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震える足元

それは3月4日、金曜日の午前中のこと。
とある経営者の方とのオンラインミーティングが入っていた。
近況報告含めいくつかの打ち合わせを経て少しして、
「人を応援することの楽しみってありますよね」
と、その方は話し始めた。

先月講演会を主催してくれた靴磨きトラベラーの佐原総将さんを応援する人たち、
そして先月末、「センジュ出版を勝たせたい」と叫んだ、センジュ出版9冊目の本の著者になる予定の方のこと。
その経営者はそれぞれについて触れた後、
空中階の改修費、加速させませんか?」
と画面越しに私を見ながら口にした。

おっしゃっていることがよくわからないながらも、その人の言うことを聞き逃してはいけないことだけは、すぐにわかった。
耳を澄ませて、次の言葉を待つ。

「もしご迷惑でなかったら、残りの100万円を僕に支払わせてほしい。
 吉満さんがされている『管理人』という役割、実は僕の20代からの夢だった。
 吉満さんがこの3年で誰とどんなことをするのか。
 僕はあなたの鞄持ちをしながらすぐそばで見せてほしいので、
 お金を払って勉強させてもらいたい。
 経営者として今の自分がいちばん大事にしたいことは、売上でもなく、業績でもなく、誰と仕事するか。
 それに気づいたからこそ、この人と関わりたいと思える人に、お金や時間を使うべきだったんだと、僕は今そう思っているんです」

指が少し震えていた。
これは本当に自分の身に起きていることなんだろうか。
すぐ、疑う癖が出る。

下腹部にグッと力を入れて、画面の先のその方を見つめながら、
「ぜひお願いします。この金額以上のことをあなたにお返しできるようにします」
と伝える。
空中階がなくなった後、「あの金額は安かった」と思ってもらえるように。
これが私の責任だ。

ご報告です。
目標としていた改修費300万円は本日、8万円を超えて達成しました。
ご支援下さった皆さん、これまで本当に本当に、ありがとうございました。
御礼記念に運営メンバーの自己紹介動画をこれから公開していきます。
また、近々オーナー企業の会長と社長と三者対談を撮影しますので、
そちらも公開お待ちください。

***
遡ること2020年のこと。
私は間借りしていたブックスナックのカウンターから、席に座るお客様と、
「これからのセンジュ出版は、軽やかにお客様からの気持ちを預かって、やすやすと必要な人に手渡していく。歯を食いしばったり、重圧を背負い込むことなく、
『ありがとう』と大きなものを受け取って、『ありがとう』と大きなものを手渡していく。
そんな会社になる、いや、もうなってるから」
と話していた。
その時は正直、とってもとっても苦しくて、どこか自分に言い聞かせるような気持ちだった。
とはいえ、絶対にそんな会社になるはずだと、私はまるで自分自身を「思い出す」ような気持ちで、言葉を重ねていった。

それから1年以上経った、2021年12月。
芝園開発さんから「この場所、吉満さんに任せるよ」と、常識的に考えて0がふたつ足りない家賃のご提示と共に大きなスペースを見せてもらった日。
「え? どういうことですか? こんなにお安い金額だなんて、ありえないですよ」
と言い出しそうになる感情を抑え込んで、
「まあ! いいんですか⁈ ありがとうございます!」
と返事した。
この奇跡みたいなきっかけを無駄にするようなことをしてしまったら、期待を裏切ることになる。
ここをどうするか、どこまで踏み込むか、内心ではかなり緊張していたのだけれど、
即答した理由は一つ。

「大きなものを軽やかに受け取り、やすやすと大きなものを手渡す会社」
だと、自分がそう決めていたからだ。
思わず「来た!」と感じて、私の答えは「任せてください」になった。
***

なので、今回の改修費もあまり力まず、楽しんで集めようと思った。
いよいよ工事の見積もりが固まり、工事のスタートが迫る中の残り100万円。
こんな思いがけない形での達成に、本当は「私になんてそんな」と言い出しそうだった。

でも、取り戻した自分は、こういう機会を楽しむべきだ。
画面に映らない足は震えていたけど苦笑

さて、ここからは次の挑戦に関するお願い事です。
これまで、この場所に必要な家具を何人もの方にお譲りいただきましたが、それでももう少し足りません。
いよいよ工事がスタートするので、メルカリで残りを購入します。
計算したところ、総額55万円程度。
すでに300万円を超えた8万円はこちらで使わせていただきます。あと47万円。お力貸してください。
ご支援はこちらから。

みなさんのお気持ちを大切に使わせていただきます。
よろしくお願いいたします。

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