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真の哲学とは?

哲学とは知恵の探究、人間の知り得るすべての事物の完全な知識の探究を意味し、生活の思慮、健康の維持、技術の発見にも及ぶ。これは(1)人間精神が把握できる明白かつ自証的な真理と、(2)原因、原理に基づく演繹過程を基礎とし、単なる「処世の才能」ではない。(ルネ・デカルト(1596-1650))



 「即ち、この哲学なる言葉は知恵の探究を意味し、知恵とは単に処世の才能ではなくして、生活の思慮についても、健康の維持やあらゆる技術の発見についても、人間の知り得るすべての事物の、完全な知識を意味すること、そしてこの知識がかようなものであるためには、それが最初の原因から導き出されることが必要であり、従って、本来の意味で哲学する、と呼ばれることの獲得に努めるためには、これら最初の原因即ち原理の探求から始めねばならぬこと、またこれら原理には二つの条件がなければならぬこと、即ち一つは、それらが明白で自証的であって、人間の精神が注意深くその考察に向けられるときには、その真理性を疑い得ないほどであること、他は、これら原理に他の事物の認識が依存し、従って原理は事物なくしても認識できるが、しかし逆に原理なくして事物は認識され得ないということ、そしてその後に、これらの原理に依存する諸事物の認識を、原理から演繹し、その実際行われる演繹の全過程のうちに、完全に明白でないようなものは、何も残さぬようにしなければならぬ、と言ったことがら(を説きたかったの)であります。」
(ルネ・デカルト(1596-1650)『哲学原理』仏訳者への著者の書簡、p.12、[桂寿一・1964])
(索引:哲学、知恵の探究、完全な知識、原因、原理、明白かつ自証的、演繹)

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