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『徳川実紀』「徳川家康の初陣と初手柄」

 正式名称『御実』、通称『徳川実』(とくがわじっき。『徳川実』とは書かない)は、徳川家の歴史を書いた江戸幕府の公式史書です。全517巻(本編467巻、附録68巻、成書例・総目録・引用書2巻。この内、徳川家康については、『東照宮御実紀』(全10巻、附録25巻))の大作です。編集したのは、江戸幕府お抱えの学者たちで、35年かけて、天保14年12月(西暦1844年1月)に完成しました。
 膨大な史料を基に書かれていますが、学者は、①内容的に「徳川バンザイ!」という徳川中心史観で書かれている、②史実では無いことが書かれている史料を採用している(【解説】に書いた部分は、史実だとは思えない)として、『徳川実紀』を書くために集めた史料が掲載されている史料集『朝野旧聞裒藁』を使います。(重宝してます。)「桶狭間の戦い」に関して言えば、山澄英龍『桶狭間合戦記』は現存しませんが、『朝野旧聞裒藁』に載せられています。

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