刺激的
露地栽培したものは、もう食べられないと思っていた。
民宿の若いスタッフから、棘が痛いほどのキュウリを一本もらった。
初収穫だそう。
丸かじりしたいところだが、塩をまぶしていただいた。
ああ、キュウリの味がする。
北海道出身の彼女、まばゆいばかりの若さだ。
二十代の彼や彼女たち、時には熱を出すように、仕事に、山に海に遊びまわっている。
何もかも刺激的なのだろう。
私たちの世代は、都会に出ることが刺激だった。
自然の多いところなど見向きもしなかった。
どちらがどうではない。
大学の卒業と同時に、山と海だけの島にやってくる若者たち。
今後どうなるのかは本人たちにもわからないだろう。
だがはち切れんばかりの笑顔を見ていると、選択は間違っていないと思う。
いつまでも幸多かれと願わずにはいられない。
今の自分の刺激的なことはなんだろう。
天気がいいので遠出しようと出かけたが、結局図書室が目的地になってしまった。
島でもイベントごとは多いし、まだ通ったことのない道もある。
しかし、以前のような興味は薄れている。
面倒くさくなるのは劣化の証拠なのだが、認めざるを得ない。
変わり映えしない図書室に通うだけでもいいかと自己憐憫。
誰もいなかったので、久々隅から隅まで、座り込んだりして挨拶した。
古くからの友人のように並んでいる書籍たち。
中に見知らぬ名前もあったり、ああこれは私が寄贈した本だと懐かしく、意外と刺激的に過ごせた時間であった。
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