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キャロリング

『キャロリング』文庫版
有川浩(著) 発行:幻冬舎


私のなかで、泣きたくなったら
有川浩、もしくは浅田次郎。
スカッとした物語が読みたくなったら
池井戸潤。
いずれも、人気作家ばかりですが
何を読んでも外さない作家さんたちです。

これまで、小説の販売は少なかった
SENSE OF WONDERですが
年末のおやすみのときに
ゆっくりと心あたたまる物語はいかがでしょうか。

「キャロリング」とは
本来、クリスマスイブなどに
子どもたちが家々を訪ねて
クリスマス祝歌(クリスマスキャロル)を
歌う活動のことです。

実はこんなタイトルのこの小説ですが
クリスマスの企画もの
というわけではありません。

クリスマスに倒産が決まっている
会社で働く元恋人たち。
なんとか両親の離婚を阻止したう男の子。
悪人になりきれないチンピラたち。

それぞれの立場があって
やりきれない想いも、
どうしようもない現実も
それぞれにある。

でも、

「不幸を比べっこしたってしかたないじゃない」

いうのは簡単。
でも、それを飲み込んで
心から納得できないと
前に進めないのも事実。

個人的には、両親の離婚を止めたい
男の子の航平くんが
この12月のいろんな出来事のなかで
モノゴトは一方向だけではなく
多面体なんだということを実感し
大人になっていく姿に
じーんとしてしまいました。

そして、この物語のキーになるのが
航平くんが書いた自作の物語。
SENSE OF WONDERにも通じることですが
文字と言葉の力の偉大さを
感じました。

彼らにとって、
この結末がハッピーエンドなのか
そうでないのか。
それぞれとりようによって
違うかもしれません。

でも、やっぱり私にとっては読了感が
爽やかな、心あたたまる物語です。


サガちゃん


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