きょうはいい日だ
何気なくパラパラ捲ってみた詩集『聲』、詩のことばが放つ光を私は一瞬にして浴びてしまったようだ。「よい詩集ですね」レジカウンターで声をかけた。「そうなんですよ、僕も好きです」「養豚をしてる人なんですよ」その詩人について話す本屋さんはとても嬉しそうだった。帰り道、バスにゆられ、電車にゆられながら、まるでことばを食するように読んだ。詩のことばは種のようなものかもしれない。ふんわり落ちた場所でやがて芽を出す。木の根っこ、土、種種の生き物、そして人、寡黙なものたちの色々な聲が聴こえる。
石原弦『聲』所収
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