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はちうえはぼくにまかせて

『はちうえはぼくにまかせて』

ジーン・ジオン (著),
マーガレット・ブロイ・グレアム (イラスト)
森 比左志 (翻訳)
発行:ペンギン社
1 x 20.6 x 28.3 cm

夏に、名作絵本はいかがでしょう?
緑生い茂る豊かな夏らしさ
植物への少年のフレッシュな探求心
そして成長していく姿を
読んでいるわたしたちも追いかけながら感じられる
そんな「夏」にぴったりな瑞々しい絵本です。

翻訳のもりひさしさんが1981年に書かれたあとがきを読むと
なるほどなぁと
また味わいが深まりました。
華やかでパッと目をひくタイプのものではないけれど
これぞ、夏の絵本の名作だと思うのです。

―あとがきより
この絵本をひらく日本の子どもは
たいへん身近な親しみと
ちょっとちがった生活感をうけとめるでしょう。
たとえば、トミーとくらべて草花が好きで水をやるところなどはおんなじ
でも、よその鉢植をあずかって世話をしアルバイトにするところなど
あれあれ?とも思うでしょう。そうした共感とちがいとが魅力なのです
中略
こうした設定のなかで、トミーはどんどんのびる鉢植をいっしょうけんめい世話し
それを契機に心も成長します。
どんでん返しにハッピーエンドとなるお話の楽しさに合わせてうけとめてほしいところです。
使っている色は青黄、それを重ねた緑だけ。
ソフトなえんぴつがきの上にその淡彩をのせています。
静かな画面がなんともあたたかく見えるのは
作者たちがトミーによせる愛のこころを描いているからでしょう。―

私たちが本来持っている底知れぬ探求心よ!
夏、思いっきり目覚め解放されよ!


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