"まだ夢の中にいる”#6
雨がパラつく朝、 3日間お世話になった都心のホテルをチェックアウトし、ロビーで八島さんと待ち合わせ、タクシーで東京駅へ、そこから横須賀線の切符を買って鎌倉駅を目指す。
いよいよ鎌倉物語が始まる。
1時間強で到着、5分ほど一向に来ないタクシーを待っていて、どうもおかしいなとサインを確かめるとなんと二人して「降り場」にいた。笑いながら目と鼻の先の「乗り場」へ向かうとそこは長蛇の列、だった。ツイテナイ。でも目の前に、江ノ電がある。
「乗ります?」
「本当に?」
「楽しいし。どうでしょう?」
「乗っちゃいます?」
「そうしましょう。」
二人は笑いながら来た道を戻り改札を抜け江ノ電ホームへ。途中、「今夜、鎌倉物語を楽しみにしています」と言う二人組の女性に会う。可愛い電車のつり革につかまると、車内に座るあの人もこの人も「鎌倉物語」を目指している風に見えるから幸せ者だ。
情緒のある国道135の海沿いを走る江ノ電。前にもこれと同じように印象的なシーンがある。白井貴子さんの由比ヶ浜での野外コンサートのオープニングアクトをさせてもらった84年くらい、初代マネ舟橋氏とEpic宣伝担当、関学の先輩、湯川氏と、文化放送ミスDJ向井亜紀さんと、同じように並んで吊革につかまって海を見ながら江ノ電に揺られた。
海の静けさはあの時と全く変わらない。
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