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(米国株式市場5月10日〜14日)今週の合戦の振り返り!経済指標で金融政策を占い大きく揺れる株式市場。ハイパーグロース株の受難は継続。
今週の合戦(米国株式市場)の振り返りをします。
(米国株式市場5月3日〜7日)今週の合戦の振り返り!セクターローテーションは続きハイテク銘柄の受難は続く。ナスダックとS&P500指数ともに売り抜け日が溜まり要警戒。
1. 今週の合戦の要約
・4指数とも下落。特にナスダックとラッセルは50日線を下回って推移
・S&P500の売抜日の累積は6で、ナスダックの累積は5と溜まっている
・昨年先導株として活躍したハイグロ銘柄の下落は深刻
・相場の評価は再び「下落圧力のある上昇基調」にダウングレード
・金融政策の今後の見通しが相場を大きく動かす要因となっている
・先週の雇用統計に続き高いCPIと軟調な小売で株式市場は大きく振れる
・一方で期待インフレ率や金利は殆ど変動していない
・空売り比率は小さく推移しておりアクティブファンドマネージャーのポジションは大きく縮小→機関投資家の保有株の売却が下落の主因の恐れがあり危険
2. 代表指数動向(&強気相場 or 弱気相場判定)
□ 5/7 close to 5/14 close
中小型株指数のラッセル2000は明確に50日移動平均線を下回って推移しており、このところの中小型株の弱さを表しています。
金曜先週終値からの以下さん指数を比較したものが以下となります。
・ピンク:NYダウ
・ブルー:S&P500
・グリーン:ナスダック
↓↓↓
このところのオールドエコノミーが強く、ハイテクが弱い相場が継続していることが読み取れます。年初来でみると差は歴然ですね。
□ 現在は強気相場?弱気相場?
S&P500の売り抜け日の累積日数が6、NASDAQの売り抜け累積日数5で弱気相場の始まりへ警戒感が高まっています。
(※売り抜け日カウント数とは?)
前日比で0.2%以上のマイナスを前日以上の出来高ともなって記録した日を「売り抜け日」とカウント。4-5週間で4-5日あれば天井から下落の可能性あり。「フォロースルー日」を迎えたらカウントはリセット。「フォロースルー日」は下落局面で前日比プラスで引けた日から4-7営業日後に出来高を伴って大幅に上昇した日のことを指す。
オニールの発行するInvestors Business Dailでは先週金曜日の弱い雇用統計を受けて金融緩和が継続するとの観測から大きく上昇し「明確な上昇トレンド」に格上げされました。
しかし、月曜日と金曜日の下落により更に「売り抜け日」を増やしたことをうけ、再び「下方圧力のかかった上昇トレンド」に見通しが変更されています。
「下方圧力のかかった上昇トレンド」では上述のInvestors Business Dailyでは以下のことを推奨しています。
・余程魅力的ではない限り新規ポジションを立てない(銘柄の厳選)
・既存投資銘柄の買い増しを行わない
・普段の8%損切りルールの基準を更に厳しくすることも検討
以下はナスダックの年初来の値動きです。ナスダックは50日移動平均線(赤)との攻防が続いており、50日移動平均線自体も上昇トレンドから横ばいに推移しつつあります。引き続き注視してマーケットを観察した方がよいのは間違いないでしょう。
ナスダックの懸念点と今後注視したい点は以下です。
【懸念点】
✔︎ 売り抜け日が既に5溜まっている
✔︎ 上昇している時に出来高が小さい(特に金曜は値幅の割に衝撃的)
→ 空売りしていた人達の弱い小売を受けたショートカバー?
✔︎ マーケットを引っ張ったハイテク先導株が既に下落をしている
→ 先導株は指数に先駆けて下落するため
【来週以降注視したい点】
以下3点を失敗した場合は上昇の試しが失敗して下落相場になる懸念が一段高まります。
✔︎ 直近高値14211(4/29)と安値13002(5/12)の半値13536を超えられるか
✔︎ 50日移動平均線13539を超えられるか(上記の水準と殆ど同じで意識される)
✔︎ 上昇時に出来高を伴って上昇することができるか
3.セクター別(5/7 close to 5/14 close)
□ S&P500 Highlight
(1week)
・Tesla(TSLA)△12.29%
・The Home Depo(HD)△4.60%
・Disney(DIS) △6.03%
・Intel (INTL) △4.02%
・NVIDIA (NVDA) △3.84%
・Exxon Mobil (XOM) △2.66%
・P&G (PG) +2.12%
・CME Group (CME) +6.93%
・Newmont Corporation (NEM) +5.08%
わかりやすくハイテクセクターが弱いですね。特にハイテクの右側にあるSemiconductor(半導体)は真っ赤っかですね。
因みに上記にはなかなか表れていませんが、ハイテクグロースは今週も地獄の相場が続いています。1月で20%-40%も下落している銘柄が多くなっています。
□ 業種別 Highlight
(1week)
・Consumer Discretionary(一般消費財)△4.64%
・Information Technology(情報技術)△3.51%
・Communication Service(情報通信)△3.00%
・Energy(エネルギー)△2.05%
ハイテクセクターがあるセクターが引き続き弱いですが、先週と打って変わってエネルギーが弱含んでいます。
□ セクターETF騰落率 Highlight
(1week)
まだ金融系のETFが耐えていますが、他は全体的に軟調ですね。後でみていきますがVolatility系指標であるVIX系のETFが高いリターンとなっています。
4. FRB動向
今現在最も市場が懸念しているのはFRBの動向なのではないでしょうか?
大相場が終わりを迎える時は基本的には金融当局が引き締めに転じるという懸念が台頭してきた時です。
-------Point-------
過去を振り返ると、FRBの金利が引き上げられたことがきっかけで弱気相場が始まり不景気に突入した歴史がある。弱気相場が終わるのは金利が下げられた時が多い。最も簡単で役に立つ金融指標はFederal Fund(FF)レート。コンピューターによる自動売買や様々なヘッジサービスによってリスクの高い弱気相場で発生する株価の下落から資金を守るために、ポートフォリオの大部分をヘッジするファンドが現れた。金利が急騰する場面は相場が下落しやすい仕組みになっている。(但し、金利よりも株価が相場を見極める指標としては最重要です)
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□ 今週のHighlight
後の経済指標の欄で詳しくお伝えしますが以下の経済指標の発表で金利と株式市場に多大な影響を与えました。
・衝撃的なインフレレポートの発表で市場が同様(水曜)
・弱い小売で市場は鎮静化(金曜)
・ただ期待インフレ率と金利水準に大きな変化はなし
□ ドットチャートの動き
3月時点でのドットチャートは以下の通りです。現状は2021年での利上げは見込んでいません。次回は6月です。
□ 金融政策に関わる重要な経済指標
FRBは以下二つの政策目標を達成するために金融政策を決定します。
✔︎ 2%前後の安定したインフレ率
✔︎ 完全雇用の達成
先週は雇用統計が失望的な内容であったことを受け、金融緩和継続懸念が台頭して金曜日の株価をひきあげました。
しかし、水曜日に発表された消費者物価指数は以下の通り衝撃的な内容となりました。年率上昇率はCPIで4.2%、食品やエネルギーを除いたコアCPIで3%という水準になっています。
前月比でここまで予想と乖離するのもなかなか珍しいです。
この結果が金融政策が予想より早期の引き締めを行うのではという懸念を台頭させて水曜日の株価の下落につながりました。
一方、金曜日に発表された小売が軟調な結果であることを受けて、経済の回復が遅れているのではとの観測もあり株価は巻き戻しています。
□ ブレイクイーブンインフレ率
ブレイクイーブンインフレ率とは、市場が期待するインフレ率を意味します。
この1年間「5年ブレークイーブンインフレ率」と「10年ブレークイーブンインフレ率」は上昇基調です。
(2020/01/01-2021/05/14)
よりフォーカスして今週の動きを見てみましょう。弱いインフレ率にも関わらず、そこまで大きな動きとはなっていません。
□ 長期金利
現在、最も市場が注目している指標の一つに長期金利があります。長期金利が上昇すると株価を算定するためのバリュエーションに影響するため同じEPSであっても企業価値が下落します。特にその傾向はグロース株に顕著であるため、グロース株投資家は長期金利に真摯に向き合っていかなければいけません。
長期金利の10年と、中期金利の5年は昨年末から上昇基調にありますが直近は揉みあっています。
もう少しクローズアップして今週でみると以下の通りとなります。期待インフレ率と同様、経済指標を受けて殆ど動いていません。
逆にいうと株式市場が金利が動かなくても各ニュースに過剰に反応するほど、不安定な状態にあるとみることもできます。
□ バランスシート
FRBは金利を引き上げる前にまずバランスシートの縮小(テーパリング)を行うことが見込まれています。バランスシートが拡大するということは市場に流通する資金が増大して景気を加熱させることにつながりますので、加熱しすぎる前にまず市場の資金を吸収するというオペレーションをとるためです。
以下の通りバランスシートは順調に拡大しており現時点で手綱を緩める気はないことが伺えます。
□ 要人発言
要人発言を取り上げる際はそもそも発言した人が投票権を持っているのか、そしてどのようなスタンスなのかを確認した上で見る必要があります。
以下が2021年の投票権を持つメンバーと各人のスタンスです。
ハト派:緩和的な金融政策を趣向する人達
タカ派:引き締め的な金融政策を趣向する人達
基本的にハト派で構成されており危機対応という観点にたったメンバーとなっています。(常任メンバーは毎年投票権があり、メンバーは地区連銀から毎年選ばれます)
CPIを受けて中立派のボスティックの発言です。インフレに対する懸念的を述べておりインフレは一時的とのパウエル議長よりはタカよりであることが確認できます。ただ大きくスタンスが変わっているほどではありません。
[ワシントン 12日 ロイター] - 米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は12日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響から経済活動が再開する中、米経済は現在「移行期」にあるとし、インフレ動向は不安定になる可能性があるとの見方を示した。ボスティック総裁は、労働力、モノ、サービスに対する需要と供給は現在は不安定な状態にあるとし、「今後ボラティリティーは増大する」と述べた。
参照:ロイター
バーキン氏も中立派の人物ですが、今市場でいわれている通り手厚すぎて働くインセンティブをそぐ失業保険等に対して言及しているだけでサプライズとはいえません。
[ワシントン 13日 ロイター] - 米リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は13日、米景気回復が軌道から外れないようにするためには、人々に労働参加を促すことが重要になるとの考えを示した。バーキン総裁は、子育て支援や公衆衛生を巡る懸念のほか、現在も継続されている政府の失業保険対策などに言及し「求人と働き手をマッチさせることが課題になっている」と指摘。「労働市場の目詰まりをどのようにして取り除くかが重要になる」と述べた。
参照:ロイター
また、金曜日には今年の投票権こそありませんがセントルイス連銀のブラード総裁からみかけよりも労働市場がタイトであることが言及されています。
5. プットコールレシオ
プットコールレシオについて見ていきます。
ここでは年初来からの比率(%)を観察します。直近の投資家心理を確認。
・プット(Put)=投資家が株式相場下落を期待(年初来%が高い時)
・コール(Call)=投資家が上昇を期待(年初来%が低い時)
・S&P500は2021年1月1日比 -5.46%(投資家は安心)
・NASDAQは2021年1月1日比 -36.32%(投資家は安心)
NASDAQの動きに注目したいのですが、4月に入ってから毎週100%の確率で週半ばに下落に賭ける動きが起きています。
しかし、この動きは先週と今週で沈静化しています。オプション市場で大きな下落を見込む向きは今のところ見受けられません。
6. Volatility index(VIX指数/恐怖指数)
VIXとは市場で取引されているオプション価格から逆算された「株式市場のボラティリティ」のことを指します。株価指数は上昇時は緩やかに上昇し、下落時は急落します。市場参加者が高いボラティリティを見込んでいるということは、市場に対して不安を抱いていると想像できます。
S&P500指数とNASDAQのVIX指数の推移は以下となります。
・S&P500(ブルー、VIX)
(4月14日引け時点:18.8)
(4月12日のMAX:28.0)
・NASDAQ(オレンジ、VXN)
(4月14日引け時点:24.99)
(4月12日のMAX:32.27)
5年↓↓
3ヶ月↓↓
VIX指数は株価の先行きにどれほどの振れ幅(ボラティリティー)を投資家が見込んでいるかを示す「株価変動率指数」のうち、米国株を対象にした指数。通常、株安が懸念される局面で上昇し、20を超えると不安心理が高まっていると解釈される。その場合、「株価が今後1年間に約7割の確率で上下20%の範囲で変動する」と投資家が予想していることを示す。 2008年の金融危機の際にVIX指数が80超に上昇して注目を集めた。18年2月と10月にもVIX指数の上昇をきっかけに米国株が下落する場面があった。VIX指数の上昇に連動して機械的な株売りを出す「リスク・パリティ」などと呼ばれるファンドが存在するからだ。(引用:日経新聞)
S&P500、NASDAQ共に、水曜日のCPIショックを受けて急騰しましたが金曜日に弱い小売をうけて落ち着きを取り戻しています。とはいえ以前としてSP500は20に近い水準で、ナスダックは20を上回って推移しています。
7. 空売り比率 (Short Volume)
空売り比率・ショートボリュームはNYSE(ニューヨーク証券取引所)で空売りされている株式の数をNYSEの総出来高との割合で示したものです。
この比率が高ければ投資家が市場をネガティブに見ていることが読み取れます。(「空売残」はShort Interestです。ここでは触れません。というよりタイムラグがあるので触れることが適切ではないのです。)
特に暴落局面で注視するのが有効で弱気相場が底をつける時というのは空売りの急増を示す数値の上昇が通常二回か三回現れるとオニールは言及しています。
それではまずS&P500指数の空売り比率は以下となります。S&P500指数で最も取引Volumeが多いETFであるSPYで見ていきます。
特段今週空売りが出ていた兆候は見受けられません。
次にナスダックです。ナスダックはVolumeがあるNASDAQ100インデックスに連動するQQQの空売り比率です。SPY同様特段大きな空売りは見受けられていません。
TSLA、CRWD、SQやNVDAといった結構下がっている個別株でみても特段大きな空売り比率は観測されませんでした。
空売りで攻めているというより保有株を売り払っている動きが下落を招いていると推察することができます。
8. 機関投資家やアクティブファンドマネージャーの動向
センチメントインジケーターは、個人投資家、機関投資家、海外投資家の過去12か月の株式ポジションと比較したもの。スコアが1を超えていたら、ポジションが増大していることを示し、-1を下回るとポジションが縮小していることを示しています。
5月8日更新「0.5」(5月3日は「0.5」)。ポジションの増加幅は縮小しています。ただあくまで上記の数値は先週の数値ですので今週の動きはきになるところです。
次にNAAIM Numberです。NAAIM Numberはアクティブファンドの投資動向です。100を超えるということはアクティブファンドがレバレッジをかけていることを意味します。
今週に入って大幅にポジションを落としていることが読み取れます。
先ほどの空売りと合わせるとアクティブファンドのマネージャーがポジションを落としているということが推察できます。機関投資家の売りは天井圏で発生する動きですから警戒が必要ですね。
9. 注目経済指標の動向
以下が今週だされた経済指標です。FRBの欄で言及しましたが、今週のハイライトは高いCPIで、次が弱い小売です。
10. 米国企業決算スケジュール
集中していた決算シーズンも落ち着きを取り戻しています。現在ハイテクセクターでは決算が良好でもなかなか上昇しにくく、決算が予想に到達しなかったりガイダンスが弱いと奈落の外に突き落とされます。
自分の保有するハイテク銘柄が決算の場合は十分注意をはらいましょう。
※$RIDEは5/24に延期
11.まとめ
・4指数とも下落。特にナスダックとラッセルは50日線を下回って推移
・S&P500の売抜日の累積は6で、ナスダックの累積は5と溜まっている
・昨年先導株としてハイグロ銘柄の下落は深刻
・相場の評価は再び「下落圧力のある上昇基調」にダウングレード
・金融政策の今後の見通しが相場を大きく動かす要因となっている
・先週の雇用統計に続き高いCPIと軟調な小売で株式市場は大きく振れる
・一方で期待インフレ率や金利は殆ど変動していない
・空売り比率は小さく推移しておりアクティブファンドマネージャーのポジションは大きく縮小→機関投資家の保有株の売却が下落の主因の恐れがあり危険
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