破した私が出願前に意識したポイントについて、実際に提出した課題小論文の原稿をもとにご紹介します。大分大学では書類審査により筆記受験の人数が少なくなるため、書類審査を通過できれば合格の確率を高めることができますのでぜひ頑張って作成してください。
 また、自己紹介については以下の記事に書いていますので、よければ参考にしてください。


大分大学の書類審査概要

 大分大学では一次審査として書類審査が行なわれます。募集要項によると「募集人員の約10倍を第一次選抜の合格者とする」と書かれています。大分大学の募集人員は10名のため、書類審査の段階で約100人まで絞られることになります。しかし、実際には100人以上通過させることもあり、私の受験した2023年には約120名が書類審査を突破していました。毎年220~260人が出願していることを考慮すると、書類審査の倍率は約2.0~2.5倍ほどとなります。

課題小論文のポイント

 大分大学の書類審査では課題小論文が課されていますが、これは志望理由書であり3次試験の面接においても重要なものとなります。課題小論文のテーマは毎年固定されており、「大学で学んだ学問分野並びに社会活動等その他の活動(卒業後の活動も含む。)を今後どのように活かし、どのような医療人・医学研究者を目指すか」となっています。形式は指定の用紙に手書きで1000字以内です。

 まずは、私が実際に提出した内容を以下に載せます。

 ○○(大学名・学部学科)にて学んでまいりました基礎研究の知識や技術を活かし、大学病院において循環器に関する臨床業務と基礎研究にともに取り組む医師を目指して参ります。
 私が医師・医学研究者を志したきっかけは高校時代の友人です。その友人は完全大血管転位症を患っており、小さい頃から食事制限や運動制限を受けながら日常生活を過ごしていました。その友人と関わる中で、「医師として似た境遇の子どもを救いたい」と考えるようになり医学を志しました。
 基礎医学に重点を置く○○(学科名)にて学び、医学研究に携わる形が良いと思い現在の学部学科に入学いたしました。しかし循環器の病態や治療に関する知識や研究を学ぶことは、やはり医学科でなければ不十分であることを痛感いたしました。臨床に携わる様々な分野の医師による講義を通じて、基礎医学を学ぶだけでは気づけない問題があり、実際の医療現場を通して気づく問題は少なくないと感じております。同時に、医学研究を臨床に応用させていくためにも基礎医学の知識と経験が重要であることも実感してまいりました。
 また、インドネシアにある○○(大学名)の主催する、ハンセン病と結核に関する医学生向けのセミナーへ参加し、今の学科では学べない病気や治療法などを学びたいという想いが強まりました。ハンセン病や結核については、現在の学科では全く習う機会がありませんでした。日本では両者の患者数は少ないものの、インドネシアでは未だに多くの患者がこれらの病気で苦しんでいます。このセミナーでは、予防から治療に至るまで、英語で医学生が学ぶことを体験いたしました。医療の情報を得る手段として英語が必要であることを実感し、今日まで英語の語学力向上にも取り組んでまいりました。医学生として進学した後にも、英語の学習に精進してまいります。
 現在、医学研究を進めるための科学技術が急速に発展しており基礎研究と臨床研究をつなぐ人材の必要性が高まっていると考えます。私は今までに学んだ基礎医学の知識・経験とともに、大分大学医学科にて循環器の病態や治療に関する知識や研究を学ぶことで、目の前の患者だけでなく将来的な患者を救える人材となるべく学業に邁進する所存です。大分大学医学部医学科での学びの環境を活かしながら、医学生および医師として医療に貢献したく志望いたします。

私が気を付けていたポイントは以下の通りです。

  1. 過去・現在・未来が組み込まれていること

  2. 志望理由に一貫性があること

  3. 「その他の活動」と志望理由に相違がないこと

順に説明していきたいと思います。

1.過去・現在・未来が組み込まれていること

 私の場合、過去は「高校時代の友人との出会いで循環器に興味を持った」、現在は「今の大学での学びでは足らない」、未来は「臨床も研究もできる循環器の医師になりたい」が該当します。志望理由として述べる際に「今の医療の問題点を解決したい」という観点から書くべきだという人がいますが、私は必ずしもそうであるべきとは思いません。実際に私の課題小論文では、「医学科で循環器について学んでそれを活かしたい」という観点が主軸となっています。また、現役大学生として受験する方に多い悩みであると思いますが、「なぜ今の大学ではだめなのか」ということも課題小論文で触れて良いと思います。「今の大学を否定することを書いてはいけない」という意見もよくみかけます。確かに「否定すること」は御法度ですが、自分の理想とする医療提供の実現のために「今の大学では不十分であり医学科での学びが必要である」ことを強調できる書き方であれば問題ありません。

2.志望理由に一貫性があること

 自分なりの過去、現在、未来を説明できるようになるには、それらに一貫性があるか確認するべきです。一貫性を持たせるには、やはり出願の段階から志望診療科を決めておくのがお勧めです。自分が医師を目指すきっかけ→未来においてきっかけに関連する診療科の医師を目指す→現在とのギャップは何かという方向性で考えると、一貫性があり書きやすいと思います。また、一貫性があるかどうかは最低1回は他の人に見てもらう方が安心です。具体的には合格者がX にて個人でやっているサービスや大手予備校(KALS)の添削サービスを利用するのが最適だと思われます。

3.「その他の活動」と志望理由に相違がないか

 大分大学の課題小論文では学業以外のことも記述できますが、「その他の活動」は内容を厳選することをお勧めします。私も実際、初期に書いた課題小論文では主体性を強調するために複数の活動を書いていました。しかし、合格者の方からの添削では「循環器医師になること」から外れる内容は省くべきだと助言をいただきました。添削前には「インドネシアの大学の医学セミナーを受けたことで医学知識と英語力の不足を実感」と「アクセシビリティリーダー2級の取得は総合診療医が必要とされる近年で医師として役立つ」ことをその他の活動として挙げていました。しかし助言として、前者はまだ理解できるが、後者は専門医である循環器医師になろうとしているのに総合診療医のことを書くのは良くない、と言われました。私のように「主体性」をアピールしようと様々な取り組みを書こうと考える人は多いのではないかと思いますが、自分の志望理由と相違がないか一度振り返る必要があります。

大分大学の書類審査についてまとめ

 大分大学の書類審査のなかで、重要なものはやはり課題小論文です。年齢差別をしていると言われている某大学の書類審査とは異なり、大分大学の書類審査では年齢や出身大学を問わず、課題小論文を中心に審査されていると考えています。中には「高学歴だと逆に落とされる」という噂がありますが、合格者の中には旧帝大学出身の人もおり、その真偽は定かではありません。また、面接では課題小論文に複数の線が引かれており、面接官は課題小論文を読み込んでいると思われます。私の場合、推薦書にも線が引かれており面接でも質問されたため、出願の際には課題小論文の内容と共に推薦書の内容をコピーして保存しておくと面接対策がしやすいです。大分大学の出願時期は初めての出願であったり、複数の受験校の出願と重なっていることもあると思いますが、しっかりと課題小論文を完成してから出願しましょう。頑張るあなたの努力が実りますようにお祈りしています。