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SENNの縁、縁のSENN(Vol.2)

長井市訪問のきっかけ

 私は、北海学園大学で履修していた観光経済論という講義を取っていた。その流れで講師である山崎翔さんからの山形訪問のお話があり、気軽な気持ちで山形県長井市に訪問することになった。目的としては、長井市で関係人口案内所を作るための話し合いをするためである。 
 個人的な話をすると、何かこの訪問を何かの「縁」であるという気持ちが強かった。特にそれが何を指すわけでもなく、自分自身の人生においてこれを逃したら山形県に訪れることは無いだろうという思いである。また、自分の中に何か新たな発見が生まれるのではないかという期待もそこにはあったと思う。長井市で感じたことを文字に起こして的確な文章で伝えるのは非常に難しい。
 私がした経験から、長井市の訪問の意味や意義を少しでも感じ取ってもらうことは出来ればうれしい限りだ。

市役所での意見交換会

 私は、あれよあれよという間に仙台駅から長井市市役所の会議室に居た。正直、この時は、 自分がなぜここにいるのか、自分に何が出来るのか、何を話せばいいのかと頭をフル回転させていた。「自己紹介を用意しといて」と言われていたものの、言葉が頭に浮かんでは消えていくというのを繰り返していた。会議では、何か明確な目的や意義のあること、関係人口についての意見を具体的な例を説得力のある形で伝える必要があり、自分がそれらを持ち合わせていない事を自覚していたからである。
 しかし、その話し合いは自分が思い描いていたものと少し違っていた。市役所の中で、外部の人(私)と市の職員と学校の非常勤講師が介しているのにもかかわらず、この地域に対してどこか夢を語っているのに近い感じがした。話し合いの具体的な目的自体があやふやに感じた。確かにそこに対する思いや考えはあるものの、そこにいる人たち全員がそれを模索しているように見えた。決まりきった目的(移住目的等)に対して話し合うのではなく、移住自体の是非やどうすれば人と人がつながっていくか?つながるとは何か?何がふさわしい関係人口なのか? 自分のやりたいこと、こうなったらいい、そんな話し合いが展開されていた。各々したいことを言い合う場のような感じだ。しかもそれが、学生のことを思ってラフに話し合おうというわけでもなく、本人たちはいたって真剣に話していたのである。 私はその時、頭の中のごちゃごちゃした何かが消えて、関係人口案内所構想への単純な感想と、自分の中で大切にするべき価値観を伝えた。それはきっとひどく曖昧で、数値的なデ ータに基づくものではなかった。「いいね」から反応が始まった。私の意見に対して付け足してくれたり、具体的にこういうことか?と質問してくれた。自分自身が受け入れられたような気がした。そのまま話し合いが進み、定刻を迎えてお開きとなった。「この話し合いとは何だったのか」がこの旅では自分のテーマとなった。

 私は、今回話すことが出来た長井市の人たちの特徴として、「引き出す力」を挙げる。話し合いを通して、自分の内側の実は考えていたもののうまく表現できなかったことを引き出された感じがあった。私は、「こういった話し合いをしたかったんだ」と思った。ただ、それがしたくて今回旅をしたわけではなかった。本音を言うと、特に何も目的もなく、なんとなく来ただけだった。自分の中の思いを引き出された。この感覚こそ、今回の旅の収穫であった。
この感覚に関係案内所への大きな示唆があるのではないかと思う。今やグローバル化やインターネットの影響が実生活にいろいろな変化をもたらしているが、結局、人は人と話したいし、仲良くなりたいし、楽しくいたいものである。長井市の人と対話することで、そんな本質的な部分を再認識することが出来た。長井市の人たちも「結局は人だよなあ」と繰り返しいっていたのもこの本質を捉えていたからこそだろう。
 私はこの旅をして感じたのは、観光の目的など実は持つ必要がないのではないだろうかということである。旅の目的の意味付けは終わってからしてもいいのである。別の理由が後から生まれるのである。今回、長井市に訪問して強くそれを感じた。

関係案内所構想、SENNの活用

 観光客はリラクゼーションの目的で観光をすることが多いだろう。関係案内所構想では、その意味以上のものを観光を通して見つけることもできるのではないだろうか。そしてその関係案内所は、外と内関係なく、どちらも利用することが出来る。むしろ、その方が良いだろう。 
今回、関係案所構想の中で重要なのが「SENN」という場所だ。SENNはゲストハウスのような宿舎をイメージしていただけるとわかりやすい。ここの場所を拠点において関係案内人所構想を考えていくことになる。
 この場所で観光者が地元の人と話すことによって生まれるかもしれない。何かのテーマを、立場によらず話し合うことで何かがそこに生まれるかもしれない。そしてこれは何も観光に来てくれた人だけではない。その地域の問題や課題、もしくは育児のことや街のお祭りのこと、それらを自由に話し合える場所としても利用できるのではないだろうか。
 私がざっくり、こんなことをしてみたいと思った。それは関係人口フェスである。全国の自治体や団体で関係人口について取り組んでいる人をここに呼んで、その考えやこれまでやってきたことを話し合うのである。きっと来た人も自分の中の発想などが引き出されて いくことでこの意味を理解していくと思う。お互いがやっていることの再認識と意義や価値を見つけていく作業はきっと楽しいと思う。また新たな発見も生まれるかもしれないし、つながりも生まれてくるだろう。このつながり自体が関係人口になり、関係人口の在り方のよりよい考え方を見つけることが出来るはずである。

北海学園大学 経済学部 地域経済学科 3 年三浦 雅貴

(2022年3月11-13日長井訪問)

以下、思い出の写真です。笑

闊歩する鳥
水の流れ
何とおしゃれな薬局
これ美味しかったです!
はぎ乃湯のご飯。
ご馳走様でした。。
山に囲まれてることがよくわかる図
ラーメンを食べたいと連呼した結果。
石切の中。


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