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告白雨雲

 あの人に告白してた時、丁度梅雨で雨が降っていた。既婚者だったけど、そんなこと関係ない位あの人が好きだった。
 最初は順調に愛を囁きあった。きっとこのまま、いつまでも一緒にいられると思っていた。
「妻が妊娠した、もう会えない」
 この言葉で、愛なんてなかったことに初めて気がついた。目の前が暗くなっていく……、気がつくとあの人が頭から血を流して倒れている。私の手には重い花瓶が握られていた。私は笑っていた、もうこれであの人は私だけのもの。
「今日、梅雨明け宣言がでました」
 TVのアナウンサーが嬉しそうに言っている。そうね、私の愛もこれからは晴れのままだわ。もう動かなくなったこの人を腕に抱きしめたまま、キスをした。
ー遠くから、サイレンの音が鳴り響いていたー


                               終わり





 今回はシリアスにしてみました、いかがでしょうか。遠くから聞こえたサイレンの行方は読者の判断にまかせます、不倫はしんどいことが多いですからね、おススメしません。さぁ、来週のお題はもう少し優しいものがいいですね。

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