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薄い文庫本を作った話4

作る本のだいたいのビジョンができると、後は原稿をそろえないと先に進めないことに気が付いた。
発注するにしてもなんにしても、先立つ物は原稿である。

書式がバラバラになることは最初から予想できたので、短歌と小説と付録という三つのセクションに分けて編集を開始した。

短歌の方は文字数も少なく、改行もないので実にあっさりしたものだった。
1頁を2行×33字の書式にしてスタート。順番を考慮しながら配置しておしまいである。

小説が厄介だった。もともとwebで書いていたものなので、改行がやたら多い。段落一字下げがあいまいで、縦書きにすると読むリズムが変わるため、全然別物になる気がした。物語を再構成する必要があって、この作業に多くの時間を費やした。
印刷屋のサイトで小説向きの書式が公開されているので、余白や行数、字数はそれをほぼ丸パクリである。フォントも再現性が印刷屋によってマチマチなため、汎用性が高そうな遊明朝を選んだ。(ここでフォント沼にハマって1週間、明朝体ばかり眺めていた。)

付録として短歌一覧やら、140字ssを収録するにあたって、その部分は横書きにした。縦書きの本に横書きをいれる気持ち悪さは若干あったが、付録はあくまでも付録というスタンスなので、あえて雑にした感じだった。

これら三つのファイルを統合していくのがさらに厄介だった
・中表紙、目次を足す
・書式をセクションで区切って貼り合わせる
・頭からノンブル(ページ番号)を打つ
・ヘッダーに章タイトルをいれる
たったこれだけの作業だったが、ここで悪戦苦闘する。

中表紙は新潮文庫の扉を参考にした。
なんて事はない。センターにタイトルを入れて作者の名前を置けばいい。ついでに四角で囲めばそれっぽい。文庫の丸パクリはこういうところが簡単なので初心者にはおすすめである。

目次も手持ちの歌集を参考にシンプルに仕上げた。
ページ番号だけは、完成原稿にならないとわからないので、最も最後の作業になる。とりあえず収録する作品名を並べて終わりである。

逆にヘッダーとフッターの編集にはなかなかてこずった。
頭から通しでページ番号を打つのは比較的簡単なのだが、ヘッダー部分は前のページの設定が引きずられたり、修正しては消えたりと、随分悩まされた。
奇数偶数ページで左右に位置を振り分けることを考えたが、小説部分を改行で一字下げ作業する度に、ページの送りが変わって訳がわからなくなり、ど真ん中に配置する最も簡単な設定にした。
なにせ初心者なのだ。80点でいい、ということを常に己に言い聞かせた。

このあたりから構成に第三者的目線が必要だと思い、頼れる知人に恥をしのんで草稿を見てもらうことにした。

イラスト担当の方にも正式に仕事の依頼をし、枚数やサイズ、納期などをお伝えした。
形式については特に決めなかったが、最終的にはPDFになる旨を伝えて、それに耐えうる画質になるようにという点を申し伝えた。

ここにきて容量の大きいデータのやりとりには、ドロップボックスのようなものが必要だということに気がつく。

次回はそのあたりについて書こうと思う。

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