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ケアプラン有料化が先送り | ケアマネージャー達の本音 【厚労省が発表】
みなさん、「ケアプラン有料化 先送り」のニュースはご存知でしょうか?
結論からいうと、厚生労働省は2024年の制度改正では、実施しないことに正式決定しました。
でも、3年ごとにある介護保険の法改正。2027年の制度改正では実施に向けて検討されていくことになっています。
ケアプランとは?
ケアプランとは、介護サービスの内容や目標を具体的にまとめたものです。
「筋力低下して歩けなくなってきて、トイレの失敗が増えてきたし、お風呂に毎日入るのもおっくうになってきたけど、今まで通り、自宅で暮らしたい。」と仰る方がいたとします。
そんな方に、「清潔な生活が送れるようにしましょう。そのためには、トイレに誘導する人がいて、お風呂にも入れてもらえる、デイサービスに行ってみませんか?そのデイサービスでは、リハビリも出来ますよ。筋力をつけましょう。夜、どうしてもトイレに間に合わない時の単に、リハビリパンツ(紙のパンツ)を使ってみませんか?」と、介護サービスや生活スタイルの提案をする人がいます。
ケアマネージャー、略してケアマネさん、なんていうのですが、どこかで聞いたことがありますか?正式名称は、介護支援専門員といいます。名前の通り、介護を支援してくれる専門家です。
この提案された内容の計画書、それが「ケアプラン」です。
なお、ケアプランは定期的に見直しがされ、より介護サービスを受ける人(以下、ご利用者様)のニーズに合った内容に改定がされます。ご利用者様の生活や、体調、ご様子は、ずっと同じではありませんからね。
なぜケアプラン有料化?
介護保険財源の確保のためです。
居宅介護支援費は4650億円(2018年)、仮に1割自己負担を導入したら465億円です。10兆円を超える介護保険財源から見れば大したことのない額かもしれませんが、2021年度の介護報酬改定での引き上げ額は840億円です。
つまり、仮に・・・仮にですよ?2021年度の介護報酬改正で1割自己負担が導入されていたら、それだけで半分以上のプラス改定分の必要財源が賄われていたということなのです。
法改正の度に、その「仮の1割」の中に何を入れようか?と議論されるわけですが、その中に「ケアプランの有料化」が入っているわけなのです。
ケアマネージャーはケアプラン有料化に賛成?反対?
全国のケアマネージャーは、ケアプランの有料化に賛成?反対?どっちだと思いますか?
・・・なんと、88.1パーセントが反対しています。圧倒的です。
理由は数多くありますが、なんといっても「お金かかるなら、ケアプランいりません!」と言う方が増えるからであろうと思います。
実は、介護サービスを受けるのに、ケアマネージャーに依頼しないで、ケアプランを自己作成し、手配してもいいのです!(ただし、一部自治体を除く)
ではなぜ、現状、ご利用者様はケアマネージャーにケアプラン作成を依頼しているのでしょうか?
①介護保険の手続きの負担が軽減できる。
→なんにも分からないところから調べることをスタートするって結構負担です!
②専門知識に基づき、ご利用者様それぞれに適したケアプランが作成できる。
→こんな場合には、こんな介護サービスがある!とすぐに思いついてくれます。例えば、麻雀好きのお父さんが、晩ご飯食べながら仲間とワイワイしたい・・・なんて希望を伝えたら、近場で麻雀付きのナイトデイサービス(送迎が遅い時間の通所サービス)を探してくれたりするのです!
③作成費用は無料!
→プロの仕事を無料で受けられるのです!使わない手はないですよね!ケアマネージャーは、ケアプランを作るだけではなく、介護を通じて、その方の生活全体を見渡しています。なにか問題があったときに介入してもらえますし、安心です。それも無料!
逆に考えれば、自己作成すると、介護保険の手続き、介護保険や介護サービス事業者の情報収集を1からやり、その事業者と直接やりとりせねばなりません。
そのうえ、専門家ではありませんから、不備があると、介護サービスの利用ができなかったり、介護サービスを受けられたとしても、はたしてそれがご利用者様の生活を維持できるものになっているか、正確な判断も難しいでしょう。
ですから、88.1%という圧倒的な数字には、「ケアプランが有料化することで、ケアプランを自己作成、または、介護保険自体を利用控えし(ケアプランは介護保険で介護サービスを受ける入口です)、適切な介護サービスを受けられなくなる人が増えてしまう。」というご利用者様を心配する気持ちが表れているのだと思うのです。
適切な介護サービスを受けられないその先にあるのは、残念ながら、ご利用者様とそのご家族様の生活の破綻です。
介護サービスには、社会のセイフティネットの役割が大いにあります。
ケアマネージャー達の本音・想い
「ケアプランの自己制作が増えれば、自立支援(何でもできるという自立の意味のほかに、自主性を尊重した生活の支援という意味合い)を無視したケアプランが増えてしまうかもしれないね。」
「介護保険制度って、プロの私たちでも理解が難しいから、自己制作は厳しいんじゃないかしら。」
「有料化になれば、ご利用者様がお客様になってしまう。はい、はい、となんでも言ってしまって、正しいことを言えなくなっちゃって、本当にご利用者様にとって良いケアプランなのか?と判別つかなくなってしまうケアマネが増えるかも。公平性がなくなる。」
確かに、どの意見も、可能性大です。
実は、こんな意見が以前からあったからこそ、2020年の法改正時にも、ケアプラン有料化は先送りとなりました。
「ご利用者様やご家族様がケアプランに対する関心を高めて、より一層積極的にケアプランや介護サービスに対する確認や提案をしてくれるかもしれない。お金払うんだし!」
という意見もあるようですが、正直、無料であろうと、意識の高いご利用者様やご家族様は確認、提案をしてくださいますし、有料化とは関係ないような気もします。
ところで・・・
みなさん、ノーマライゼーションという言葉をご存知でしょうか?
私は、この仕事に携わる前にはきいたことがありませんでした。福祉の仕事に携わる人が最初にみる本には必ず、この言葉が書いてあります。
「障害を持った人も、健康な人と同様の生活ができるように支援すべき」
という意味の言葉で、福祉というものの価値観の根幹にあるものの一つです。
病気や怪我で、福祉を享受する、介護サービスを受けるようになった方にとって、毎日の生活を送るうえで欠かせないものです。
それを、ケアプランの有料化によって、介護サービスの入口を狭きものにしてしまう、健康な人と同様の生活が出来るように支援することができなくなる、と介護業界は大変衝撃を受けました。
ノーマライゼーションという根幹がひっくり返され、かつ、福祉・介護に対する想いが踏みにじられた、とさえ思った人もいたと思います。
まとめ
このように、ケアプランを作るケアマネージャーは、ご利用者様に対して、ひいては、世の中に対して、ノーマライゼーションという考えのもとに、ご提案をしています。
今後、2027年の法改正へ向けて、厳しい意見も飛び交うでしょうが、3年たっても、現場の意見は変わりはしないでしょう。
ケアプラン有料化は先送りではなく、当たり前のように無料であるべきだと思います。引き続き、反対の声を上げ続けることでしょう。
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