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はるのワンピースをつくりに

『はるのワンピースをつくりに』

布川 愛子 (イラスト), 石井 睦美 (著)
発行:ブロンズ新社

かぜがはこんできた すみれのかおりで
さきちゃんは めを さましました。

「はるがきたから、はるのワンピースが ほしくなったの」
というさきちゃんに
森の仕立て屋さんのミコちゃんはこう答えます。
「どんなワンピースがいいかしら。
 さきちゃんのきぶんを しらなくっちゃね」
そう、ミコちゃんの質問力の高さはすごいのです。
はるのはなって どんな花?
はるの色って どんな色?
はるの音って どんな音?
はるになったら 何がしたい?

考えたことなかった、改めて私に、そしてあなたに聴いてみたい質問たち。
それは、着たい服を
自分の纏いたい気分を
心の中に探しにいく時間。
“こんなふうに考えて楽しめるんだよ。
人生ってたのしいものでしょ“
そんなことを子どもたちにも伝えたいし
私たちも発見したい。

毎日じゃなくても、気の向いた時は
ミコちゃんの問いかけのように
クローゼットの前で自分で自分に聞いてあげよう。

これからどんな未来を過ごしたい?
どんな音を聴き、どんな色の世界で、どんな景色を眺めて何がしたい?
その時、私は何を着ていたい?

今回のこの本と、
2月末にサウジアラビアで着た着物の話は
すこし本質的に近い感覚な気がしてて。
服を選ぶことは、未来の自分を選ぶことかもしれない。
そんなテーマをよく想うこの頃です。
この絵本と一緒に
春のうれしさと生きるときめきを胸いっぱい感じてみてもらえたら嬉しいです。

どれもこれも、たった一つの人生のストーリー。

++++++++++
これはサウジアラビアを共にしたお着物です。
京繍の長艸敏明先生が
雑誌家庭画報・きものsalonの企画を受け制作されたものです。
先生へのご依頼は、ルーブル美術館にある「エプソムの競馬」を写したもので、このご依頼がなかったら生まれなかったであろう作品。
絵のように見えるジョッキーと馬の部分は、ひと針ひと針端正に命が吹き込まれていった刺繍なのです。
左胸には、吉兆のモチーフ、瑞雲。
"着回しやすいデザインではないし、買う人も居らへんやろな〜"
と思っていたら…
現れた私。笑
着る場面は浮かばないけれど、、
自分の趣味嗜好とももはや関係ない、"縁"のようなものを感じて
いつか、この着物を着て海外のビッグレースに応援に行く!
そう決めて、えい!と購入を決めてから4ヶ月後…
まさかサウジアラビアを共にするとは。
その時(2022年秋)には、引退することもサウジアラビアももちろん何も決まっていませんでした。
「着物は、予定が決まってから作るのでは間に合わないのよ」
まさにこの着物は未来への招待状でした。

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