【TSM/2022/3Q決算速報】、2022年第3四半期の結果は売上◎、EPS◎、ガイダンス○。CANSLIM定点観測。
このマガジンは取り上げた企業の投資を推奨する意図は全くないことを改めて確認いたします。企業の業績チェック、ビジネスモデル、新着ニュースをシンプルに定点観測する読み物です。
(TSMの会社概要・歴史・ビジネスモデル考察は以下を参照してください。)
「Taiwan Semi Conductor Manufacturing(ティッカーシンボル:TSM)」のQ2-2021の結果が出ました。
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※YoY = year over year(前年同期比)
・TSMCの2021年2Q決算は、売上$14.87B/YoY+22.6%(アナリスト予想:$ 14.82B)。→◎
・EPSは$1.08/YoY+20.0%(アナリスト予想$1.04)→◎
ガイダンスは以下の通り、前四半期に出したガイダンスと市場予想を大幅に上回る結果を発表
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それでは2021年3Q決算の内容を詳しくみていきたいと思います。
1. Revenue(売上高)
Q2-2021:売上$14.87B/YoY+22.6%増(アナリスト予想:$ 14.82B)。
順調の売上高を伸ばしていることが見て取れます
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■ 売上推移
※YoY = year over year(前年同期比)
Q2-2020:$10.38B(YoY +34.07%)
Q3-2020:$12.13B(YoY +29.18%)
Q4-2020:$12.67B(YoY +21.95%)
Q1-2021:$12.91B(YoY +25.35%)
Q2-2021:$13.29(YoY +27.96%)
Q3-2021:$14.87(YoY +22.60%)
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Management Reportでは以下のように売上高の増加について記載されています。
第3四半期の売上高は、業界をリードする5nmおよび7nm技術に対する旺盛な需要に支えられ、前年同期比で34.07%増加しました。
現在の売上高に占める比率は以下の通りとなります。7nmの比率が増加しています。今後5nmの比率が増加し、更に3nmの開発で勢いづくことが想定されます。
今まで下落基調であった利益率が持ち直しているのもポジティブなポイントです。
2. EPS(1株当たりの当期純利益)
Q3-2021:(non-GAAP)EPSは$1.08/YoY+20.0%(アナリスト予想$1.04)
EPSはアナリスト予想を大きく上回る数字を叩き出しています。ただ、過去に比べると成長率は低水準であることは懸念されますね。
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■ EPS推移
※YoY = year over year(前年同期比)
Q2-2020:$0.78(YoY +90.24%)
Q3-2020:$0.90(YoY +45.16%)
Q4-2020:$0.97(YoY +32.88%)
Q1-2021:$0.96B(YoY +28.00%)
Q2-2021:$0.93(YoY +19.23%)
Q3-2021:$1.08 (YoY +20.0%)
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3.ガイダンス
TSMCの4Qのガイダンスは以下の通り発表されています。
これを前年同四半期とYahoo financeのデータと見比べたものが以下となります。
売上はアナリスト予想を上回っていますが、利益率が3Qと比較しても落ち込む予想という点はネガティブですね。
ただ、これは台湾政府へのワクチン寄贈費用を含んでおり、営業利益率ベースで1%の下落ち要員となっているとしています。この分を加味すると営業利益率は3Qと同程度となります。
4.TSMCのKPI
TSMCは技術的に他社を突き放すために常に研究開発費を費やしています。今までYoYで30%のレベルで研究開発費を引き上げていましたが、今期は9.5%という水準に止まっています。
研究開発費こそがTSMCの圧倒的な地位を築いているので若干不安ですね。TSMCは現在世界で唯一5ナノメートルプロセスを実現して2022年には4nm、3nmを世界に先駆けて開発することを想定しています。
売上欄でもみましたが5nmの収益は絶対値としては上昇していますが比率としては拡大してはいません。2Qと同様の18%のままです。7nmは若干シェアが伸びています。
また用途別でみるとスマートフォンとHigh Performance Computingが二大巨頭となっています。今期は主力のスマートフォン向けが大きく成長したのが売上高拡大に大きな影響を与えていますね。(ただ、iPhone13減産の発表等もあり今後が心配ですね。)
3位のIoTが大きく成長していますね。前期は2%のマイナス成長だったので良い兆候ですね。以下は2Qのデータです。
5. CF (営業CF,投資CF,財務CF)
CFについてみていきます。営業CFは減価償却費が多額にのぼることから純利益よりも大きい値になります。基本的には営業CFで投資CFをまかなっている構造となります。
営業CF:6.31B/前年同期6.48B
投資CF:△6.35B/前年同期△3.31B
財務CF:△1.25B/前年同期1.58B
6. 財務状況
TSMCの財務状況は安定しています。以下は総負債比率ですが、上昇傾向にあります。ただ、金利に関しては収益を圧迫していないので然程気にする必要はありません。
流動負債は、短期借入金が210億円減少したものの、主に買掛金が240億円、配当金が60億円増加したことに より80億円増加しています。
また、長期有利子負債は、当四半期に490億円の社債を調達したことなどにより、500億円増加していることが影響しています、
7.Conference Call
それではEarning Callsの内容も見ていきましょう。
◼️:3Q決算について
第3四半期はスマートフォン、HPC、IoT、自動車関連アプリケーションの4つのコア・プラットフォームすべてにおいて旺盛な需要があり、売上高は堅調に推移した。
売上総利益率は前四半期比1.3%ポイント上昇し51.3%となった。
これは主に、後工程の収益性と技術ミックスの改善によるものである。TSMCの収益性を決定する要因は、リーダーシップ、技術開発、ランプアップの価格、コスト、稼働率、テクノロジーミックス、為替の6つであり、これらはコントロールできない。これらすべての要因を考慮すると、長期的には50%以上の粗利益率を達成できると考えています。
営業利益率は、主に営業レバレッジの改善により前四半期比2.1%ポイント増の41.2%となっている。
設備投資は、今後の成長を見越して行われる。HPCアプリケーションにおける5G関連の業界メガトレンドに支えられた半導体需要の構造的増加を目の当たりにしている。顧客の成長を支え、今後数年間の当社の先端技術や特殊技術に対する需要の増加に対応するため、2021年通期の設備投資額を約300億ドルと予算化した。
◼️:ガイダンスについて
短期的には、COVID-19の影響によるサプライチェーンの中断により、短期的な需給の不均衡が引き続き見られる。
また、長期的には、5GやHPCなどのメガトレンドや、自動車、PC、サーバー、ネットワーク、スマートフォンなどの多くのエンドデバイスにおけるシリコン含有量の増加に裏打ちされた需要構造の増加が継続しています。
2021年第4四半期に向けては、業界をリードする当社の5ナノメートル技術への強い需要に支えられ、順次成長していくものと考えている。
現在のビジネス見通しにもとづき、第4四半期の売上高は154億米ドルから157億米ドル、中間点で前四半期比4.5%の増加を見込んでいる。
7月12日に、台湾におけるCOVID-19パンデミック対策の一環として、500万回分のワクチンの購入を完了したことを発表した。
このワクチン寄贈費用の一部を第3四半期に計上し、大部分は第4四半期に計上される予定であり、営業利益率には1%ポイント程度の影響があります。
◼️半導体需給の逼迫と長期展望について
需給の短期的な不均衡が続くかどうかは分からない。
TSMCは技術面でのリーダーシップを発揮することで、先進技術や特殊技術に対する旺盛な需要を取り込むことができると考えてる。そして、2021年から2022年にかけて、TSMCの生産能力は逼迫した状態が続くと考えている。
次に、長期的な成長の原動力とリターンとしてのTSMCについて。現在、より高い構造的成長の時代に入っている。数年来のメガトレンドである5GとHPC関連アプリケーションは、計算能力への膨大な要求を煽り、エネルギー効率の高いコンピューティングへのニーズを高め、最先端技術の使用を必要とすることが予想されます。
このメガトレンドは、ユニットの成長に拍車をかけるだけでなく、HPC、スマートフォン、自動車、IoTなどのアプリケーションにおける半導体コンテンツの増加を促進する。
また、COVID-19は、半導体を人々の生活に浸透させ、必要不可欠なものにするデジタルトランスフォーメーションを根本的に加速している。TSMCは、技術面でのリーダーシップ、製造面での卓越性、そしてお客様からの信頼をもって、今後の事業展開を有利に進めていく。TSMCは、有利な業界メガトレンドから軌道に乗るためのより良い立場にあります。差別化された技術を販売しています。
長期的な市場の需要プロファイルの構造的な増加を高めるために。TSMCは、お客様と密接に協力してキャパシティを計画し、お客様の需要をサポートするために最先端の技術や特殊技術に投資している。
◼️コストの上昇について
DDノートのプロセスの複雑化、成熟したノートへの新規投資、グローバルな製造拠点の拡大、基本的なコモディティコストの上昇などにより、製造コストの課題に直面している。
お客様の目標をサポートするためにお客様と密接に協力していく中で、当社の価格は戦略的なものであり続ける。また、サプライヤーの皆様とも、コスト改善に向けて真摯に取り組んでいく。
◼️新技術3nmプロセスについて
N-3技術は、FinFETトランジスタの構造を利用して、お客様に最高の技術成熟度、性能、コストを提供する。N3テクノロジーの開発は順調に進んでいる。我々は、HPCとスマートフォンの両方のアプリケーションをサポートする完全なプラットフォームを開発。
N-3のベータ版の生産は2021年に予定されており、2022年の後半には生産を開始予定。N-3では引き続き高いレベルの顧客エンゲージメントが得られており、初年度のN-3のタップアウトはN-5と比較して新しいものになると予想。また、N3ファミリーの延長線上にN3Eを導入しました。
N3Eは、製造工程のウィンドウを改善し、性能、出力、歩留まりを向上させている。N3Eの量産はN3の1年後を予定。当社の3ナノメートル技術は、導入時にはPPAおよびトランジスタ技術の両方において最先端のファウンドリー技術となる。
N3ファミリーはTSMCのもう一つの長くて広大な--ノードになると確信している。
◼️:Q&Aセッションのハイライト(途中半導体不足解消時期にも言及しています)
Q:インテルは今回、2025年までの長期ロードマップを発表しましたが、4つのプロセスノードでTSMCに追いつき、追い越す可能性もあります。全方位型、ハイエンドEUV、バッテリーパワーラインなどですについて聞きたい。
A:TSMCは、3ナノメートル技術と2ナノメートル技術のすべてにおいて、非常に高い競争力を持っていると確信していますし、実際に非常に競争力のあるスケジュールを持っています。
私たちの2ナノメートル技術は、2025年に最も競争力のある密度と性能になることをお伝えしたいと思います。そしてもちろん、もう一度お伝えしたいことがあります。すべての構造が検討されています。しかし、これ以上の情報を公開するつもりはありません。
Q:第1四半期の決算で、今後3年間で1,000億円以上の設備投資を行うことを明らかにしていたと思います。その後、日本の生産能力増強についても言及されていますね。高雄でも最先端の生産能力増強が計画されているようですね。
この1,000億台湾ドルの予算で十分なのか、それとも今後3~4年の間に設備投資額を増やす必要があるのか、
A:具体的には回答できない。当社の成長見通しが良好であれば、設備投資計画が上向く可能性があります。当社は、お客様をサポートし、成長機会を捉えるために、規律ある投資アプローチを継続していきます。
Q:最近、多くの投資家から、テレビや中国のスマートフォンなどの売れ行きが悪いと質問を受けているかと思います。
在庫水準が高くなっているのは事実です。しかし、ファウンドリーはずっと非常にポジティブな状態を維持しており、ほとんどの企業が生産能力や設備投資を増やしています。この矛盾は何か、なぜ最終需要が悪化しているにもかかわらず、ファウンドリーはこのような強い需要を見続けることができるのか、投資家に説明していただけますか?
A:在庫調整の可能性は排除していませんが、TSMCの生産能力は2021年から2022年にかけて非常にタイトになると予想しています。これは、当社が技術面でリーダーシップをとっているからです。また、在庫調整の可能性があったとしても、5G関連やHPCアプリケーションなどの構造的なメガトレンドを背景にした前回の不況を考えると、TSMCにとっては変動の少ないものになるでしょう。
また、最終デバイスの単位CoWoSに加え、シリコン含有量の増加も継続しています。繰り返しになりますが、当社の技術的なリーダーシップは、中長期的なCoWoS活動を捉えるのに適した立場にあることを示しています。以上がご質問の答えになります。需要と生産能力の間には乖離があります。
Q:来年のN3導入について、N3の立ち上げについて少しお話しいただけますか?ここ数年のノードの立ち上げと同じような、典型的な立ち上げになるのでしょうか、それとも違うタイミングになるのでしょうか。
また、コストについてですが、N3では層を増やすことでコストが予想以上に上昇するという話がありますが、コストをどのように見ているのか、そして3層目でも70%の密度向上を達成できるのかを明確にしていただけますか?ありがとうございました。
A:コストは間違いなくN5よりも高くなる。これは技術的に複雑で、多くの新しい機器を使用しなければならないため、コストが高くなっている。
しかし、その後の立ち上げは前のノードと非常に似ています。多くのお客様にご利用いただいており、前のノードよりも高いエンゲージメントが得られている。2022年後半には量産が開始されますが、収益が出るのは2023年の第1四半期になると思われます。
Q:、28ナノメートルに関するフォローアップです。先ほど、日本では2024年に新しい工場が稼働するというお話がありました。また、ヨーロッパの最新の考えを教えてください。これもTSMCの新工場、拡張の対象になるのでしょうか?
また、28ナノメートル・ノードについては、現在、多くの生産能力が拡張されています。これを後押ししているのは何なのか、また、これがやがて供給過剰の状況にならないと考える理由は何なのか、お話いただけますか?ありがとうございます。
A:欧州を含む他の地域に工場を建設する可能性も排除していません。しかし、28ナノメートルの新しい生産能力を構築する場合、ほとんどが特殊技術に対応するためであることを強調しています。競合他社が提供していないいくつかの特殊技術については、TSMCがお客様と協力して需要を満たしています。供給過剰になる可能性はないと見ている。
Q:チップ不足の状況についてです。会長の[Indiscernible]氏がタイム誌のインタビューに答えて、サプライチェーンの中に完成品のチップが十分すぎるほどあるべきだと述べていたと思います。
特に自動車向けのチップ不足はいつ頃解消されるとお考えでしょうか、私たちや世界の投資家にご説明いただけますか?また、2ナノメートル世代の政府や自動車メーカーの動向についても教えてください。また、顧客データの提供をお願いする以外にも、今後の不足問題を管理するためのより良い方法を教えてください。ありがとうございました。
A:自動車については、特に指摘させていただきたいと思います。自動車のサプライチェーンは、実際には非常に長くて複雑です。当初考えていた以上に複雑なのです。しかし、世界の自動車用IC市場におけるTSMCの参加率は約14%に過ぎず、私たちは自動車業界のお客様が必要とするものをサポートするための役割を果たしています。しかし、自動車業界全体の供給問題を解決することはできません。
また、最近では、東南アジアでのパンデミックなどの要因も自動車用ICの供給に影響を与えています。繰り返しになりますが、私たちは今年の上半期を通じて、自動車メーカーのお客様のチップ供給の課題を解決するために積極的に取り組んでいます。そして、おそらく第3四半期からは、自動車メーカーのお客様に対するウェハーの供給不足が大幅に解消されると考えています。おそらく第3四半期から始まると思いますが、OEMの終わりまでには2、3四半期待つことになるでしょう。以上が当社の予想です。
Q:先ほどの日本への投資に関する確認に戻ります。22年から23年にかけての設備投資のうち、どの部分が1,000億ドルという全体的なガイダンスに含まれているのか、あるいはそれが上乗せされているのか、できれば具体的に教えてください。これに関連した質問として、22ナノメートルと28ナノメートルの生産能力についてお聞きしたいと思います。ありがとうございました。
A:ご指摘の1,000億ドルの予算には含まれていませんでしたので、増額となります。それ以外の投資額やその他の詳細については、取締役会のレビューと承認を得るまでコメントできません。
8.CANSLIM定点観測
それではCANSLIMの定点観測を行なっていきたいと思います。TSMCのCANSLIMは以下となります。一番左が1Qで、真ん中が2Qで、右が3Qの最新です。
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C:△→×→×
A:△→△→△
N:△→△→×
S:×→△→△
L:×→△→×
I: △→△→×
M:○→○→×
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2021年10月14日時点でのInvestors Business Dailyの評価は59点となっています。因みに7月15日時点でTSMのIBDの総合評価は85点でした。大分評価が下がっています。
なかなかオニール流でみると買える銘柄ではないですね。投資は自己判断でお願いします。
■ C(=Current Quarterly Earnings)×→×
まずはファンダメンタルで一番重要な「C」です。「C」は直近EPSに関する指標です。やはり成長率がグロース企業としては低いので×と評価せざるを得ません。
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「C」の条件
● 最低条件は前年同期比直近EPS成長率は25%以上
→ 不合格
● 強気相場の時は前年同期比直近EPS成長率は40%以上
→ 不合格
● 過去10四半期に以前に比しEPS成長率が加速している
→ 加速した後に減速している
● 直近売上成長率は少なくとも25%以上上昇、又は直近直近3四半期で売上増加率が加速していることが最低条件
→ 22%増加しており直近成長率は低下傾向
(補足条件)
● 2四半期続けて大幅にEPSが成長
→ 成長率は減少している
● 翌四半期、翌々四半期も力強い成長が予想されている
→ 翌々四半期以降成長率は10%台前半が予想されている
● 今後2年間で成長の軌道にのるガイダンスがある
→ 今後5年間の平均成長率は10%台前半から中盤を予測されている
● 同業他社でEPSの成長率が高い銘柄が少なくとも1つ以上存在
→ ファウンドリとしては独走状態で競合はそもそもいない
(注意点)
● EPS成長率が66%以上の減少が二四半期続けば危険
→ そこまでの減少ではない
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■ A(=Annual Earnings Increase)△→△
次はAです。Aは年間EPSの推移です。やはり成長率が弱いという点を考えると△のままですね。
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「A」の条件
● 過去3年連続で年間EPSが増加。EPS Stabilityが25以下
→ 3年連続増加。EPS Stabilityは13以下と安定しており合格
● 年間EPSの増加率が25%-50%以上の銘柄を選択
→ 今期の成長率は17%と物足りない水準
● ROEが17%以上(出来れば25%以上)
→ ROEは30%となっており余裕で満たしている
(補足条件)
● アナリストのコンセンサス予想が翌年EPSが上昇すると見込んでいる
→ EPSの上昇を見込んでいるが成長率の減速が見込まれている
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■ N(=New Products, New Management, New Highs)△→×
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「N」の条件
● 成長著しい新興企業
→ 時価総額は60兆円の既に超大企業
● 新しい画期的な製品やサービスを提供
→常に技術力を高め他社を圧倒している
● 素晴らしい経営陣
→ 文句なし
● 正しい株価ベースを抜けて新高値
→ 新高値までは30%あり、なおかつ50MAが100MAをデッドクロスしている
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CEOはMark Liu氏に変わってからファウンドリ業界での覇権的な地位を確立し、惜しみない研究開発費で他社を圧倒する製品を日々開発していっています。
ただ、新高値から遠ざかっており、形としてもベース形成から腰折しかかっているので×に変更しています。50MAも200MAも下回ってしまっています。株価は失速していますね。
■ S(=Supply and Demand) △→△
「S」についても大口の買い集めのAcc/DisがA-E評価の中のD評価と低く、需給も決していいとはいえません。ただ一応U/D Ratioが1.3なので△のままとします。
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「S」の条件
(供給側)
● 発行済株式数が多い銘柄は上昇しにくい
→ 51億8600万株で供給量は非常に多い
● 長期間かけて自社株買を継続している企業
→ 自社株買は行なっていない
(需要側)
● 株価下落時で出来高が枯れてきているか、上昇時に出来高を伴っている
→ 直近13週間の機関投資家の買い集めを評価するAcc/Dis RatingはDと低い評価
→ Up/Down Volume ratioは1.3と優秀。
Up/Down Volume ratioは価格が上昇した日の出来高と、価格が下落した日の出来高の比率を作成して算出します。U/D ratioが1より大きい場合は、その期間に買い手が売り手よりも多く強気の比率となる。U/Dレシオが1より小さい場合は、調査期間中に買い手よりも売り手が多く、レシオは弱気になります。
(補足条件)
● 経営陣が発行済株式の1%-3%以上を保有(中小型株なら3%以上)
→ CEOのLiu氏でも0.05%と非常に少ない
● 過去2-3年の間に総資本に対する負債率が減少している
→ むしろ増加基調である
(注意点)
● 過度な株式分割を行う企業は危険
→ まだ株式分割はおこなっていない
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■L(=Leader or Laggard)△→×
Lについては業界内順位(時価総額ではなくCANSLIM的観点)が18位と低くなっています。1位はPOWLです。レラティブストレングスが大きく低下しているので×に格下げです。
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「L」の条件
● 業界内で上位2-3位の銘柄を狙う(時価総額ではない)
→ 18位で条件満たさない(前回は8位)
● レラティブストレングス指数が80以上(大化け銘柄の平均は87)
→ RSは27で条件を満たさない (前回は74)
(注意点)
● 共振株(=おこぼれ企業)には投資しない
→ リーディング企業であり問題ない
● レラティブストレングス指数が60以下の企業に投資してはいけない
→ RSは27と最低水準
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■ I(=Institutional Sponsorship)△→×
結局株価が勢いよく上昇するかどうかは機関投資家が購入するかどうかに依拠します。特に巨大な企業においては機関投資家の買い上げがないと株価は上昇しません。
ファンドの株主数は増加しておらず、機関投資家の保有残高は減少気味なので×となります。
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「I」の条件
● 直近四半期で、機関投資家株主数が著しく増加しているか?(一番重要)
→直近横ばいか減少傾向になっています。
Sep-20:1792
Dec-20:1961
Mar-21:2153
JUN-21:2150
SEP-21:2143
ただ保有残高は微減しています。一部機関が売り抜けているのいが見て取れます。
● 最近の数四半期で、保有している機関投資家の保有残高が着実に増加しているか?
→ 下落気味となっています。
● 株主となった機関投資家は優秀か?
→ 上位のAmerican Funds American Balancの評価は高くなく、CやB評価のファンドが多くなっている。
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■ M(=Market) ○→ ×
ファンダメンタルやチャートが良くても相場環境が悪ければ引きずられて下落してしまいます。現在はMarket Correction中ですので×になります。
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