最近あったことや無かったこと

遠野遥さんの『教育』を読んだ。なんて面白いんだ。

反骨精神を持ちつつ権力側には全力でおもねる一番信用ならん人間なので、『教育』の学園でも自分はなんだかんだ要領良くやっていける気がする。実の学生時代はというと平和だが何も起こらずとてもしょうもないものだった。当時校内で神格化されていたオレンジレンジを苦手だと言ったら次の日からハブられたくらいしか取り立てて思い出はない。ここ数年、特に学園ものの物語を享受した際に多いのだが、実際体験した出来事のようにその世界で暮らす自分をリアルに思い浮かべてしまう。近い将来、どれが本物の記憶だったか分からなくなりそうで恐ろしい。映画やドラマで見るたび憧れていたプロムも、会場の隅で出来るだけ哀れに見えないよう目を伏せながら家族を安心させるために楽しかった一晩を創作する羽目になったという切ない思い出があるが、もちろんプロムに参加したことはない。最近毎晩ペルソナ5をやっていて仲間たちと刺激的な高校生活を過ごしているのだが、現実世界ではただひとりで渋谷をカッコつけて歩いているだけ。

先日ほぼほぼ初対面の人と、社内でたまたま浅草キッドの映画が面白かったという話で意気投合し、仕事を1時間早上がりし浅草に繰り出す。(蔓延防止等重点措置の実施前だったということを書き添えておく。)
同僚がまだ働いている時間に飲むお酒の味のなんと麗しいこと、とひとしきり盛り上がり、鯨を喰って芸を磨けと捕鯨船にも行った。元祖チューハイもくじら料理も脳がしびれるほどおいしかった。本当に楽しい夜だったので、妄想でないなら良かったのにと思ったけれども嘘、これは現実に起きたことだったかも知れない。

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