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新型コロナウイルスの影響についてのメモ


はじめに

お仕事の関係で新型コロナの影響についていろいろと調べたので、自分用にメモをしておいたのですが、せっかくなのでnoteにUPすることにしました。

統計学を専門に学んだわけではないので、あまり適切ではない数字の扱い方をしているかもしれませんし、解釈が妥当でない場合もあるかもしれません。引用は各自の責任でしていただいてもちろん結構ですが、剽窃はご遠慮ください。

長いので関心のあるところだけ読んでいただければと思います。あと、あくまでも自分用メモの転載なので、言葉遣いとかもろもろご容赦ください。

目次

1.経済状況について

2.生活保護関係

3.住居確保給付金・生活福祉資金貸付

4.その他のメモ ※現状DVのことのみ


1.経済状況について

1-1 新型コロナウイルス関連倒産件数

 帝国データバンクの調べによると、「新型コロナウイルス関連」で倒産したことが分かっている企業 は7月1日現在、全国で308件あり、業種別には飲食店(49件)、「ホテル・旅館」(45件)、「アパレル・雑貨小売店」(21件)が多くなっている。地域別では東京の71件、大阪の30件、北海道の21件などが多くなっている。
 ただし、東京商工リサーチによる調査とは数字に開きがあり、解釈については注意が必要。

1-2 労働力調査

 以下、2020年5月分の労働力調査(月次)を基にしていくつかメモ
※ 特に断りがなければ本節のデータは労働力調査(2020年5月分月次) より筆者作成


〇完全失業率と完全失業者数

 2020年5月の完全失業率(季節調整値)は2.9%で、4月よりも0.3ポイント上昇している。完全失業者数 は197万人(男性122万人、女性75万人)で4月の178万人(111万人、68万人)よりも19万人増加している(季節調整値)。以下は2018年5月から2020年5月までの月別の完全失業者数をグラフにしたもの。

図1 月別完全失業者数の推移(単位:万人)

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〇なぜ完全失業状態になったのか

 完全失業者について、は「仕事をやめたため求職している」と「新たに求職している」場合の2つに分けられる。前者の完全失業者全体に占める割合をグラフにしたものが以下の通り。

図2 完全失業者のうち、「仕事をやめたため求職」している者の割合の推移

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 少々分かりづらいが、大きく変化しているわけではない。むしろ2020年4月と5月は割合減少している。実数で見ると、「仕事をやめたため求職」した者については3月から5月まで116万、114万、126万と推移しており、「新たに求職」した者の数は同じ期間に45万、45万、52万と推移している。なお、2018年5月、2019年5月の「新たに求職」したものの数はそれぞれ36万、39万である。他の要素も考慮しないといけないが、「新たに求職」している者の数が例年よりもかなり多く、そのために「仕事をやめたため求職」している者の全体に占める割合が低下している。

 なぜ「新たに求職」した者の数が多くなっているのかは他のデータについても検討しないと何とも言えないが、少なくとも①新規学卒者の就職困難、②家族(配偶者や親など)が失職ないし減収したために必要に迫られ求職活動を始めた人が多くいることなどが要因として考えられる。

〇「非自発的な離職」が増えており、「勤め先や事業の都合」による離職がほとんど
 「仕事をやめたため求職」している者については「非自発的な離職」と「自発的な離職(自己都合)」に分けられる。前者の「仕事をやめたため求職」全体に対する割合の推移をしめしたのが以下のグラフである。

図3 「仕事をやめたため求職」している者のうち「非自発的な離職」をした者の割合の推移

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 これをみると、極端な上がり幅ではないものの、2月から5月にかけて右肩上がりで上昇してきていることが見て取れる。実数で見るとこの4か月間の隔月における「非自発的な離職」をした完全失業者の数はそれぞれ41万、45万、45万、52万となっている。とくに注目に値するのが、4月から5月にかけて、定年や雇用期間の完了ではなく「勤め先や事業の都合」によって離職した者の数が29万から35万へと増加しており、非自発的な離職者の増加分のほとんどが「勤め先や事業の都合」によるものであったということである。

1-3 今後について

 現時点で、失業者数が相当数に上っているが、問題はこの傾向が今後も続くかだろう。すでにハローワークで把握できただけでも1月1日から7月1日までの期間で3万1710人がコロナ関係で解雇や雇止めをされているとの報道がなされている(NHK記事)が、感染者数が増加している中で、景気の回復が見込めるとは考えにくい。しかも、こうした統計では把握できないような影響が起こっており、そのインパクトを正確に把握することは困難である(その中で対策を取る必要があるのだが…)

 なお、一般に、建設業、宿泊業、飲食関係などの産業が影響をこうむりやすいと言われているが、従業上の地位、産業や業種ごとの影響の違いについては労働力調査以外の調査結果と照らし合わせながら見ることである程度明らかにできるかもしれない。


2.生活保護関係

 経済状況が悪化している中で社会保障と社会福祉はどれくらい機能しているのか。あまりに範囲が広いので、生活保護と住居確保給付金/生活福祉資金だけ2つの節に分けて実態を確認する。

 以下、特に断りがない限り、本節では被保護者調査(2020年4月分概数結果および都道府県統計表)を基に作成した図表を用いる。

2-1 全国での申請件数の対前年同月比

 被保護者調査2020年4月分の結果概要の参考表によれば、全国で4月の申請件数は去年の4月に比べて24.8%多く、また保護開始世帯数も14.8%多くなっている。以下のグラフは2018年4月から2020年4月までの各月の申請件数の対前年同月比を比べたものである。常に5%前後は動きがあるが、2020年4月の伸び率が異常であるのは明らかである。

図4 月ごとの申請件数の対前年同月比(全国)

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2-2 都道府県別の保護開始世帯数の前年同月比(2020年4月)

 申請件数のデータはなかったため、保護開始世帯数の対年前月比が都道府県別にどう違うのか、実数とともに表にした。縦に長いが一応掲載する(地図を作る時間はありませんでした)

表1 各都道府県における保護開始世帯数の対年前月比(2020年4月)

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 地域による差がかなりあることはうかがえるが、その解釈は難しい。言い訳がましいが、難しい理由を以下にメモしておく。

〇割合で見ることの難しさ
 割合で見てしまうと、もともとの数が少ない地域は少しの変動が割合として大きく出てしまう。逆に言えば、もともとある程度多い地域で大きく割合が動いている都道府県(東京など)はかなり大規模な変化が起きていると考えてもよいかもしれない。ただし、これも人口の規模による。

〇移動するという問題
 人口の規模と考えた時、特に大都市部についてはさらに解釈が難しくなる。居宅での生活保護申請であれば、もともと住んでいた地域での申請となるが、寮やネットカフェから追い出されたり、実家を出てきたり、居所なしでの現在地保護の場合、もともと拠点にしていた自治体で申請するとは限らない。このようなケースについては国勢調査や住基台帳などで把握できる人口とはあまり関係ない。なお、困窮した場合については後述する理由から基本的には東京や大阪といった大都市に集中する傾向があると考えてよいだろう。

〇数値の妥当性
 より根本的な問題として、そもそもこの数値の差が何を意味しているのかがわからないという問題がある。一番ナイーブなのは、割合が増えていないところはこの間に困窮した人がそんなに増えていないという解釈だが、そこまで単純ではないだろう。
 困窮したとして、生活保護につながりやすいかどうかが地域によって差があると考えられる。典型的なのは自動車などの保有の認められない資産を持っているために申請をためらうというのは都市部よりも地方で多い。3月10日の通知で自動車の保有に関しては、一時的な保護の利用の場合で就労による保護の廃止が見込まれている場合には保有を認めてよいという運用の徹底が図られているが、そんな細かいところまで知っている人は少ないだろう。
 また、こうした知識を持っていたり、同行の支援をしてくれる団体や機関も基本的には大都市部に集中している。そしてそのために都市部に困窮者が移動し、そこで申請する場合もある

以上の条件があるために、保護開始世帯数の違いが何を意味しているのかが分からない。

参考:東京23区における保護の申請件数の増減

 参考までに、東京23区における保護の申請件数の増減について表を載せておく。この表は朝日新聞デジタル, 『生活保護申請、東京23区で4割増:コロナで困窮広がる』(2020年6月1日)に掲載されていたものを作成し直したものである。

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 これまた実数が少ないために各区の割合をみても仕方ないかもしれないが、増え方に地域差があることは確かである。目を引くのはやはりもともと多くて、さらに増加している新宿、台東、板橋、足立あたりかもしれない。しかし逆に、あまり増加していない地域があることの方が疑問でもある。この辺りは階層、労働市場における位置などによる脆弱性の差以外にも、役所の対応などによっても差が出ている可能性があるが、確かなことは言えない。


3.住居確保給付金・生活福祉資金貸付

3-1 住居確保給付金
 住居確保給付金の2018年度の支援実績は全国で5283件、東京都で1138件となっている。
(出典:平成30年度生活困窮者自立支援制度における支援状況集計表

 直近の実績についてはまだ公表されていないが、申請件数は非常に増加しているとみられる。全国賃貸住宅新聞の取材によると、東京23区について以下のことが明らかになっている。
・世田谷区では2019年の年間新規申し込みが100件であるのに対し、2020年4月のみで約900件の相談がある
・新宿区では2020年の2月、3月では相談件数は20~30件であったが、4月1~27日で600件弱へと増加した
・足立区では4月1~27日の相談件数650件、申請件数34件。2019年4月の申請件数は1件

3-2 生活福祉資金貸付
 時事通信によれば、生活府福祉資金貸付の特例措置は緊急小口資金と総合支援資金で合わせて約38万8千件(緊急小口約33万5千件、総合支援約5万3000件)の申請が3月25日~5月30日の約2か月間に申請され、うち約34万3千件の支給が6月13日時点で決まった。
出典:時事通信社6月14日『特例貸し付け、38万件超申請 既にリーマン超え コロナで生活困窮、社協に殺到

 なお、全国社会福祉協議会のアクションレポート172号(2020年7月2日)によれば、2020年6月27日現在の実績は以下の通りとなっている。
・緊急小口資金貸付申請件数52.8万件(929.9億円)
・緊急小口資金貸付決定件数50.8万件(907.1億円)
・総合支援資金貸付申請件数16.3万件(836.6億円)
・総合支援資金貸付決定件数12.7万件(665.0億円)

3-3 今後について

 住居確保給付金や生活福祉資金貸付については平時よりもかなり活用されているのが明らかになっている。これは、制度の趣旨を考えれば一定の評価をしてもよいのかもしれない。しかし、いくつか注意しておくべきことがあるだろう

〇貸付はあくまでも貸付

 生活福祉資金貸付は特例が適用された場合、償還期限が来ても生活に困窮していれば返還免除される可能性があるが、基本的には返すことが前提だ(そして免除になったということはまだ経済的に困っているということだ)。一時的な困窮で、経済が回復すれば就労して生活再建できるという人であればいいが、いかに本人にその能力と気概があったとしても、経済が回復しなければどうしようもない。ただ単に問題が先延ばしになり債務を背負うだけになってしまうという事態が多発してしまっては本末転倒である。

〇住居確保給付金はあくまで家賃補助

 住居確保給付金はその名の通り家賃の補助を得られる事業だが、あくまでも家賃のみの補助である。通常は自立相談支援を受けて生活再建に向けて活動することになるであろうが、この状況下ではなかなかそれも難しい。住居確保給付金は受けられたが、生活実態としてはかなり苦しいという世帯がどれくらいあるのかは調べられるものなら調べたいポイントかもしれない。


4.その他のメモ

※ いろいろ気になることはありますので随時追記していくかもしれません。

4-1 DVについて

 5月22日の橋本聖子男女共同参画担当相によれば2020年4月に配偶者暴力相談支援センターに寄せられた被害相談は1万3272件で、前年同月比1.3倍であったという。また、4月20日に新設された「DV相談プラス」には5月19日までで約4400件の相談があったとされる。

出典:朝日新聞(2020年5月22日)「『経済不安で夫が暴力』DV相談3割増、コロナ影響か」

 なお、DV相談プラスは内閣府の事業ですが、各地の相談機関に調整してつなげてくれるそうなので、全国どこからでも困ったときには相談をしてみたほうがよいと思います。電話だけでなくメール、チャットでも相談できます。