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Ars Electronica Festival 2018 に行ってきた話

2018年9月6日から9日にかけて、オーストリア、リンツで開催された Ars Electronica Festival 2018 に行ってきました。
https://ars.electronica.art/error/en/

ちょっと前に事前の意気込みを込めた、中途半端な記事を書きっぱなしだったので、報告話としてこの文章を書いています。
https://note.mu/senneroflove/n/n2ddf1795a95e

作品やイベントの概要はPDFファイルで公開されているので、実際に行かれていなくても、ある程度は把握することもできますが、現代アート、メディアアートという表現の特性上、実際の展示を見て見ないとどういうものなのか分かりづらいところもあり、実際に見てきたことを自分の感想、勝手な解釈を混ぜながら備忘録的にまとめます。
フェスティバル概要PDF
https://ars.electronica.art/error/files/2018/08/Festival2018.pdf
受賞作品概要PDF
https://ars.electronica.art/error/files/2018/08/CyberArts2018.pdf

Day1 (THU 6.9)
初日はメイン会場である POSTCITY を中心に回りました。
展示、パフォーマンス全体として、会場の構成等は昨年と変わりなく、フェスティバルのフォーマットがある程度出来上がってきているなという印象を持ちました。
会場を回るに当たっては、素直にツアーガイドについて行って見たので、おそらく妥当な順路的な回り方で作品を見たと思います。
昨年は、ツアーガイドの人が、自分の解釈で作品の説明をすることが多く、ガイドによって言っていることが違うという、混乱を招く事もありましたが、今年はたまたまガイドが当たりだったのか、ガイドに対するオリエンテーションがしっかりしていたのか、カタログに書いてありそうな概要を説明するだけで、あまり解釈を挟まずに淡々とツアーが進行したので良くも悪くもフラットに作品を見れたと思います。(その分、自分でステートメントを読んで、調べないといけないから大変だったけど)

作品紹介
以下、POSTCITYで展示していた作品で気になったもの、印象に残ったものを羅列していきます。

ObOrO / Ryo Kishi (JP

昨年Cod.Act, が展示していた会場メインエントランスの展示は日本人の Ryo Kishi さんの展示
でした。ICCや2121でも展示されていたのでご存知の方も多いかと思います。
ICC等、日本国内で行われる展示の場合は、ある程度美術品として丁寧に扱われる作品が、地元の子供達にぐちゃぐちゃにされているあたり、アルスが市民フェスであることの象徴のように思いました。
http://ryokishi.org/works/oboro/oboro.html

DEFOOOOOOOOOOOOOOOOOOREST / Joana Moll (ES)

現代人の生活に欠かせない が排出する二酸化炭素の量は毎秒500kgにもなり、平均的な樹木の年間の二酸化炭素吸収量は21.77kgなので、google.com の環境負荷を吸収するためには毎秒23本の樹木を植えなければならない、ということを表現する作品です。
問題提起自体はすごくありふれた事柄だと思うのですが、その表現を www 上に置いてネットアートと言う形態をとり、google.com と同様にブラウザ(chrome)から閲覧するという展示手法に皮肉を感じました。
http://www.janavirgin.com/CO2/DEFOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOREST_about.html
実物
http://www.janavirgin.com/CO2/DEFOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOREST.html

+b (ORBIT) / Michael Saup (DE), Andrea Winter (DE), Andreas Erhart (DE)

角砂糖で作られた地球儀の上に、1945年以降の世界のどこで核実験が行われたか、エネルギーと情報の流れをビジュアライズする作品です。正直、作品の表面的な画自体はありふれた表現でしたが、媒体として角砂糖を利用している理由が、それが資本主義の象徴だからということで変な納得感がありました。
https://ars.electronica.art/error/de/orbit/

unearth / Paleo-Pacific / Shun Owada (JP)

古代(25万年前)の地層からとれた岩石に酸をかけることで、岩石が溶けて中に含まれる二酸化炭素を放出する音を聞かせる作品です。
本来であれば、時間軸的に人間のスケールを遥かに超える、地層という壮大な時間軸で成立する音響現象を、人間がどのように知覚するのか(あるいは出来ないのか)を問う作品です

the weight of light / Martin Hesselmeier (DE), Andreas Muxel (AT)

POSTCITY の地下に、毎年、音響を伴った巨大な作品が展示されるスロープがあります。例えば、昨年だと
ÆTER / Christian Skjødt (DK)
が展示されていました。
https://ars.electronica.art/ai/en/aeter/
今年は Martin Hesselmeier (DE), Andreas Muxel (AT) 等による作品の展示で、とても長いLEDテープを用いて、本来なら質量のない光に質量を与え、重力に影響されるような見え方を提示する作品でした。
動きの見え方としては側にあるスピーカーから流れる音に反応するように見え、また、上記の通り重力に影響されているようにも見えます。
作品解説には "revolving reality which overcomes the dualism of “virtual” and “real.” な作品とあり、(質量を持たない光に質量を与える = “virtual”, それが現実の空間にテッジされている = “real )と、よくよく考えてみると不思議な現象のはずですが、個人的な感想としては、純粋な造形美があり、純粋にキレイに見えました。
https://www.martinhesselmeier.com/the-weight-of-light

ギャラリースペースという、文字通りギャラリーが展示をする(買うことができる)エリアに設置されていた作品も何点か紹介を。

Kiss or Dual Monitors / Exonemo (JP)

「キス、または二台の大型モニタ」 / エキソニモ
NYや水戸芸術館でも展示れていたエキソニモの作品ですが、実物を見たのは初めてでした。感想としては、タイトルの通り特定の事象が文脈によって解釈が変わってくるという正当な現代美術的な発想を維持しながらも、映される映像の艶めかしさから「これは機械なのか?人間なのか?」というヒューマノイド/人工生命系の作品の問題提起と近しいものを感じました。
http://exonemo.com/works/dualmonitors/

個人的にツボだったのが、
the Great URL Stone 1.jpg 

というプロジェクトです。ぱっと見では、古い石碑にURLが書かれていて面白いというだけだと思ったのですが、タネ明かしをすると、「石碑のにかかれているURLに石碑自身の画像データが置かれていて、相互の参照関係が出来ている、参照関係がある限りこの作品は半永久的に残る」(石碑が無くなったらURLに格納されている画像データをもとに石碑を再度作ることができるし、画像データが失われたら石碑をもとに画像データを作ることができる) というデジタルと実物、両方の媒体の特性を利用した発想として面白いものでした。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:The_Great_URL_Stone_1.jpg


ここまでで、POSTCITYの展示を一通り見たあと、夜は Opening Night に行きました。

πTon / Cod.Act (CH)

日本ではメディア芸術祭の常連で、昨年メインエントランス展示を行っていた Cod.Act の作品で、彼らの作風である、とにかく大きい生命的な振る舞いをするブツが動いていました。
パフォーマンスの形式としては、Cod.Actの兄弟2人を含む4人の人間が4方向から、無脊椎動物のような、ミミズのような有機的な動きをするブツに向けて、人の声のような音の出るスピーカーを持ちその動きを抑え込む儀式のような展開でした。
ミミズのような形状から、高度な知性を持っている訳ではない、有機的な生命でもない物質の苦しむ様子は、翻って知性を持った、有機物で構成される人間と何なのかを考えさせられる作品だったかもしれません。
あと、最前列で、最悪暴走した場合ぶつかってくる距離で観ていたので、緊張感があってよかったです。

http://codact.ch/works/πton-2/


そのままの流れでPOSTCITY 内で最大の会場となる、 Train Hall で開催される ナイトイベント に参加し、ライブを観たり、会場外の広場で4つ打ちに合わせて踊ったり、サイファーをしたりして普通のファスっぽく楽しみました。
これは毎年思うことなのであり、地元の人達に突っ込まれる事ですが、夜のイベントにアーティスト以外の日本人は殆どいません。個人としては外国に来ている感じがちゃんとして良いのですが、SXSWの場合もそうですが、昼間の展示と合わせて、交流/情報交換/純粋な遊びとしてナイトカルチャーも含めて知ることで、その文化への理解が深まると思います。来年行かれる方はちゃんと夜も遊ぶといいと思います。

ライブセットの中で特に印象的だったのが、
Alexandra Murray-Leslie (AU/ES), Melissa E. Logan (DE/US)
らによる
CHICKS ON SPEED + TINA FRANK  / Alexandra Murray-Leslie (AU/ES), Melissa E. Logan (DE/US)

http://chicksonspeed.com
のライブで、ドイツ的な、ストイックなエレクトロニカ、現代音楽をベースとしつつも、ポップカルチャー寄りの演出を行うというとても独特な空間が出来ていました。

Day2 (FRI 7.9)

二日目はアルスセンターを中心に展示を観ました。

DEEP SPACE 8K では 教育的なコンテンツから、エンターテイメント、圧倒的な映像美、様々な作品が展示されています。
フェスティバルの期間以外は教育コンテンツが多いらしく、常設展示のハイライト展示を観ましたが、正直あまりピンときませんでした。というのも、フェスティバル時以外のアルスセンター自体の位置づけが地方都市の科学館的なところが多く、どうしてもエンターテイメントというよりは教育目的のコンテンツ、日本語で言えば「○○○の不思議展」的なものになりがちだからだと思います。逆の見方をすれば、そのような目的で設置されている空間でアートよりの純粋な映像美作品を展示することは結構攻めた姿勢だとも言えます。日本科学未来館のジオ・コスモスが、普段は教育目的の設備であるけれど、Björk と組んだりするような感じでしょうか。

個人的に良かった作品は

2013年に ”Forms” で Goldene Nica(大賞)を受賞したMemo Aktenさんの作品
WAVES / Memo Akten (TR)

http://www.memo.tv/portfolio/waves/

Singing Sand / Tadej Droljc (SI)

https://vimeo.com/259990011
の2つの作品で、
WAVES の方が、ダイナミックな映像作品でありつつも、知覚を狂わせるような仕掛けがあったり、ステートメントにもあるように、人間的な要素、恐怖とか希望とかいろんな感情がぐちゃぐちゃに入ったような複雑な構成で成立している作品であるのに対して、
Singing Sand の方が純粋なオーディオ・ビジュアルとしてのカッコよさを追求した結果、暴力的なまでに圧倒的な映像となっていた対比がすごく良かったです。
この2つの作品が並ぶように演目のプログラムが組まれていたことから、主催者側が意図的に、このように対比的に見せようとしていたのかもしれません。

アルスセンター地下ではダムタイプにも所属している、YCAMのメディアトゥルグ、大脇理智 さんのインタラクティブVR作品、
The Other in You / Richi Owaki (JP), Yamaguchi Center for Arts and Media [YCAM]

https://vimeo.com/252012246

が展示されていました。仕組みとしてはHMDを被ってVR空間内のダンサー(これがまた、恐ろしく不気味)の動きを観ながらも、Kinectでリアルタイムにセンシングせれた自分自身もその空間にいるというもので、今年のメディア芸術祭受賞作品の

Dust / Mária JÚDOVÁ / Andrej BOLESLAVSKÝ
http://festival.j-mediaarts.jp/works/entertainment/dust/

に近いシステムで、人によって感じ方は違うそうですが、僕の感想だと、ヴィデドラッグと呼ぶにふさわしい作品で、とてつもなく怖くて汗が止まらなくなって、夢に出てきそうな程のトラウマとなり、今回の Ars Electronica Festival の展示で一番強烈だった作品でした(YCAMでは常設ではないので、リンツまで行って体験した価値はありました)

フューチャーラボに常設されている人物モデルデータを作ってくれる簡易3Dスキャナがとても優秀で、1分程度で結構精度の高い人物スキャンデータを作ってくれます。
http://3d.my-twiin.at/c/aLd3E?i=rLX5wB
ちょっと目に悪い画ですがこんな感じです。

夜は一度、教会大聖堂の展示を見に行きました。

LightTank / arc/sec Lab — Uwe Rieger (DE/NZ), Yinan Liu (NZ), in collaboration with the Augmented Human Lab

大聖堂という空間、空間自体の巨大さと自然で荘厳なリバーブをうまく使った大規模な展示で、その内容は赤青の古典的な赤青のステレオ眼鏡をつけることで、目自由視点で見ることのできる巨大な3Dオブジェとなります。HMDを用いたVR技術が、技術的な成約から、3DoFから6DoFに徐々に移行してきたことに対して、技術的に見ると逆のアプローチとして、実空間の中にバーチャルな3Dオブジェクトを置くという発想はある意味で、現在主流のVR技術に対するオルタナティブなアプローチと見ることも出来ます。
https://artmattermagazine.com/2018-ars-electronica-festival-error/

もう一方で、大聖堂でのメイン展示とは別に、別の個室で展示されていたミツバチと、ハニカム構造のミツバチの巣をモチーフとしたインスタレーションの
The Bien / Stefan Mittlböck-Jungwirth-Fohringer (AT)

https://ars.electronica.art/aeblog/en/2018/09/04/the-bien/
の方は、メッセージとしてはビジュアルの方が強い作品ですが、サウンドの方が、空間の音響特性をうまく使っていて、不思議な定位感のある作品でした。

夜遊びとしては、ポステシティーで行われる、ナイトイベント Ars Electronica Nightline に行きました。
別会場で Gala (アーティストパスを持っていないと入れない受賞作品の表彰式) が行われていることもあり、アーティスト勢はほとんどいませんでしたが、逆に、フェスティバルパスを持っていない地元の人達が多く来ていて、「市民のためのフェスティバル」というスローガンを体現した空間となっていました。

Day3 (SAT 8.9)

3日目は OK Platz (通称 "オーカー") で展示されている受賞作品展、CyberArts Exhibition (受賞作品展) を回りました。

ある意味で、今年のキービジュアルとなった、
BitSoil Popup Tax & Hack Campaign / LarbitsSisters (BE)

http://prix2018.aec.at/prixwinner/28444/
をはじめ多くの作品が展示されていましたが、受賞作品というだけあって、あまりに前情報が多く、メディア芸術祭等、国内でも展示されていた作品が多かったため正直、作品を直に観た感激はあまりありませんでした。それだけ市民権を得られた作品たちだからこそ選ばれたという見方もできます。

(今年は日本人受賞者も多く、もしこの文章を読んでいる方がいらっしゃったら、ディスりというわけではなく、作品としての完成度が高く、アーカイブもしっかりしているし、あえてリンツまで観に行かなくても、そのうちICCなり、然るべき場所で見ることが出来るだろうというという事で建設的な言い訳をしておきます。もちろん、展示作品は全て観たので、あえて個別の作品の作品の感想を聞かれたら答えます)

一方で、この日の夜は 今年の Ars Electronica Festival のハイライトとも言える伝説的な瞬間を見ることが出来ました。
毎年、 "OK Night" という名称で OK Platz 5階のイベントスペースで開催されるクラブイベントがあるのですが、今年は特別枠として、別会場で
EI WADA (和田永)
らによる
ELECTRONICOS FANTASTICOS! IN "ARS ELECTRONICA '18
というライブが催されました。

https://eiwada.com/new-events/2018/9/6/electronicos-fantasticos-in-ars-electronica-2018

このライブは、もともと日本国内で行われていた ELECTRONICOS FANTASTICOS! の活動の2018年現在における集大成的な内容で、
昨年の Ars Electronica Festival 2017 でのライブや
https://eiwada.com/news/2017/9/14/ars-electronica-2017-
Maker Faire Tokyo や、
http://makezine.jp/event/makers2018/m0392/
東京タワーで行われた「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」〜本祭 I : 家電雷鳴篇〜
http://electronicosfantasticos.com
等で発表された楽器、奏法がベースとなった内容でした。
そのような、オリジナルで新しくも、ある程度完成された表現手法と、和田永さんのパーソナリティー(MCでちょっと難しいこと言ようとして英語が出来ずに "I can't speak English! " と叫んでも盛り上がってしまう) が合わさり、会場全体が一体となる異常な空間となりました。
会場の運営を見た限り、ちゃんとアーカイブされていたかどうか怪しいところですが、ロックファンとして身近な例で例えて言うのであれば、フジロック2006の Red Hot Chili Peppers、2008の Underworld ばりに伝説的な瞬間となっていたと思います。

Day4 (SUN 9. 9)
4日目は実質的にリンツにいる最終日でした。
前日までで一通りの展示を観たので、日中は POSTCITY, OK Platz, Ars Electronica Center 各所の、もう一度観たい展示をゆるく観たあとに、夜の
Big Concert Night を観ました。

https://ars.electronica.art/error/en/bigconcertnight/

この Big Concert Night は、MacとMax/MSPだけで表現される現代音楽から、フルオーケストラによる演奏まで、様々な演奏形態で行われるのですが、今年のメインの演目である、ブルックナーオーケストラとロボットアーム、ダンサーの演目は、テクノロジーと人間の関係を考え直させられる、素晴らしい時間でした。オーケストラの演奏は普通に素晴らしかったのですが、実際に動くロボットアームとダンサーのカラミは官能的な光景で、無機物で出来ているロボットアームの動きの中に、生命的な新体制を感じました。これは、今回の受賞作品でもある
Alter / Itsuki Doi (JP), Takashi Ikegami (JP), Hiroshi Ishiguro (JP), Kohei Ogawa (JP)



http://prix2018.aec.at/prixwinner/31135/
などの表現にも似ていて
かつて、Chris Cunningham が Bjork のミュージックビデオとして作った
All is Full of Love

https://www.youtube.com/watch?v=AjI2J2SQ528
や、
Bicentennial Man(邦題:アンドリューNDR114) / Chris Columbus
に見られるような、有機物的動きをするだけの機械を超えた、人間的な機械との関係性が2018年現在において実際に表現出来るようになったという意味で、純粋なテクノロジの進歩と、それによって可能になる人間側の表現力の飛躍という非常にメディアアート的な表現だと思いました。

まとめ

冒頭にも書きましたが、2年連続で Ars Electronica Festival に行った感想として、ポストシティーが整備されて以降のフェスティバル全体のフォーマットが出来上がって来ており、展示内容はもちろん毎年違いますが、設置の仕方、イベントの進行などが昨年よりもしっかりとしたものになったな。というのが全体としても印象です。

個人的な話ですが、初めて行った4年前の2014年にこのような投稿をしていました。

https://www.facebook.com/takahisa.senaga/posts/710962028986114
その頃から比べて、自分がどれだけ成長できたが、"向こう側の人"になれたか、疑問しかありませんが、常にいろんな事象に疑問を持ち続け、手を動かし続けていれば "アーティスト" という肩書きに手が届くかどうかは別として、会社員として生活していても、エンジニアとしてのクレジットは増えているし、何かしらを残す事はできると思っています。(本当は作品の構想ばかり増えて実制作が全然出来ていないけど)
一方で純粋なアートファンとして、メディアアートという表現手法はその華やかさとともに、現代社会を支えるテクノロジと密接に結びついている事もあり、他のファインアートの分野と比べて、現代という時代を理解する一つの手がかりともなると思います。それらの作品に触れるためには Ars Electronica Festival に行くことが全てではありません。

新宿、初台には ICC があります。
http://www.ntticc.or.jp/ja/

清澄白河には東京都現代美術館があります。
http://www.mot-art-museum.jp

山口には YCAM があります。
https://www.ycam.jp

東京ではいたるところで、毎週のようにメディアアートを含めた文化的なイベントが開催されています。

メディアアート、現代美術に関する書籍はamazon.comで簡単に買えます。(そのへんの必読書的なブックリストはそのうちまとめようと思います)

もちろん、Ars Electronica Festival が特別な存在であることに変わりはありませんが、単純に海外フェスティバルとしてArs Electronica Festival を見るのではなく、それらの文化が凝縮された場として Ars Electronica Festival に憧れを持つ人が増えてくれると嬉しいと思います(単純にメディアアート好きが増えて、もっと市民権を得れるといいなと言う話)


以上、Ars Electronica Festival 2018 のレポートを個人的な主観も交えて出来るだけ網羅的に記述しました。
僕はライターではないし、そもそも日本語が苦手なので読むのにあたってとてもつらい文章となってしまったことをお詫びします。
一方で、ちゃんとした文章を書けるライターの書いた、心地よい記事も多々出てきていますが、そちらの方では、具体的作品にあまり触れずに(あるいは都合よく解釈できる作品だけをピックアップして) 有識者の意見などを交えながら、一般論的に Ars Electronica Festival について書かれている記事が多々見られます(もちろん、深い知識と洞察に基づいたものでしょうが)。フェスティバルの紙のカラログは辞書ぐらいの厚さがあり、正直、本来であればこれだけ膨大で多様性に富んだイベント/カルチャーについてきちんと書こうと思うと、新書一冊に収まるかどうかというボリュームになってしまい、「アルスエレクトロニカとは」を "ざっくり言うと" とか "一言で言うと" という表現をすることは不可能だと思います。
したがって、この文章がそれらの商業的な記事に対するオルタナティブとして機能することを個人としては望みます。



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