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作楽#2 作楽数珠/紹巴織

作楽シリーズの一番最初に制作した帯

1,帯デザインについて

文字通り数珠をデザインした帯になります。数珠、英語で書くとROSARY(ロザリオ)。祈りに通じる柄です。もちろん、その意味も持ち、また人と人を繋ぐ、繋いだ人がまた人を繋ぎ続ける。そんなデザインでもあります。

通常、帯を制作する工程の一番最初は図案からはじまります。
これには①図案家等に描いてもらうもの。
となみ織物で多いのは人間国宝や画家、作家などの②着物とは離れた世界の作品を元に図案を起こすモノ。
そして、③モノづくりを行うスタッフがイメージをもって図案を起こす。
という風に分かれます。

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この帯は、そのうちの③にあたります。

イメージとしては、ある方の動きや様子、言葉。いつも人と人の縁を繋いでいく。その感じが数珠が繋がっているイメージがフワッと思い浮かび、それをそのまま図案として制作したものです。

また、作楽シリーズのコンセプト、作る楽しさ、着る楽しさ、見る楽しさを広げて行きたい。これからモノづくりをしていくにあたり、一柄目に制作するとしてピッタリなものでした。

2,織は紹巴織

緻密な表現を得意とする織物ですので、設計段階ではとことんまで作り込みを行っています。たとえば、色は黒とグレーに見えますが、色は6色+αをつかうことで、数珠玉の一つ一つの際にボカシを織りで入れています(しかもそれは一つ一つ異なる変化を付けています)。

また、地部分にも濃いグレーと黒の2色を絵の具の様にミックスすることで、何色も使っているように見せ、奥行きや質感に変化を付けています。柄の部分と地の部分を触ると、その違いを感じて頂けます。

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モノトーンのシンプル帯に見えますが、細密にこだわることで、実際に結んだときには、柄に伸びや迫力ができるので、どんな着物にも負けないコーディネートが可能な帯になっています。

3,裏地は市松に御召十

裏地は十字になった御召十を市松文様状に配置。
また、無地に見える部分も鹿毛引き染め(鹿毛製の刷毛で色を染める染色)のように、淡い濃いの2色の糸を緯糸で交互に織り込む織りで表現。

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裏地、さらにシンプルなデザインではあるのですが、単純には見えない。そんな風に作り込んでいます。

そんな作楽シリーズ一本目の袋帯です。

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