歩道橋

*BL色が強い作品です、嫌いなかたは気をつけて。


ただでさえ憂鬱な梅雨の合間、学校集会で一人の先生が死んだ事を知った。自殺だったそうだ、思い出して見ると線の細い優しげな……男とは思えない様な先生だった様な気がする。

その日の帰り道、部活も雨で中止になった俺は友達のカラオケの話しを断って吹き荒ぶ雨の中を歩いていた。ふと歩道橋に差し掛かると、まだ一年生だろうか?俺と同じ制服を着た男子がまるで雨なんか気にしないとばかりに、傘もささず歩道橋の上から下を見ていた。思わず、

「こんな所で何やってんだよ!あーぁ、こんなに濡れて……ほらタオル」

男子はなすがまま俺に拭かれている、その中に涙を見た俺はたまらず、

「俺は一人暮らしだからシャワー位貸してやる、ほら行くぞ」

と男子を引っ張って家に連れて行った。まだ少年と言っていいような体を引っ張っている間、なんか死んだ先生を思い出していた。住んでるアパートに急いで入って、

「ほらバスタオル、シャワーの使い方はわかる?」

こくんとうなずいて風呂場に入って行ったのを見届けて、着替えを洗濯機のうえに置いて

「着替え、置いておくぞ」

「ありがとうございます……」

お、初めて喋った。ヤカンでお湯を沸かしながら、自分もさっさと着替えてコーヒーをいれる。その間に男子は着替えて、台所の俺の所にきて

「何か色々とありがとうございました。僕がきてお邪魔じゃないですか?」

「あぁさっきも言っただろ?俺一人暮らしだから平気」

「先輩は強いですね」

俺がちろっと見ると、涙を流している。俺は、

「コーヒーでも飲め、砂糖は?ミルクは?」

「あ、すいません。ブラックで大丈夫です」

カップを手渡すと、

「ありがとうございます」

飲んで落ち着いたのを確かめてから、思いきって聞いた。

「あんな所で何してたんだ?自殺でも考える様な事でもあったのか?」

男子はカップに目をおとしながら、ポツリと

「付き合っていた人に死なれちゃったんです」

頭の中、思い出したのはあの自殺した先生の顔だった。恐る恐る、

「それって今日言っていた、先生の事か?」

悲しそうにうなずいて、

「先生は僕と付き合っている事にずっと罪悪感を持っていたんです……でも、別れられなくて」

「自殺したってのか?」

男子は悲しそうに俺を見た。そして、

「気持ち悪いですよね、男同士で」

「でも好きだったんだろ?いいじゃないか!堂々としてればいいんだ!!」

キョトンとした男子はちょっと微笑みながら、

「やっぱり先輩は強いなぁ、僕も先輩位強かったなら先生は死なずにいたかなぁ」

「お前も強いよ、だって今生きてるじゃないか?後を追わなかったおまえは強い!」

「本当に……?」

うなずいてニカッと笑った俺を見て、男子は抱きついてきた。そして、

「少しだけこのまま抱きついていいですか?」

返事代わりに強くその華奢な体を強く抱き締めた、そして顔を見て口付けていた。驚いた顔の男子に、

「名前は?」

と聞くと、

「貴文……」

俺はたまらず体を離して、

「やべぇ〜、勃っちまった」

それを聞いた貴文は笑顔で

「先輩なら抱かれてもいいな」

「ば、馬鹿?!」

「先輩!寂しい猫を拾ったんだから、最後まで責任持って下さいね」

次の朝、梅雨の晴れ間なのか晴天だった。学校のむかいながら二人で歩く、ふと貴文に

「もう、大丈夫だよな?」

と聞くと、最高の笑顔で

「はい!僕、先輩が気になります!」

「はぁ?」

まぁいいや、貴文の事もこれから知っていけば。俺は貴文の頭をくしゃくしゃにして、

「覚悟してるよ。貴文」

続く……


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