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80本くらい作った人による[切り抜き動画]のつくりかた

この記事は、YoutuberやVtuberといった動画配信者界隈における「切り抜き動画」について、簡単な制作手順や留意点などを記したものです。

主な読者として想定しているのは、次のような人です。
切り抜き動画を作ってみたいけど、よく分からなくて手が出せていない人
切り抜き動画の制作経験が少なくて、未だ手探り状態の人

筆者は、1年間で80本程度の切り抜き動画(Twitter投稿用)を制作した経験がある人間と考えてください。(※筆者は本人ではありませんが、以降便宜上「私」として書いていきます)
その経験に基づいて、私なりに気を付けていることなどについても書いていますので、すでに切り抜き動画の制作経験がある人にとっても、参考になるところがあれば幸いです。

1.切り抜き動画のつくりかた(簡易・不親切)

(1)切り抜きポイントのチェック

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切り抜き云々よりも、とりあえず配信を楽しみましょう。配信を観つつ、面白いシーンがあったらその時間をメモしておくと、後からその場面を探す手間が省けていいと思います。

GoogleChromeのプラグインに「YouTubeTimeMemo」というものがあります。上図左側のようにコメント付きでタイムスタンプが記録でき、とても便利なので私はこれを使っています。詳しくは下記リンクからどうぞ。


(2)動画保存・編集・出力

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① 動画保存
上でチェックしておいた場面の中から、切り抜き動画に使いたい部分を保存します。
Windows10の場合、[Windows]+[G] で「ゲームバー」という機能が表示されて、ここから簡単に画面録画ができます。OSの違いなどによって動画保存の方法は他にも色々ありますので、調べてみてください。

② 動画編集
ここが、未経験の人にとっての最大の壁ではないでしょうか。かつて私がそうであったように、そもそも動画の構造が分からない。

「動画を切り貼りして字幕とか効果音とか追加して別の動画を生み出すってなに…訳が分からねェーッ!

私は「Aviutl」というフリーソフトを使って動画制作をしてます。基本的にこれ準拠で話をしていきますが、おそらく、どの動画編集ソフトであってもだいたい同じような考え方で通用するのではないでしょうか。

ちなみに、動画制作未経験の方にとってはこの「Aviutl」が入門にはとてもいいんじゃないかと思います。
導入から使い方まで幅広くカバーしている有名サイトのリンクを貼っておきますので、参考にしてみてください。

さて、本題です。
めちゃくちゃ簡単にいうと、ここでいう「動画」は、「映像」と「音声」の要素に分かれます。

ゲーム実況動画であれば、
 ・ゲーム画面や配信者の姿・挙動が【映像】
 ・ゲーム音や配信者の声が【音声】
ということになります。この2つは要素として分かれているので、例えば「映像の一部をズームイン&音量を徐々に小さく」とか、「映像を白黒に&音量をゼロに」という編集をすることができます。

切り抜き動画を制作するという作業は、ざっくり言うと「保存した元動画の長さを調整して繋げたり、字幕(テキスト)や図形、効果音などを追加していく」ということです。
デジタルイラストを描いたことのある人なら「レイヤー」についてはよく分かっておられると思うのですが、動画にテキストや図形を追加するというのも、実は同じ「レイヤー」の考え方です。1つ、例を挙げながら説明します。

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これは、774inc.所属のVtuber 龍ヶ崎リン(左側の赤い人)が、同じく虎城アンナ(右側の紫の人)から「つるかめ算を学ぶ」という配信の中で、「亀の足の数を確認している」というシーンを切り抜いた動画のスクショです。

この場面には、【元になっている動画】に、黒い長方形の【図形】と、「亀って足何こあります?」という【テキスト】が追加されています。動画が下地にあって、その上に【図形】、さらにその上に【テキスト】が乗っているという構造です。イメージとしては、下のような感じです。

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このように、元の動画をベースにして、配信者の発言や場面に合わせて、タイミングよくテキストや図形、画像などを重ねていくことが基本です。

このほか、やろうと思えばそれこそ無限に様々な画面効果や演出を加えることができますが、ここからはそれぞれの編集ソフトでのやり方になるので割愛します。

ただ、私には切抜き動画を制作する際の自分ルールみたいなものがあります。それはまとめて「3.動画制作 Tips」に書いておきますので、興味のある方は目を通してもらえればと思います。

▼ 「つるかめ算」の配信アーカイブ

③ 動画出力
動画編集が終わったら、最後に動画ファイルとして出力しましょう。
私はほぼツイッターへの投稿しかやったことがないので、あくまで「ツイートに添付して投稿する」用の動画出力になります。私個人の経験と、そこから色々調べたところ、確証はないですが下のような形式が最適かと思います。

・ 解像度【1280 × 720p】
・ フレームレート【30fps】
・ファイル形式【mp4】(MPEG-4 AVC / H.264)
・動画時間【2分20秒以内】

解像度やフレームレートを上記以上の値で出力すると、ツイッター投稿時のエンコードによって画質が大きく劣化してしまう可能性があります。動画時間については、おそらく「2分20秒台」ではダメで、あくまで最大で2分20秒ジャストでないとアップロードできません。
動画をYouTubeに投稿しようとする場合は、解像度やフレームレートはもっと高くても良いでしょう。動画の時間も自由です。


2.ツイッター投稿

この項目では、ツイッターに動画を投稿する際の個人的な留意点を書きます。
ここまで読んでくださった方はお気づきと思いますが、私はYouTubeをメインに配信しているVtuberさんを応援するために切り抜き動画を作り、またそれをツイッターに投稿しているだけの人間なので、実は他の界隈のことは良く分かりません。これを踏まえたうえで、読んでいただければ幸いです。

① 元動画のURLを記載する

これは必須です。

配信者の方にとって、自身の動画や配信アーカイブは貴重な財産といえます。本来、視聴者が事前の許可なくそれを編集し、個人のアカウントで投稿する権利は1ミリもありません。普通にグレーゾーンの代物です。
また、一般的な社会通念でいえば、「典拠を示さない引用」は「盗用」といわれます。

「配信者の動画や配信アーカイブはフリー素材ではない」ということ、最低限この認識は常に持っておいていいかと思います。
動画の利用については、配信者の方が所属している企業・事務所の利用規約等に定められている場合がありますので、確認しておきましょう。

② 配信者の名前や専用タグを記載する
配信者本人の名前だけでなく、Vtuberの場合は配信用タグや切り抜き動画用のタグを設定している人が多いので、本文に入れておきましょう。

上で元動画のURLについて書きましたが、あわせて配信タイトルも書いておくのが良いかと思います。タイトルが長くて140字に収まらない場合は、「元動画はリプ欄に」という文言を書いたうえで、リプにURLと配信タイトルを記載するのも1つの手です。

③ ツイート本文を色々考えてみる
これは本当に人それぞれの感性ですが、私は「何も知らない人がツイートを見たときに興味を引かれるか、動画を観てみようと思ってもらえるか」ということを意識しています(できているかどうかは別として)。

やっぱり作ったからにはたくさんの人に見てもらうに越したことはないので、「面白そう!」と思ってもらえるような見出し文を工夫してみましょう。


3.動画制作 Tips

ここでは、私がこれまで切り抜き動画を制作してきた経験から、動画を作る時に意識している自分ルールを箇条書きで並べていきます。

◆ 顔を避けてオブジェクト配置
元の動画に追加するオブジェクト(テキストや図形など)は、配信者の顔部分に重ねないようにしています。動画の主役はあくまで配信者なので。
コラボ配信などで主役の顔が画面にない時などは、別途「顔小窓」を作って出したりします。

▼ 顔小窓の例

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◆ イラスト素材は控えめに
「いらすとや」などで入手できるフリーのイラスト素材は、「配信者が言っていること」を視覚的に伝えやすいので、使いどころによってはとても有用です。
ただ、あまり使いすぎると見る人の視点が分散してしまったり、制作者側の演出意図が見え見えになってしまうのが個人的に嫌なので、(過去にやり過ぎてしまったことがある自身への戒めとして)基本的に使わないようにしています。

◆ フォント選びにルールを作る
切り抜き動画の制作において、セリフ字幕は不可欠といっても過言ではありません。フリーフォントは魅力的なものがたくさん配布されていて、動画の中で色々使ってみたくなる気持ちは出てきてしまうのですが、ここは一歩踏みとどまった方がいいです。

学生時代、文章を書く時のコツとして「同じ内容を表すときは同じ単語を使う」と教わった人も多かろうと思いますが、動画におけるフォント選びも同じようなものと考えています。
普通の雑談のテンションで話しているときにフォントがころころ変わると、見ている側は混乱します。個人的には、配信者の発言内容やテンションに合わせて、だいたい5種類程度に分類しておくといいでしょう。

下に、使い勝手が良さそうなフリーフォントを載せておきますので、参考にしてください。

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◆ シーンの「間」を切り詰める
複数のシーンを繋げて動画を仕上げる場合、「えーと」、「あのー」という声や、無言の時間はできるだけ削っています。
間延びしてテンポが悪くなるからです。面白いシーンを見せようとしている以上、間の取り方にはこだわっていきたいものです。

特にツイッターに動画を投稿する場合、動画時間が最大で140秒(2分20秒)という制限があるので、切り詰めざるを得ないことも多々あります。

◆ 視線を意識する
人間が横組み文のレイアウトを見るとき、その視線は「Z型」に誘導されます。

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配信者の画面レイアウトはほとんど横組みなので、基本的にこの「Z型」を意識してオブジェクトを配置すると見やすくなるでしょう。横書きの文章は左から読みますので、下のように「画面の上から下へ」ということに注意すれば十分かと思います。

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▼ 「OCHINCHIN」の配信アーカイブ


おわりに

― 主役は配信者ということ

これまで同じようなことを書いているのですが、これは大前提として忘れてはいけないと思っています。
配信者の顔をオブジェクトで隠すことや、画像やフォントの多用を「控えた方がいい」と書いているのは、全てこの考えに基づくものです。

これから切り抜きを作る人、これからも継続して作っていこうと思っている人たちには、自分がどんなに良い切り抜き動画を作ったとしても、それはあくまで借り物の切り貼りなのであって、一番面白いのは配信者その人だし、一番いいのは元の配信アーカイブを全部見てもらうことだっていうこと、忘れないようにしてほしいです。

ここまで辛抱強く読んでくださった方、ありがとうございました。
この記事が、少しでも切り抜き動画制作、引いてはあなたのファン活動について、何らかの後押しになれば幸いです。


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