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飛鳥川の男綱と女綱 奈良お散歩日和

日本が古代国家として成立した飛鳥には、面白い風習があちこちに残っています。今回は、美しい棚田で有名な稲渕(いなぶち)と栢森(かやのもり)の綱掛け神事をご紹介します。
飛鳥には、五穀豊穣、子孫繁栄を祈願する意味で、男女のシンボルを形取ったものが信仰の対象になっています。

この稲渕と栢森の神事もその一つです。
稲渕は、男綱で陽物です。そして飛鳥川に綱を渡す事で、この道や川を通って悪疫や災いが侵入するのを押し留め、村を守護する意味も込められています。

稲渕の綱掛け神事は、毎年お正月の11日に行われていましたが、地元の方々が参加しやすいように、最近では成人式の日に行われています。

今年(2022年)は、1月10日でした。

お昼1時ごろに訪れた時には、かなり準備が整ってました。

橋の下では、地元の方が揃いのはっぴを着て、綱や男綱の仕上げをされていました。

お祓いをしてできたら、橋の上に綱を運び対岸から綱を渡します。


川と橋の両側から引いて、新しい綱が掛かりました。

綱が掛けられた後に、神式で祈りが捧げられました。

飛鳥川にお神酒や榊を奉納した後、参加者には、縁起物の竹にみかんを刺したお札をいただいて帰りました。


さて、次の日の11日は、飛鳥川の上流の栢森で、綱掛け神事が行われました。

こちらは女綱が御神体です。
昨日の晴天と打って変わって朝から冷たい雨が降り続いていました。

こんな寒くて雨の日に行われるのだろうかと、栢森に行ってみると、道沿いの納屋で、綱の準備をされている村の方々を発見。

御神体の女綱も出来上がっていて見せて下さいました。

そして、準備万端、3時半ごろになると、ご住職が来られました。

女綱を張る場所まで300m近くを村の人たちが担いでもっていきました。

昼過ぎから降っていた雨は小降りになりました。

こちらは綱を張る前にお経をあげられました。こちらは仏式で神事が行われます。

無事に綱が張り終わった途端に、雨脚が激しくなりました。


山の神様もこの神事を見守って下さっていたのも知れません。

2日にわたって飛鳥の綱掛け神事を見守りましたが、飛鳥の時代も疫病や災害と闘ってきた人々。
今も昔も日々無事に暮らせますようにという願いはいつの時代も同じなのですね。

飛鳥人が身近に感じられる時間になりました。

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稲渕へは、
近鉄電車飛鳥駅から明日香村のバス赤かめに乗り、石舞台で降り、徒歩20分。
栢森へは、
稲渕から飛鳥川沿いに歩いて30分。

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