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織組織 #3 二重織

2021'6.3〜 続いています。

帯には『織組織』という、経糸と緯糸の関係性を示す言葉あります。

この織組織によって、帯は同じ絹糸、素材で織られていても全く違った表情を見せてくれます。たとえば、留袖に合わせるような重厚な織物、地に紬糸が通りお洒落な柄付けの帯、夏や単衣時期に結べる軽くて透け感のある帯など、さまざまあります。


1、二重織について

この二重織という織物の特徴としては、質感や重厚感をもつ織物を織ることができます。また、となみ織物最大の経糸数(約8000本)をつかっているため、織り目が見えない、一枚の絹の板にも見える緻密さを表現することができます。この表現力をつかって、奥行きにもシンプルに平坦にもできる振り幅も魅力的です。

機に掛かった状態の経糸。

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今、西陣の織物の大部分は横糸(緯糸)で柄を表現するモノが主流です。対して、この二重織は写真の経糸が表に出して主な柄を表現。この時点から仕上がってくる帯が全く変わってくることが想像できます。

経糸が表に出るため、緯糸の場合とは帯自体の発色が違ってきます。そのため、元となる図案も異なります。緯糸で織る織物が苦手なことができることもあります。たとえば、縞柄など。緯糸で織る織物で織れないことはないですが、そこに無理をするよりも、この二重織で素直につくった方が綺麗に上手く行きます。

ただし、表に経糸が出るため、配色での失敗は致命傷に。緯糸であれば糸で調整を掛けることもでき、また全く違った地色の織物を作る際でも、糸を変えれば、大きく変化させることができます。二重織をはじめ、経錦などの経糸が中心の織組織では、構造上それが非常に難しくなります。

上記動画は、その経糸を紹介しています。


2、二重織/こんな感じの帯になります。

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シンプルに経糸のみで柄をつくる。神坂雪佳の世界/海路図より


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二重織の特性、経糸で表現できるコントラストを生かしたモノトーン+1色の袋帯。


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地は箔で織、中の花はボリュームを持たせ、市松状の柄は二重織の特色である経糸で表現。


3、コーディネート参考例



4、動画でのご紹介(語りは中村です。)


◯シンプルな二重織の帯で説明しています。



◯引箔をつかった華やかな帯での紹介となります。

https://youtu.be/JBYS1BFRr2k

https://youtu.be/JBYS1BFRr2k




◯独立したセレクションはまだ制作しておりませんが、Online仙福屋上でも存在感のある織組織になっています。


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