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(米国株式市場2月14日〜18日)今週の合戦の振り返り!代表株価指数は総じて下落、200MAを下回る泥沼弱気相場の様相。FOMC議事録は通過、3月50bpsの利上げ確率は地政学リスクなど様々な憶測が飛び交い下落?来週はSQ、HD、TDOC、FANG、RIO、MRNA、NCLHなどが決算発表。

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おはようございます!蒸し暑い真夏のような嫌な相場が続きますね。


あの人気だったハイパーグロース株達が40〜90%下落しているのを見ると、「相場サイクル」の存在を実感しますよね。まだまだ掘りそうな勢いです。

これらの企業は旬外れの時は遠くから見守り、旬の時に思いっ切り乗っかっていきましょう。

harvest


どうも、秀次郎@hidejiromoney)です。今日も我々と来週の合戦に向けて、今週の米国株式市場を振り返っておきましょう。

先週の合戦の振り返り↓↓↓


1. 今週の合戦の振り返り(要約ver.)


・代表株価指数は総じて下落し、200MAを下回る弱気相場の沼を抜け出せない状況。
・地政学リスク、利上げ(インフレ)、決算シーズンで様々な情報が飛び交い、ボラティリティの高い相場が継続。
・株式相場ステータスは先週末より「Uptrend under pressure(上昇相場頭打ち)」継続も、売り抜け日は5日溜まっており「Market in correction(調整相場)」に突入したと言っても過言ではない水準。
・FOMC議事録は通過、50bpsの利上げ確率は先週2月11日時点の48.2%から21.1%に下がった。
・債券利回り上昇、短期金利の伸びが大きく現在は逆イールドが懸念される。
NAAIMナンバーの水準は当然低くアクティブファンドも相場が上昇転換するまで待機中の様相。
・来週はSQ、HD、TDOC、FANG、RIO、MRNA、NCLHなどが決算発表。



2. 代表株価指数動向(&強気相場 or 弱気相場判定)

□ 各株価指数の動き

今週は総じてマイナスで引けました。地政学リスク、利上げ(インフレ)、決算シーズンで様々な情報が飛び交う中、ボラティリティの高い相場が続いています。

4つの代表株価指数200MAを下回っており、わかりやすい弱気相場となっています。高めのキャッシュ比率を維持して、上昇トレンドを待ちましょう。下降トレンドで勝つのは困難を極めますので。

(S&P500指数)

「天は・・・天は我々を見放した」

(S&P500 AD Line)

AD line(Advance/Decline Line)」とは以下を指します。

(今日上昇した銘柄数 - 今日下落した銘柄数) + 昨日のAD Line

「AD line」が上昇していればそれだけ相場のトレンドは強気ということです。上記の通り2022年1月から下降していますね。上昇している時に株は買いましょう。どうしても買いたくても忍耐力を発揮してください。株はメンタルコントロールと忍耐。

(NASDQ AD Line)

NASDAQは地獄ですね。Are you crazy?



□現在は強気相場?弱気相場?

1月31日にFollow through dayを迎えてから株式市場ステータスは「Confirmed Uptrend(確固たる上昇相場)」となりましたが、先週金曜日の引けで再び黄色信号である「Uptrend under pressure(上昇相場頭打ち)」に引き下げとなりました。

売り抜け日カウントはS&P500が4、ナスダックが5です。IBDでは首の皮一枚で「Uptrend under pressure(上昇相場頭打ち)」を維持していますが、マネリテ編集部のカウントでは「Market in correction(調整相場)」です。信太郎とも話しましたが、前回の安値を割っていないからと考察します(S&P500直近安値:4,222.62/NASDAQ直近安値:13,094.65)。いずれの判定にせよ、赤信号だと思っても良い水準だと思います。火遊びもほどほどに。


◇ 売り抜け日とは?

売り抜け日カウントが以下を満たせば天井圏の下落警戒となります。

● 前日より出来高が増加し且つ指数が0.2%以上下落する売抜日カウントが4週間-5週間で3-5日起こる。(上昇中に発生)
● 2-3週間という短い期間で売抜日が4日あっても注意が必要。

◇ 売り抜け日カウント数とは?

前日比で0.2%以上のマイナスを前日以上の出来高ともなって記録した日を「売り抜け日」とカウント。4-5週間で4-5日あれば天井から下落の可能性あり。2-3週間という短期間で売抜日が4日ある場合も注意が必要。

◇ フォロースルーデイ

フォロースルーデイ(FTD)」を迎えたら売り抜け日カウントはリセット。「フォロースルーデイ」は下落局面で前日比プラスで引けた日から4-7営業日後に出来高を伴って大幅に上昇した日のことを指す。また、カウントから25営業日経過後にも消滅する。

ただ、上記の条件を満たさなくても売り抜け日がカウントされることもあります。これは「指数が失速する」という意味のカウントとなっています。

指数が活発な出来高の中で上昇していくなかで、前日と同じような出来高なのに停滞した場合にカウントがなされることがあります。



3.セクター別(1week)

□S&P500

PYPL-10.10%、MS-8.75%、FB-6.10%…etc

Metaを除いてGAFAMはそこまでやられていないですね。


□ セクターETF騰落率 Highlight(1week)

全面安。ショートETFの緑が目立ちます。


4. FRB動向

(FRBの金利動向に気をつける)過去を振り返ると、FRBの金利が引き上げられたことがきっかけで弱気相場が始まり不景気に突入した歴史があります。弱気相場が終わるのは金利が下げられた時が多いです。最も簡単で役に立つ金融指標はFederal Fund(FF)レート(政策金利)。

コンピューターによる自動売買や様々なヘッジサービスによってリスクの高い弱気相場で発生する株価の下落から資金を守るために、ポートフォリオの大部分をヘッジするファンドが現れました。金利が急騰する場面は相場が下落しやすい仕組みになっています。

参考元:米FRB特集

□ 先週のイベント(2月7〜2月11日)

◇ 消費者物価指数

・消費者物価指数(CPI)前年比は7.5% vs 予想7.2%
・消費者物価指数(CPI)前月比は0.6% vs 予想0.4%
・消費者物価指数(CPI)コアの前年比は6.0% vs 予想5.9%
・消費者物価指数(CPI)コアの前月比は0.6% vs 予想0.4%

□ 今週のイベント(2月14日〜18日)

◇ 1月25-26日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨公表(サプライズ無し)

・物価上昇が根付き、雇用が力強い中、金融政策を引き締める時期が来たとの考えが示されていた。
・決定は毎回の会合で実施するデータ分析に左右されるとの考えが示された。

◇ 1月の小売売上高(季節調整済み)

・前月比+3.8%(予想+2%)
・自動車などの購入が急増する中、前月の落ち込みからプラスに転じ、市場予想を上回った。
・2021年12月の小売売上高は当初発表の1.9%減から2.5%減に下方改定された。

1月の小売は強いですが、足元のペイメント企業、PYPLの決算などでは低所得層の消費に陰りがみられるとのコメントがありました。なかなか見通しが読みづらい状況が続いています。


企業決算を丁寧に精査することは、実は個別企業の成績を見るだけではなく景気見通しを確認するにも有用です。


◇ 米消費者の1年先のインフレ期待中央値

・1月の月次調査で、米消費者の1年先のインフレ期待中央値が5.8%と、2021年12月の6.0%から低下した。
・3年先のインフレ期待中央値も4.0%から3.5%に低下し、インフレ懸念が緩和しつつある可能性を示唆した。
・1年先インフレ期待の低下は20年10月以来初めて。3年先インフレ期待は調査が始まった13年以来最大の低下幅となった。

◇ 米1月中古住宅販売

・米中古住宅販売戸数(季節調整済み)は年率換算で前月比+6.7%の650万戸。市場予想に反し増加した。
・エコノミストの「金利上昇前の駆け込み需要」とのコメントあり。


□ 金利動向(FF先物金利/市場の利上げ織り込み)

参考:CME FedWatch Tool

◇ 3月16日時点の利上げ確率:

12月31日時点56.5%→1月8日時点77.5%→1月15日時点86.1%→1月21日時点93.4%→1月28日時点100%→2月4日時点100%

50bpsの利上げ確率は先週2月11日時点は48.2%でしたが、2月19日時点では21.1%に下がっています。地政学リスクなどの兼ね合いで市場関係者も先行きが見通しにくい状況となっております。FOMCの議事録でも、利上げ幅について明確なことは伝えられませんでした。


◇ 5月4日時点の利上げ確率:

12月31日時点71%→1月8日時点85.5%→1月15日時点91.9%→1月21日時点96.8%→1月28日時点100%→2月4日時点100%

5月は2回目の利上げが100%織り込まれています。3回目以降の利上げの可能性も2月11日時点の49.5%から32.4%に下がりました。


◇ 6月15日時点の利上げ確率:

12月31日時点100%→1月8日時点95.4%→1月15日時点→1月21日時点99.5%→1月28日時点100%→2月4日時点100%

◇ 6月15日時点の2回目以上の利上げ確率:

1月15日時点82.1%→1月21日時点89.8%→1月28日時点97.4%→2月4日時点99%→2月11日時点100%

◇ 6月15日時点の3回目の利上げ確率:

1月15日時点32.1%→1月21日時点41.7%→1月28日時点70.2%→2月4日時点35.6%→2月11日時点80.1%→2月18日時点50.8%

◇ 6月15日時点の4回目以上の利上げ確率:

2月4日時点2%→2月11日時点37.1%→2月18日時点48.4%

3回目の利上げ確率がこちらも下降。ただ、来週はどうなるかわからないのが今の相場です。


□ FRBのバランスシート(BS)拡大・縮小動向

BSが拡大するということは、市場に流通する資金が増大して、景気を加熱させることに繋がります。

FRBは金利を引き上げる前に、まずはバランスシート(BS)の拡大停止(テーパリング、資産買い入れプログラムの変更)を実行します。すでにテーパリングは始まっており3月には終了します。グラフではまだクリアにわからないですね。徐々に緩やかになっている様子が見て取れますね。


※資産買い入れプログラムについて、現在では米国債を月800億ドル(約8兆4千億円)、住宅ローン担保証券(MBS)は同400億ドルのペースで買い入れています。こちらのペースを下げることを「テーパリング」といいます。



テーパリングはFRBのBSの「拡大」を細切にして終了させていくことですが、その後利上げ、そして次はBSの「縮小」が待っています(テーパリング→利上げ→BS縮小/QT)。

BSの縮小ですが、量的緩和で購入した債券などが償還された時に再投資しない場合はFEDのBSは縮小していきます。このようにバランスシートを縮小することをQT(Quantitative Tightening)といいます。

前回は4回利上げがおこなわれたあとQTが実施されましたが、今年はインフレ動向次第で前倒しで行われる可能性も頭に入れておきましょう。今週のFOMC議事録では言及はありませんでした。


□ ブレイクイーブンインフレ率

ブレイクイーブンインフレ率とは、債券市場が期待するインフレ率を意味します。11月に上昇しましたが、その後のFEDのタカ派的な姿勢もあり沈静化しています。

CPIが衝撃的な上昇とはなりましたが、債券市場はインフレの継続的な上昇を予見していないように思えます。

(2020/01/01-2022/2/11)


□ 長期金利(2・5・10年債利回り)

長期金利の動向は株式市場関係者は非常に注意深く見ています。10年債利回りと株式のバリュエーションはシーソーゲームの関係にあるからです。金利が上がれば(債券が売られれば)株の評価は下がります(あえて、非常に簡易的に表現しています、評価が下がるのはそれだけではありませんし株価指数を観察する方が大切です)。

短期金利の上昇が引き続き顕著です。現在は以下の通りの水準となっています。10年と5年が同水準ですね。

2年や5年、10年でも逆イールドが起こる可能性が高まっています。

逆イールドとは、短期金利が長期金利の水準を上回る状態(長短金利の逆転現象)を指します。一般的に、過度な金融不安や過激な政策変動により短期金利が急騰したことで生じるために、その発生後は景気後退が訪れるケースや株価が調整に転じるシグナルとされています。

逆イールド (ぎゃくイールド)


5. プットコールレシオ

ここでは年初来からの比率(%)を観察します。直近の投資家心理を確認します。


プットコールレシオ = Put売買金額 /Call売買金額

⑴プットコールレシオ > 1 = Putの売買代金が大きい = 投資家が株式相場下落を期待(悲観的)
⑵プットコールレシオ < 1 = Callの売買代金の方が大きい = 投資家が株式相場上昇を期待(楽観的)

上記で算出されます。つまりプットコールレシオが1を超えているということはPutの売買代金の方が大きく下落を警戒する投資家が多いことを意味します。これは相場が悲観的なことを意味しており相場の底局面ではプットコールレシオが高くなる傾向があります。

一方、プットコールレシオが1を下回っているということはCallの売買代金の方が大きく上昇を期待する投資家が多いことを意味します。ただ、これは楽観的であるということを意味しており、相場の高値圏ではプットコールレシオは低くなる傾向があります。



2月18日現在は1.17です。先週からこの水準は変わりません。総悲観と言える水準ではまだありません。

⑴プットコールレシオ > 1 = Putの売買代金が大きい = 投資家が株式相場下落を期待(悲観的)


6. Volatility index(VIX指数/恐怖指数)

VIXとは市場で取引されている価格から逆算された「株式市場のボラティリティ」のことを指します。株価指数は上昇時は緩やかに上昇し、下落時は急落します。市場参加者が高いボラティリティを見込んでいるということは、市場に対して不安を抱いていると想像できます。

VIX指数は株価の先行きにどれほどの振れ幅(ボラティリティー)を投資家が見込んでいるかを示す「株価変動率指数」のうち、米国株を対象にした指数。通常、株安が懸念される局面で上昇し、20を超えると不安心理が高まっていると解釈される。その場合、「株価が今後1年間に約7割の確率で上下20%の範囲で変動する」と投資家が予想していることを示す。

2008年の金融危機の際にVIX指数が80超に上昇して注目を集めた。18年2月と10月にもVIX指数の上昇をきっかけに米国株が下落する場面があった。VIX指数の上昇に連動して機械的な株売りを出す「リスク・パリティ」などと呼ばれるファンドが存在するからだ。

(引用:日経新聞)


S&P500指数(VIX:青)とNASDAQ(VXN:ピンク)のVIX指数の5年推移は以下となります。

20を超えると不安心理が高まっていると解釈されますが、Nasdaq(NDX)は38まで上昇しました。オミクロン株ほどのVIX上昇(35程度)を超える水準です。S&P500のVIXは32まで上昇。40とか50とかいってくれると相場も底打ちが期待できるんですが(コロナショック時は65…笑)。


7. 空売り比率 (Short Volume)

空売り比率・ショートボリュームはNYSE(ニューヨーク証券取引所)で空売りされている株式の数をNYSEの総出来高との割合で示したものです。

この比率が高ければ投資家が市場をネガティブに見ていることが読み取れます。(「空売残」はShort Interestです。ここでは触れません)

特に暴落局面で注視するのが有効で弱気相場が底をつける時というのは空売りの「急増を示す数値の上昇」が通常2回か3回現れると成長株の巨匠・オニール氏は言及しています。

それではまずS&P500指数の空売り比率は以下となります。S&P500指数で最も取引Volumeが多いETFである「SPY」で見ていきます。

SPY - Short Interest - SPDR S&P 500 ETF Trust - Short Squeeze, Short Sale Volume, Borrow Rates, Fails-To-Deliver

・・・思いのほか穏やかですね。


ナスダックについても取引ボリュームが大きいQQQでみていきたいと思います。

こちらも異常な動きは見られません。


8. アクティブファンドマネージャーの動向(NAAIM Number)


次にNAAIM Numberです。NAAIM Numberはアクティブファンドの投資動向です。100を超えるということはアクティブファンドがレバレッジをかけていることを意味します。

53.49です。誰もいねぇ・・・といった状況ですね。みんなでお休みしましょう。


9. 注目経済指標の動向

以下が今週の経済指標発表でした(マネックス経済指標カレンダーを参考)。小売売上高などが発表されました(「4.FRB動向」項目に詳細記載)。

来週は個人消費、PCEコアの発表です。一つ一つの経済指標発表に緊張感がありますね。


10.来週の決算

相場は荒れていますが決算ウィークは続きます。マネリテ編集部からはSQ(Block)の決算速報を出します。消費者の動向を見極めるにはうってつけの企業ですね。


予習材料(会社概要・ビジネスモデル・CANSLIM)↓↓↓


総括


・代表株価指数は総じて下落し、200MAを下回る弱気相場の沼を抜け出せない状況。
・地政学リスク、利上げ(インフレ)、決算シーズンで様々な情報が飛び交い、ボラティリティの高い相場が継続。
・株式相場ステータスは先週末より「Uptrend under pressure(上昇相場頭打ち)」継続も、売り抜け日は5日溜まっており「Market in correction(調整相場)」に突入したと言っても過言ではない水準。
・FOMC議事録は通過、50bpsの利上げ確率は先週2月11日時点は48.2%から21.1%に下がった。
・債券利回り上昇、短期金利の伸びが大きく現在は逆イールドが懸念される。
NAAIMナンバーの水準は当然低くアクティブファンドも相場が上昇転換するまで待機中の様相。
・来週はSQ、HD、TDOC、FANG、RIO、MRNA、NCLHなどが決算発表。



それでは、良い週末を!

ーFINー

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